第220話 スキルが見える
「凄い凄いっ! 今の喰らってもピンピンしてるなんてっ! じゃあ遠慮なくどんどん行くよっ!」
【4】のシードンが消える。
そして今度はメア、そしてトゲくんに攻撃を当て、又消える。
トゲくんに関してはカウンターを食らわせようと尻尾を振ったが、不思議とそれは当たらなかった。
消えた。
俺の姿を見せなくするというスキルとは違い、そこから完全に姿を消している。
出なければトゲくんのあんなに広い範囲の、しかも素早い返しを躱すなんて不可能なはず。
「空間転移系のスキル? まさかそんな便利なスキルがあるのか」
「御明察っ! でも、このスキルはめちゃくちゃレアなんだって。【1】もこれを手に入れようと色々してたみたいだけど、ぜーんぶ無駄だったんだって」
【4】のシードンは今度はにゅっと俺の顔の横に自分の口だけを出現させ、耳元でスキルの説明をした。
急いでジャマダハルを振るが【4】のシードンはまたさっと隠れてしまった。
「≪透視≫が効けばこんな奴――」
「あはははははははっ!! 隙だらけだよっ!!」
「ぐっ!!」
【4】のシードンの重たい拳が今度は顔面に当たってしまった。
くそ、このままじゃじり貧だ。
「勿体ないような気もするが、スキルポイントを使うか」
俺はステータス画面を開き、溜まっていたスキルポイントで≪透視≫をLV14まで上げた。
だが……。
「これでも見えないのかよっ!」
「何してるの? もっと抗ってくれないとつまらないよ」
「くあっ!!」
【4】のシードンの強烈な蹴りが俺の脚を捉え、それによりピキッという嫌な音が聞こえてしまった。
折れた、いやヒビか?
「いい音だねえ。あはっ! 僕、こうやって悶えるモンスターを見るの好きなんだよ」
下衆な笑いを浮かべる【4】のシードンを俺は睨んだ。
すると、今までは見えなかった情報が相手の顔の横に映った。
スキルレベルを上げても空間移動中に相手の急所を見るという事は出来なかったが、その代わりに相手の情報、スキルを透かして見る事が出来るようになったらしい。
「空間移動、スキルレベルは……20か」
「あっ! 僕のスキルレベルを見れるの? いやーこの姿になった時にスキルポイントっていうのが振れるようになってさ。ついつい全部これに注ぎ込んじゃったんだよねえ。【1】に属性攻撃を勧められたけど、僕はこれを洗練させたいって言って」
「スキルポイントが振れる……やっぱりこいつ亜人ね」
「ま、それが見えたところで君達にはどうこう出来ないだろうけどね」
「それは……どうかな?」
ここに来るまでかなりの数のシードンを倒してスキルポイントを奪取出来ている、それにレベルも上がった事でかなりのポイントがある。
これを全部≪透視≫に……あれ、属性攻撃の項目がある。
ずっと属性攻撃はまだ無理だと思い込んでいたが、見落としてただけだったか。
スキルレベルがきりよく上がるように使って、端数はこれに振るか。
えーっと属性は……【闇】にして。
『≪透視≫のスキルレベルが19に上がりました』
アナウンスを聞き、スキルの強化の確認を済ます。
さて、これでどうなるか。
「何か企んでるんみたいだけど、そんなのぜーんぶ無駄だから」
【4】の姿が消える。
しかし、今度は急所が薄ぼんやり、目を凝らさないと分からない程だが……見えるっ!
俺はその点が移動して、俺の側に移ったのを確認すると、【4】が出てくるタイミングよりも少し前にジャマダハルを突き動かしたのだった。
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