第142話 アルジャン&ルージュ
「こ、子供!? おま、いつの間に2人も――」
「こんな一瞬で子供が出来るわけないだろっ! てか変な言い方するなっ!」
「ねえ、お腹空いたぁ」
「空いたぁ」
忠利のしょうもないボケにツッコミを入れていると、2人はさらに強く俺の服の袖を引っ張る。
一色虹一の剣がああやって擬人化していたんだから、俺のジャマハダルがいつか擬人化するかもしれないというのは予想がついてはいたけど……ちゃんと右と左で2人になるんだな。
「わかったわかった。何か食べに行こう。でもその前におじさんに名前を教えてもらってもいいかい?」
「僕アウジャア!」
「私ルウジュウ!」
多分子供だから発音が難しいのだろう、きっとアウジャアはアルジャン、ルウジュウはルージュ。
銀と赤っていうのがこの子達の名前になっているらしい。
髪の色もアルジャンは銀、ルージュは赤色だ。
「アルジャンとルージュな。俺は白石輝明よろしくな」
「「知ってるっ!」」
2人は元気に声を合わせた。
今まで戦っていた記憶があるのか俺の名前くらいは当然に覚えているようだ。
投げ飛ばして使ったりしていた事も覚えてたり……。
これからはいろいろ気を付けよう。
「そ、それで2人は何が食べたいんだ?」
「このおじさんお金は結構あるぞ」
2人に食べたいものを聞くと忠利が余計な言葉を挟む。
めんどくさい親戚のおじさんって多分こんな感じだ。
「んー。僕は甘いのっ!!」
「私は『強いモンスター』」
「あっ! やっぱり僕もそれ!!」
「え!?」
想像の斜め上、いやそれ以上の変化球。
可愛らしい見た目だっただけに少し油断していたけど、この子達は武器。
普通の子供と同じものを要求してくるはずなんかない。
それに今更だけど武器もお腹空くんだな。
「もしかしてそれがこの子達、ジャマハダルの持つ新しいスキルの発動条件だったりするんじゃないか? 武器の見た目が擬人化された状態に反映されてるっていうなら、その言動にも何かしらが反映されてておかしくない」
「なるほどな……。じゃあモンスターのところに行くから武器に戻ってもらってもいいかな?」
「「ええー!!」」
「え。い、嫌なの?」
「私達拒否出来ない。でももうちょっとこっちがいい。ねー」
「ねー」
そう言って2人は顔を見合わせた。
初めての擬人化をもっと楽し居たいって感じなのかな?
「分かった。じゃあその姿でダンジョン行こっか。でも1回2人のステータスを見せてもらえないかな?」
「「うん!!」」
2人はぱあっと顔を明るくさせると、一瞬で武器の姿に戻った。
俺は一先ずジャマハダルをアイテム欄に戻し、ステータスの確認だけ済ませる。
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武器種:両手刺突剣
名前:【ジャマハダル】アルジャン&ルージュ(☆☆☆☆☆)
攻撃力:350
スキル:浸食、即死慣れ、食型探知
武器特性:会心威力アップⅢ
次回必要進化素材:人魚姫の黒血
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2人の名前がステータス上に記載され、星の数は2つも増えていた。
進化の薬は1段階の進化ではなく2段階くらいなのかもしれない。
武器特性も強化され、攻撃力も大幅に強化された。
かなり様変わりした今回の進化だが、1番気になるのはスキルの食型探知。
ちょうどいいから、ダンジョンでこれも試してみよう。
「よし、じゃあどこのダンジョンに行こうかな。……じゃなくて2人を出してやらないとか」
俺は急いでアイテム欄からジャマハダルを取り出す。
「「ごはーん!!」」
「わかったわかった! じゃあ今日はダンジョン『蟲』にでも行くか。じゃあな忠利、またなんかあったら来る」
「なんかあったらじゃなくても、世間話でも相談でも気軽に顔見せてくれ。気を付けろよ」
「わかった、ありがとうな」
そういって俺とアルジャン、ルージュはダンジョンを店を出た。
なんだかんだ忠利もいろいろ心配してくれてるんだよな。
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