第141話 2人
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武器種:両手刺突剣
名前:ジャマハダル☆☆☆
攻撃力:150
スキル:浸食、即死慣れ
武器特性:会心威力アップⅡ
次回必要進化素材:鎧蛇の黒鱗×10、ダイヤモンドスライムの欠片
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「若干、だな」
「今回は単純な威力強化だった。進化素材の入手難易度から考えてもこのくらいになるだろうなぁって感じだろ」
忠利が強化してくれたジャマはダルは以前進化した時と比べて大幅に変わった、という事はなかった。
攻撃力が上がったのは有難いが、贅沢を言えばスキルの追加が欲しかった。
「とはいえ無事進化出来た訳だからお支払いお願いします」
「分かってるって」
俺はポケットから財布を取り出すと万札を5枚取り出す。
「あ、今回はこっちから提案したわけだし20%引きの4万円でいいぞ」
「定価で構わないよ。今は金も結構ある」
A級探索者になった事で収入は増えていた。
それにあの事件で集まった素材の売却額や報酬の支払いが思った以上で、はっきり言って会社員時代の比じゃない程の大金が今では稼げている。
いろいろ事が済んだら広い部屋にでも引っ越そうかな。
「流石A級探索者は羽振りがいいな! ではでは有難く……」
「ありがとうな忠利」
「……。まぁこれが仕事だからな」
忠利に俺を言うと、少し照れるように忠利は頭を掻いた。
「それより次の進化素材を集まるのはムズそうだな」
「ダイヤモンドスライムの欠片っていうのは実は持ってる。ただ、もう片方に覚えが無いんだよな」
「名前から察するに、今行こうとしてるダンジョンで手に入りそうな気はするけど……。しばらく俺が進化の作業をすることはないかもな」
鎧蛇の黒鱗が10。
この鎧蛇っていうのも『蛇の寝床』にいるのかいないのか。
いたとしても、一色紘一が苦戦するダンジョンのモンスターなら忠利の言う通りしばらく進化は難しい。
ただ、今の俺にはこれがある。
「普通に進化させようと思ったらそうだろうな。でも、これを使ったらどうなるか……」
「進化の薬、か。いいのか? この段階で使って」
「まだ見つけてすらないけど、『蛇の寝床』は相当難易度の高いダンジョンだと思う。だから少しでも強化出来る物があるならしといた方がいい。そっちのテーブル借りてもいいか?」
「ああ。構わないぞ」
俺は忠利に断ってカウンターの中に入れてもらうと、入荷作業用のような台の上にタオルを広げ、ジャマハダルを置いた。
そして進化の薬を万遍無くジャマハダルにかける。
一色虹一の剣と違って生きてるわけじゃないからこの使い方であってるか、そもそも効くかどうかも怪し――
「うっ!」
「これはっ!?」
瓶に入っていた進化の薬が全て注がれるとジャマハダルは強く光を放った。
あまりに強い光だったせいで、光が消えた後もなかなか目が開けられ――
ぐいぐい。
「ん?」
なかなか目を開けられずにいると、服の袖を引っ張られるような感覚が。
しかも服の一箇所だけじゃなく、右と左の両端だ。
俺は恐る恐る薄目で袖を引っ張る正体を見る。
すると
「お腹、空いた」
「うん。空いた」
短パンを穿いた銀髪の男の子と赤髪の女の子が物欲しそうな顔で俺の顔を見つめていたのだった。
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