第61話 回避の加護

「こんなところか……」


-----------------------------------

名前:白石輝明

職業:必殺暗殺者

レベル:58

HP:245/245

MP:194/194

攻撃力:188

魔法攻撃力:0

防御力:170

魔法防御力:140

敏捷:281

固有スキル:透視(覚醒済み)LV5

技術スキル:剣術LV4、瞬脚LV4、即死の影LV5、回避の加護LV3

耐性スキル:麻痺耐性LV3、毒耐性LV3、睡眠耐性LV3、適応力LV3

保有スキルポイント:1

ジョブポイント:4

職業ツリー

【会心威力1.4倍】解放済み

【ジョブ進化。必殺暗殺者】解放済み

【敏捷:5段階目】解放済み

------------------------------------


 俺は10階層のボスの間で30分が経過し、再びボスが現れるまでスキルポイントとジョブポイントの割り振りを行う事にしていた。

 本当は防御の強化をしたかったが、ジョブツリーにそういった項目が無い事をすっかり忘れていた俺は、取り敢えず敏捷にポイントを振った。

 すると5段階目で『回避の加護』というスキルが発現し、ついついスキルポイントをそれに当ててしまった。


 字面からして被ダメが大幅にカット出来るスキルだと思うが、はてさて……。


 ちなみにHPとMPに関してはポーションで回復したおかげで満タン。どろどろになってしまった服も着替えたし、場合によっては汚れを落とす魔法紙もある。

 ただMPポーションの数だけ心もとない。この先の戦闘ではMPを温存していくことが必要になりそうだ。


「次からは会心威力の先の項目にジョブポイントを全振りするか?」


 俺はレベル50を超えて新しくなった職業ツリーの会心威力の項目を見て、思い悩む。


------------------------------------


【ジョブ進化。必殺暗殺者(消費ポイント:5)】

【会心威力1.5倍(30ポイント)】

【会心威力1.6倍(30ポイント)】

【会心威力1.7倍、スキル獲得(30ポイント)】

【会心威力1.8倍、スキル獲得(30ポイント)】

【会心威力1.9倍、スキル獲得(30ポイント)】

【ジョブ進化、会心威力2.0倍、スキル獲得(30ポイント)】

???


-----------------------------------


 どうやら記載が『???』になっていたのはレベルが足りなかったからだったようで、その続きの項目を見ると、少しだけワクワクする。

 

 うーん。にしても会心威力2倍は魅力的だ。

 『即死の影』はMPの消費がある為、会心威力を上げ、いざという時用にしたい。


 そうなると並行して攻撃の項目をある程度伸ばしておくのも悪くないかも……。


「なんにせよ、まずはスキルの確認か……。リスポーンまでの時間は、あと15分くらい……ちょっとだけ上に戻るか」


 俺はスキルの確認の為に立ち上がってボスの間から移動を開始するのだった。



「群れはいないみたいだな」


 9階層に戻ると、辺りを見回しヒポモスの群れを警戒する。

 ヒポモスの皮を利用すれば大した相手ではないが、それでも群れを相手にするのは時間が掛かってしまう。


 依頼の時間中は常にボスを倒してある状態を維持する必要があるから、群れと遭遇したら下に移動が賢明だろう。


「ぶあ?」

「丁度いいところに……」


 スキルの実験を探して歩いていると、生い茂る草の中で座り込み、うつらうつらしているサイリアを発見した。

 モンスターも人が来ないと暇なのかもしれない。


「ぶぁああああぁあ!!」

「『回避の加護』」


 俺を見つけるなり、その巨体で突進攻撃を仕掛けてきたサイリア。

 慎重な性格のモンスターではあるが、寝起きで気が荒くなっているようで、躊躇なく突っ込んでくる。


 俺はそれを絶好の機会だと判断し、『回避の加護』を発動した。

 

 すると、白い光の球が1つ現れ、ふよふよと俺の周りを周りだした。

 『即死の影』もそうだったが、スキル発動中のエフェクトは変わった個性があって面白い。


「ぶあああぁぁああ!!」


 俺は敢えて、サイリアの攻撃を真正面から受け止める体制に入った。

 サイリアの角を両手で受け止めようと腰を落とし、呼吸を整える。

 そしてそれが当たる瞬間、白い光の球が強く光った。


「ぶあ?」

「……移動した?」


 サイリアの正面に居た筈の俺はいつの間にかサイリアの背後に移動していた。

 白い光の球が消えているところを見ると、1回限りの緊急回避スキルといったところらしい。

 

「ぶあ、ぶあ?」


 突如として姿を消した俺を探そうと辺りを見回すサイリア。

 俺はその光景にほくそ笑むと、≪透視≫を発動させ、急所をジャマハダルで突く。


 『瞬脚』に似ているが、不意打ちをされそうな時には役立つし、移動を目で追われたり、軌道を読まれることがないのは強み。

 それに、こうして不意を突くのって……堪らなく快感だな。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る