五章:【君が為のクズになら】
そして君は……。
「師走」の意味を感じるのは、年の瀬が押し寄せてくる年末だ。
クリスマスを終えたこの国は年越しという一年の締め括りをするために、大人子ども関係なく、忙しない日々を送り出す。日々の生活に加えて、大掃除や年末年始の買い物。何もかもが大がかりで、「今年最後」
――いや、「平成最後の」を接頭語に街は色めいて。
事件や他人の死なんて、些末事で。誰かが苦しんだり、悩んだりしていたところで見向きもしない――いや、見向きはするけれど「大丈夫?」なんて言葉で沈黙の我慢を強要しては、僕らは看過する。
命に「待って」は存在しないこと。そして、その日は突然やってくることを。
「ねえ朝くん。この世に必要ないじめなんてものがあると思いますか?」
「思わないよ」
だから、いじめってものは絶対悪なんだよと言おうとした束の間に。
「そっか、そうだよね。ありがとう」
そう言って君は笑顔で飛び降りた。
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