第四歌 嘘つき詩人と仮面英雄の詩

第11話



 翌日の午後、ハービィは、決闘の舞台となったパリエス郊外の川岸を再訪していました。


 依頼人のメアリから食事に誘われ、指定された場所がそこだったのです。

 なんでも「お礼をかねて昼食会でもいかが?」という話だったのに、いざ現場に来てみれば呼ばれたのは自分だけ。もう一人の立役者であるライライには集まりがあることを知らされてすらいなかったようなのです。

 ただでさえ、洗濯女の集う河原は男子禁制の雰囲気があるのにハービィ一人きりだと気まずいったらありません。一度は辞退して帰ろうかと思ったくらいです。

 ですが、これは考えようによっては好機なのでした。

 ライライが知人からどう思われているのか、同性からはどう評価されているのか、聞き出すにはまたとない機会ではありませんか。ここは一つ、恥を忍んで女子会に参加させてもらうべきかもしれません。

 浮気? いえいえ、ただ食事をするだけなら何も問題はないはずです。


 されど、セイヌ川の川辺に華やかな色のピクニックシートが何枚も敷かれ、そこにうら若き乙女たちが鎮座ちんざしながらたった一人の男性を待ちわびているのです。その光景ときたらまるで天国のようではありませんか。

 かけられる黄色い歓声、馴染みの現実とあまりにかけ離れた空気、そこはまるっきり白昼夢はくちゅうむの渦中でした。足元も何だかフワフワして雲の上を歩むような心境でしたが、ハービィは言われるがまま彼女たちの輪に加わるのでした。



「いえーい、女性の花園にようこそ」

「あ、貴方がアルカディオさん!? 尊敬してますぅ」

「でも脱いだら案外可愛いんだってよ」

「シィ、その話は本人の前ではしないって言ったでしょ」


「こらこらアンタ達、元気なのは結構だけどお客様がドン引きしているじゃないの。せめて初めぐらいはちゃんと出来ないのかい?」



 無秩序な洗濯ガールズを仕切るのはリーダー格のロザンヌさんです。

 金髪をサイドテールに束ねた化粧の濃い女性で、年齢は三十ほどでしょうか。洗濯女たちは皆、シャツの上からコルセット型のベスト(ボディスと呼ばれるものです)を身につけ、下はエプロンとロングスカートを履いているのですが……ロザンヌのそれは黒のエプロンにバラの刺繍ししゅう入りで随分と高級そうに見えるのでした。

 まとめ役にふさわしい風格。それに思い返せばライライも昔お世話になったと口にしていました。ハービィは周りの黄色い声になるべく流されず、彼女から話を聞いてみようと決心しました。

 ハービィがロザンヌを観察している間にも、彼女は如歳にょさいなさを遺憾いかんなく発揮しています。



「さぁ、みんなバスケットを開いて。サンドイッチを並べるんだよ。カップに飲み物も入れて。ちゃんとダージリンだろうね? 口直しのクッキーも忘れちゃいないだろうね?」

「はぁーい、万事つつがなくありますわ、お姉さま」



 周囲がランチの準備にとりかかった所で、ロザンヌは手提げカゴから金貨の入った袋を取り出すとハービィに投げて寄越しました。



「物を食べている時に金の話をすると不味くなるからね。大切な話は先に済ませておこうか。先日はウチの若いモンが迷惑をかけてしまったようで、すまなかったね。それはせめてもの心づけさ。少なくて悪いが、洗濯女じゃそれが精一杯なんだ。勘弁しておくれ。貧しい女が肩を寄せ合って生きている、それがウチらなのさ」

「いいえ、とんでもない。平和を守る為の資金として有難く頂戴します」

「おやおや、欲がないこと。どこかのドラ息子だったらスペシャルサービスを要求していた所だよ。アンタが望むんだったら皆で体を綺麗に洗ってあげても良いんだよ? ハーレム遊びで気持ちよくしてあげようか?」

「いやいやいやいや、そういうのはちょっと。まさかライライを呼んでないのは、初めからそういう行為をするつもりだったんですか? 今回の件では彼女も活躍したのに、のけ者にするなんてあんまりだ」



 ロザンヌは豪快に笑い飛ばすとこう答えたのです。



「はは、まずは第一関門突破だね。彼女がいないからって、こんな誘惑に易々とのっているようでは英雄失格だ。ライライを呼ばなかったのは、その方がしやすい話をするからさ。つまりは彼女の話をね」

「ロザンヌ姉さまったら、そんなにすぐネタバラシをしてどうするの? もっとこう、英雄様をたっぷり赤面させて焦らしましょうよ。例えばホラ、さりげなく夏場は暑くて仕事中に服を脱いでしまう話をするとか」

「そうそう、バカな男どもが覗きに来るのよねー。そんな魅力ある乳房が今日は英雄様の為に集まりました」


「……どうも」


「お客様はお酒の方が良かったかね? メアリ、ワインを開けておやりよ」

「ブランデーの方が元気になったりしないかしら。主に下半身が」


 どうやらここは、健全な若者にとって刺激が強すぎる空間のようです。

 男子禁制なのもうなずけようというもの。

 もちろんハービィも男の子なのでハーレム遊びに少なからず興味はありましたが、この様子だと誤って口を滑らせれば後からライライにバッチリ告げ口されかねない感じです。

 いやいや、そもそもハービィはライライに抱いた疑念を晴らすべく此処へ来たはず。自分の方から不義の種をバラまいてどうするのでしょう?

 男とは真に悲しく浅ましい生き物なのでした。

 そんな相反する葛藤かっとうを見透かしたようにロザンヌの姉御が言いました。



「ライライは誤解されやすい子だからね。あの子は私達にとっても友達だから、出来れば勘違いを正してやりたいのさ。本当のあの子は純粋でとても優しいんだよ」

「純粋……? むしろ計算高い策士なんじゃ」

「頭は切れるけどね、それは能力であって性格じゃないのさ。そんな認識だと、昔の彼女を見たら目ん玉が飛び出ちまうよ」

「ロザンヌさんはライライと付き合いが長いんですか? いったい、いつ頃から……」

「あの子が初めてパリエスへ来て、路頭ろとうに迷っていた頃からの縁だね。あれは三年前? そうかい、もうそんなになるのか」



 当時を懐かしむようにうなずいてから、ロザンヌはポツリポツリと思い出を語り始めました。チビチビと辛いワインをやりながら、ハービィは貴重な話に耳を傾けるのでした。











 三年前のパリエス。

 ロザンヌがライライと初めて出会ったのは、薄汚い居酒屋の路地裏でした。


 ―― うへぇ、ゴミ箱を漁っている奴が居るな。ヤダヤダ、見たくない。人間あそこまで落ちたくはないもんだね。近道なんてするんじゃなかった、まったく。


 それは、およそ最低最悪としか言いようがない第一印象。

 なぜ、そいつがゴミ漁りを止めて顔を上げた時、立ち止まって話しかけようと思ったのか。他ならぬロザンヌ自身にもよく判らなかったのです。格好もボロボロ、髪もヨレヨレ。何日風呂に入っていないのか知れぬ不潔さで、好意を抱ける要素など皆無だったのに。

 ただ、その碧眼へきがんは未だに光を失っていませんでした。絶望や怒り、羞恥しゅうち心といったものすら感じさせない野生動物のごとき澄み切った瞳。

 まつ毛の長い大きな瞳には青空が映っていました。裏通りからはあまり遠い空が。それはゴミの中で輝く宝石のようでした。

 僅か数秒とはいえ、ゴミ漁りの瞳に見とれてしまった事を恥じながらロザンヌは声をかけたのです。



「なんだい、物乞いにしては綺麗なお目目をしているじゃないか。生意気に」

「……物乞いじゃないです。吟遊詩人です」

「はっ、そのナリでかい? とてもそうは見えないよ」

「この酒場で稼がせてもらおうと思ったんだけど、断れちゃったので」

「当たり前じゃないか。人に歌を聞かせようって格好かい、それが」

「でも、なくて、わたし。着替えも、お金も。演奏さえ聞いてもらえたら、お金が稼げるのに」

「へぇ! 大した自信じゃないの。何だかアンタが本物かどうか確かめてみたくなったわ。よかったらアタシの力で店の舞台に上げてあげようか?」

「え?」

「その代わり、もし演奏が客にウケなかったらアタシの命令をきいてもらおうかな? なんでもだよ。どんな無理難題でも絶対に言うことをきくんだ。どうだい? やってみるかい? 腕に自信があるなら……この賭け、受けられるはずだよ」

「……やらせて下さい」

「ははは、躊躇ちゅうちょなしかい。アンタ、どんな頭の構造をしているのさ?」

「だって、本物でないならこれ以上は生きていたって仕方がないもの。それに、貴方は悪い人に見えないから」

「ふーん、気に入ったよ。アタシはロザンヌっていうんだ。アンタは?」

「ライチです。苗字はありません。親に愛想をつかされたので」



 結果から言えば、その賭けはロザンヌの圧勝でした。

 タライ風呂で汚れを綺麗に洗ってやり、乱れた髪をすいて、ご飯を食べさせ、着替えを準備し、ぞんぶんに飾り立てた上でもう一度同じ店におもむき、ロザンヌが店主に使ってくれるよう交渉までしました。

 ライチに何にも言い訳が出来ないようにしてから演奏へ挑ませたのです。

 技術は相当に高いものでした。ですが、優れた竪琴の弦使いに反して淡々と語られるだけの歌詞にはメリハリも盛り上がりもあったものではなく、お客様の評価はかんばしくありませんでした。

 まるで人形の朗読ろうどくを聞かされたみたいだ。それが店主の感想でした。


 ライチはすがる物を失ってしまいすっかり打ちひしがれていました。



「私の負け……ですね。煮るなり焼くなり好きになさって下さい」

「そう簡単に投げていいもんじゃないよ、人生ってのはね。少し冷静におなり。たかが一回ぽっち負けただけじゃないか。でも、その覚悟があれば大丈夫。まだやり直せるよ。少し私の下で働いてもらおうかな。案外すぐに別の生きがいが見つかるかもね」



 賭けに勝ったロザンヌがライチに命じたのは「洗濯女として働く」ことでした。

 新しく住む家はロザンヌが借りていた一軒家の屋根裏部屋。芸術の都として名高く、国王の宮殿が建つパリエスにも貧民街は存在したのです。そこは芸術家を志し、夢破れて落ちぶれた者たちが集う場所。

 「燃え尽き横丁」と呼ばれる地区の片隅にその借家は建っていました。

 ロザンヌが衣食住の面倒を見てやる代わりにライチは労働で対価を支払う、そこには奇妙な雇用関係が成立していたのです。

 そうは言っても未経験者がいきなり職場に馴染めるはずもなく。

 当初は苦労の連続でした。



「ロザンヌさん、言いたかないけど貴方が連れてきた新人、愛想がなさすぎるよ。ろくに喋れないし、冗談を言っても気のない返事ばかり。仕事はソツなくこなすけど、あの子の隣じゃ空気が悪くて大変なんだよ」

「すまないね、アタシも何回かそれで注意しているんだが。とにかく変わっている子なんだわ」

「なんだったら男衆おとこしゅうを集めて一度ビシーッと新人教育しようか?」

「乱暴はやめとくれ、アタシが責任を持って面倒をみるから」



 このように、周囲の先輩方から大不評だったのです。

 なんせ洗濯女は一日中同じ河原に座って動けない仕事ですから。

 場に馴染むトーク力や愛想の良さは欠かせなかったのです。

 その頃のライチときたらいつも無表情で寡黙かもく

 お世辞にも向いているとは言えない人材なのでした。


 しかし、昔から「毒を食らわば皿まで」というではありませんか。

 ロザンヌは毎晩自宅の居間にライチを呼び出しては、向かい合わせに座らせて、情操教育を試みるのでした。



「アンタねぇ、なってないよ。世間話ぐらいしっかり出来ないのかい?」

「すいません。全然興味もてなくて、みんなの話」

「嘘でも本当でも構いやしないよ、お世辞ぐらい覚えたらどうなんだい?」

「私、嘘つくのが苦手なんです」

「嫌いと言ったって世の中には嘘があふれているじゃないの」

「見え透いた話は面白くありません。薄っぺらな嘘に心を震わせる感動はありません。私は作る歌に本物の感動を込めてみたいんです。もしそこを誤魔化したら……私はもう詩人ではなくなってしまいます」

「まだ諦めてないのかい? また、ゴミ漁りに戻りたいのかい? あれだけ お人形呼ばわりされておきながら。誰かを感動させるなんてアンタには無理なんじゃないの。だって人の心の機微きびが判ってないんだもの。判っていたら、アタシはこんな説教に時間を割いてないんだからね」

「きっと生まれてくる時、母のお腹に心を忘れてきたのでしょう……でも、判っていない『お人形さん』だからこそ本当の感動が知りたいんです」



 淡々と語っていますが、何やら熱いものを胸の内に秘めているようです。

 無理にそれを捻じ曲げるよりも、社交性の学習に利用できないでしょうか? 

 ロザンヌは別の方向からアプローチを仕掛けてみました。



「どうしたら見た目通りの可愛い女の子になれるのかね。いっそアンタも恋をしてみたらどう?」

「え?」

「そうやってツンツンしているんじゃ、男に言い寄られたこともないんだろう?」

「そ、そんな、故郷の村ではちゃんと男友達がいました」

「お人形さんにも恋が理解できたのかい?」

「一緒に居て楽しいとは思いました。でも、それでは他の友人と変わらない」

「やっぱり判っていないんじゃないの?」

「そうかもしれません。でも、憧れはあるんです。結婚して一生添い遂げるんだから、友情とは違った特別な気持ちがそこには在りますよね? 一生に一度きりの純粋で特別な感動。私もそれを知りたい」

「別に一生に一度きりとは限らないだろうに。まぁ人生における数少ない本物の感動だろうさ、庶民にとってはね。アタシみたいにヤドロクを選んじまった女にはあんまり関係のない話だけど」



 ロザンヌは右手を上げて薬指のリングを眺めながらぼやくのでした。

 ライチはキラキラした瞳でそれを見守るばかり。

 世間知らずへの遠回しな皮肉はまったく通じていないようです。

 ロザンヌは自嘲気味に失笑すると話を続けました。



「しかし、なんだい。案外まともに話せるじゃないの。その話を隣に座った人としたら良いんだよ。場が盛り上がるから」

「そんな、ロザンヌさんだから安心して言えるんです。良く知らない人に自分をさらけ出すなんて……」

「やれやれ、純粋で臆病なんだから」



 余りにもウブすぎて、自分にさえ嘘をつけないこと。

 どうやらライチが社交性に欠ける原因はそこにあるようです。


 ―― 芸術家気質といっても程があるだろうに。これならウチのヤドロクを見習って欲しいもんだよ。うん……そうだ!


 ロザンヌはポンと手を打って言いました。



「アタシの婚約者は嘘とハッタリでお金を稼いでいる、いわば嘘の専門家なんだよ。アンタ、ウチの人から少し嘘のつき方を習うといいよ」

「え? 詐欺師さんなのですか?」

「違うよ、俳優! まぁ似たようなものかもしれないけどね、あのダメ人間は。それでも、アンタが習うべきは演技の仕方だと思うのさ」



 演技が出来るようになれば、職場の人間関係も良好になるだろう。

 その一心から出た提案でした。

 どんな結末が待ち受けているのか察していれば、その道は選ばなかったでしょうに。


 ロザンヌの許嫁いいなずけであるピエールは、売れない舞台俳優でした。

 長年夢を追いかけているけれど一向に芽が出ず、付き合った女性にみつがせては愛想を尽かされることを繰り返し、そうやって三十の齢を重ねてきた経歴の持ち主でした。

 まさに「燃え尽き横丁」の住人に相応しい男だと言えるでしょう。ロザンヌ本人もそうしただらしなさを把握していたのですが、自分の包容力こそが彼を引き留めている唯一のものだと把握していたので強くは言えなかったのです。

 少なくともルックスの良さと口の上手さは一級品だったので、そのノリの良さをライチにも学んで欲しいとロザンヌは考えたのでした。

 稽古けいこが始まったのはロザンヌの提案から三日後。呼ばれてやって来たピエールは前髪を七三でわけたブロンドのロングヘア、口にバラでもくわえたら似合いそうな優男でした。普段から貴族が夜会にでも着ていきそうな洒落た服装をしており、見た目に気を使うタイプなのは明らかでした。

 そんな二人の顔合わせはこんな感じだったのです。



「やぁー、君がライチちゃんだね。話は我が未来の妻から聞いているよ。ウワサ通りのベッピンさんで驚いたな。君ほどの美女はパリエス国立オペラ劇場や、ベルサーユ宮殿の祝賀会でもそうは居ない。もっと自信を持っていいんだよ?」

「あ、ありがとうございます」

「……とまぁ、められて怒る人はまず居ないからね。良い人間関係を築くコツはとにかく相手をほめること。それに尽きるんだ。ほめるだけなら無料だしね」

「ふぇ!?」

「ボクの一挙手一投足を全て指導だと思って参考にしたまえ。もう稽古けいこは始まっているんだよ? なーに怖がる必要はないよ。ボクに教わればどんな大根役者でも一流の舞台俳優になるからね。そうなれば、人の心なんて思うがままさ」


「アンタね、余計なこと教えるんじゃないよ。彼女が周りと円滑にコミュニケーションをとれるようになれば、それでいいんだからね」

「はっはっは、未来の妻よ、任せておきたまえ!」


 ロザンヌ家の居間は急遽きゅうきょとして演技の練習場に早変わり。

 ピエールの指導は後の「嘘つき詩人」を形成するのに一役買ったのでした。

 そう、ライチも当初は割と乗り気だったのです。自分の内気さは自分が一番判っているものだし、ジャンルは違えども同じ芸術家としてシンパシーは感じるものですから。


 ピエールもライチが内に秘めた情熱をいたく気に入ったようでした。

 手取り足取り、嘘は言葉だけでなく全身のリアクションを使ってつくものだと若い弟子に落とし込んでいくのでした。元々ピエールの面倒見の良さは知っていたので、ロザンヌもその熱心な授業風景を目にして一安心しました。

 なんせライチときたら、頑なにロザンヌとかわした賭けの約束「何でも言うことをきくこと」を守り続けるような子でしたので「指導を受けろ」という提案も半ば強制でもあったからです。彼女が望んで成長してくれるのならば、それに越したことはありません。

 どうせ、洗濯女の仕事に出しても同僚を怒らせるだけなのですから、しばらくは休ませてレッスンに専念させることにしました。

 それはつまり、ロザンヌ一人が仕事に出かけ男女二人を一室に残すことを意味していたのですけれど。二人の年齢さを考えればそれは気にかける所ではない、ロザンヌはそんな風に考えていたのです。

 ロザンヌの休日には三人そろってお出かけし一緒に過ごしているのだから、二人を放置しているという感覚もありません。そして何よりライチの純粋さを信じていたので、面倒を見てあげた娘から裏切られることなど微塵みじんも考えていなかったのです。

 それはある意味正解でした。

 ライチは裏切らないことで三者の関係を崩壊させたのです。



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