第10話(第三歌、完)
「おや、もうオシマイなのか? ミイのハートを鷲掴みにしておきながら、これで終了とは。歌姫は生殺しがお好きと見える」
キザったらしい喋り方をするのは、体がヒト、頭がカエルの蛙人間でした。
アマガエルみたいに緑色のヌメヌメした肌をしているのに、真っ赤な貴族服を着込んでオメカシしているのです。腰には
ゲコゲコ喉を鳴らしながら蛙人間は軽やかに名乗りを上げるのでした。
「ミイはケロヨン・A・ローベルである。人からは妖精男爵とも呼ばれているな。歌い手のお嬢さん、名前をうかがっても?」
「ライチ・ライ・バクスターですわ、男爵」
「その角が生えた帽子は、ドゥルド族かな。よく見ればアルカディオの仮面を被った剣士まで居るじゃないか。まるで古のサーガをなぞっているのかのようだ。演出としても素晴らしいな。点数にからいミイが八十点をあげちゃおう」
「身に余る光栄です。ですが、ドゥルドの習わしをご存知ならお気づきのはず。私達が貴方を誘ったのは厚顔無恥にもお願いがあるからなのです」
「ああ、先ほどさらった女の件か」
そこでメアリが感極まって叫びました。
「スージィを返してください、ケロヨン様。ちょっとだらしのない所もあるけれど、彼女は友達なんです」
「ほほう。誰からも訴えがなければ、このまま『お土産』に良いと思っていたんだがねぇ。持つべき者はやはり友達だ。しかしねぇ、彼女のことを思うなら、このまま妖精界へ連れて行かれた方が幸せだと思うんだがねぇ」
「それは、どういうことでしょうか?」
冷静に尋ねるライライに目蓋を細めてみせると、ケロヨンはこう続けたのです。
「だってね、人間界はもうすぐ滅びるって話じゃないか。沈む船にいつまでも乗っているよりも新天地に導いてあげた方がどれほど幸せか。歌姫とそちらのお嬢さん、よろしければ貴方たちもご同行なさっては? 妖精は一夫多妻制を認めているんで」
「待て、コラ。黙って聞いていれば好き勝手抜かすな、この蛙!」
ハービィも我慢の限界でした。
ラタに引き続き、コイツも破滅論者とは。したり顔で意味深なことばかり言う輩にはもうウンザリだったのです。ましてや、ライライにちょっかいをかけられて何も言えないようではナイト失格ではありませんか。
「どいつもこいつも、この世が滅びるってそればかり。知っているなら言ってみろ、何が原因で俺達の世界は終わるってんだ!?」
「おや、アルカディオさんはご存知ない? 昨今の妖精界じゃ有名な話なんだがね。教えてやらんでもないが、その武器は飾りじゃないんだろ? ミイは野郎を無条件で助けるほどお人よしではない」
「何をしようって言うんだ?」
「決闘だよ。メスをめぐってオス同士が争うのは自然界じゃ当たり前のこと。女を返して欲しいのなら、そちらも女を賭けて戦うんだな。お前が勝てたら、スージィは返すし、ミイの知っていることは洗いざらい教えてやるよ」
「おう、話が早いじゃないか! 勿論受けて立つ……っと、その前に」
ハービィは怖々とライライの方へ向き直りました。
もしや勝手に交渉を進めたので怒っているのではないでしょうか?
ですがそんな心配はまったくの
「あら素敵! もしかして私、二人の殿方に求められているのかしら?」
彼女はドラマチックな筋書きに酔いしれているようです。
その能天気さは、逆に当事者であるハービィの方が不安になるくらいでした。
「おいおい、判ってる? 俺が負けたらどうなるか?」
「貴方はナイト、私は姫君。それなら私の気持ちは一つですわ、ハービィ。喜んでこの純潔を決闘に賭けようではありませんか」
どこか芝居がかった言い草です。
台詞に反して頭の中ではまるで別のことを考えていそうな……お前が負けたら私がアイツを葬り去るから何も問題はないとか……そういう悪いコトを考えていそうな、とても良い笑顔でした。
「おいおい、やるのか? やらないのか? 男らしくハッキリしろ」
「やるよ! なめんなよ、この両生類が」
「ちょっと待って、それ私も含まれてる? ねえ、私は負けたらどうなるの?」
もはやオマケ扱いで了承を求められもしないメアリ。彼女も条件に自身が含まれているのか必死に食らいつき確認を取ろうとしていました。けれどヒートアップした二人は、最早どうでもいい話に耳を貸さなかったのでした。(あんまりですね!)
こうして乙女三人の運命と世界の秘密を賭けた決闘が始まったのです。
「では、古式ながらこういうのはどうだ? ミイの投げた帽子が地面に落ちた瞬間から開始といこう。立会人もルールもないが、オスの面目に賭けて正々堂々競い、決着したら素直に負けを認めること。OK?」
「望むところだ!」
「では、参らん」
ケロヨンがツバ広の帽子を投げると、その場に居合わせた全員の目が空中に集まりました。高々と宙を舞う帽子が地に落ちるまで恐らく五秒ほどは猶予があると思われました。
ハービィは木刀を、ケロヨンはレイピアを抜き、その瞬間を待ちながら身構えていました。
ところが、です。ケロヨンが口を開き、伸縮自在のベロを伸ばしたかと思えば空中の帽子をとらえてムリヤリ地面に叩き落したではありませんか。
タイミングを狂わせされてハービィがつんのめった所へ、ケロヨンが突進してきました。
そこから繰り出されるのは刺突剣の流れるような連続突き。あと一瞬反応が遅れていたらいきなり英雄の串刺しが出来上がる所でした。上半身を捻ってかわし、追撃を木刀で弾いてどうにか串刺しをしのぐと、ハービィは思わず悪態をつきました。
「テメェ、汚いぞ」
「何を言う、ミイには第三の腕があると事前に見せてやったのだ。感謝しろ」
そう、身のこなしの速さもさることながら、ケロヨンの脅威は器用な舌使いにありました。距離をとって仕切り直そうとするハービィの首へ、伸びたベロが巻きつきました。ケロヨンは舌の力だけでハービィの体を持ち上げるとブンブンけん玉のように振り回し、あたかもカンシャクを起こした児童が人形を投げ捨てるかのごとく彼をセイヌ川へと放り込んだのでした。
小柄なハービィとはいえ男一人をけん引するそのベロパワー、並外れたものでした。
川に落ちたハービィは無数の泡に包まれながら水底へと沈んでいくのでした。
―― くう! バケモンかよ。そりゃそうだ。向こう見ずなガキが、人外相手に決闘を挑めばそうなるよな。でも、負けられないんだ。何とかあの舌に対抗する手段は……。
河原では女性二人が応援に声を張り上げているようです。
そして、川底へ沈むハービィのマスクがその声に反応して微かに光っていました。
より正確に述べれば、仮面の額についた三菱の紋章『トリケトラの紋』が淡い光を放っていたのです。
―― この光は……そうか、ライライが仮面の成長に必要な名声をタップリ集めてくれたんだっけ。リトルマッジ村で彼女は何と言っていた? アルカディオは自然を支配する力を秘めていると、いずれは俺もそうなると。
未知の力が体内で流れとなりハービィの左手に集まっていくかのようでした。
意を決するとハービィは泳ぎ出し、相手が待つ岸辺へと向かったのです。
―― セイヌ川の水よ、飛び道具になれ。あの時きいた「嘘の英雄譚」みたいに!
浅瀬に立ったハービィは口に木刀をくわえ強く心で念じました。
たちまち水はカタチを成し、ハービィがイメージした通りに弓と矢が生まれたのです。
「待たせたな、両生類」
「はん、それがアルカディオの力か!」
弓の弦が引き絞られ、水の矢がケロヨンに解き放たれました。されどケロヨンはそれを避けようともしませんでした。
一目見てさしたる脅威ではないと知れたからです。
水の矢は顔面に命中し、スライムが巻きつくようにケロヨンの口と鼻を粘着性のある液体が覆いました。
本来なら標的を窒息させる術なのでしょう。されどケロヨンは原形質の水をむんずと
「品のない例えではあるが、蛙のツラに小便ってな! 妖精の子どもでも、相手を見ながらもっとマシな術を使うぞ。そもそも蛙は皮膚呼吸ができる。いくら肺呼吸だからってミイが溺死すると思ったのか」
「うん、本命はそっちじゃないから」
ハービィがニヤリと笑ったのは理由があってのことでした。
ケロヨンが違和感を覚え、ふと自分の右肩に目をやれば……そこには大きな川蟹が一匹居て、ハサミを打ち鳴らしているではありませんか。ハービィが水の矢に仕込んでおいたのです。
「ぎにゃああ!」
カニに頬を挟まれてケロヨンは悲鳴をあげました。
その隙にハービィは川から上がって全力で間合いを詰め、木刀を振りかぶったのです。
薙ぎ払い一閃。強烈な胴打ちがケロヨンをとらえました。
されどその手応えは風船にでも打ち込んだかのように柔らかだったのです。
「セコイ真似をするな庶民! これが男爵の底力だ!」
ケロヨンは腹に空気を溜めて膨らませることで攻撃を受け止めていました。そして貯め込んだ空気を丹田の気と練り合わせることで、禍々しい術を発動させました。
やがてケロヨンが大口を開き、ハービィの顔面に吐きかけられたのは毒々しい緑色のガスだったのです。それは吸い込んだものを蛙へと変えてしまう呪いのガスなのです。
周囲を包む緑のガスが晴れた時、そこに居るカエル男は二人に増えていました。
「はっはっは、ミイのような美男子になった気分はどうだ?」
「うるせぇ、顔が不細工になったからって勝負は終わってないぞ」
「なんたる侮辱! もう我慢ならん。ガマ君、カモン!」
ケロヨンが指笛を吹き鳴らすと、洗濯船から新手が現れたではありませんか。
戦斧を手にしたカエル男ならぬガマ男です。
決闘と言いながらタイマンを貫くことすらしない態度には、流石のハービィも度肝を抜かれました。
「おいおい、アンタ何してんだよ」
「使えるものは何でも使う、それが貴族の美学。ミイには部下が居て、ユーには居ない。それだけの話だろうが。それより急がないと、お前の体はやがて本物の蛙になってしまうぞ? そうなったら踏み潰して終わりだからな?」
あまりにも卑劣。二対一だけでは飽き足らず時間制限まで設けるとは。
カエルとガマに挟まれて、ハービィの心が折れかけたその時でした。
「じゃあ、私が参戦するわ。ハービィには部下は居なくとも仲間はいる。それだけの話だものねぇ」
ライライがそう言って戦場に飛び込み、ハービィと背中合わせに立ったのです。
「いや、君は賭けられる側なのに」
「それ以前に私達はパートナー、でしょう? 大丈夫、歌う時は上手く誤魔化しておくわ」
「……御礼は勝ってからだ、俺たち二人が!」
ライライの掌には河原で拾った石ころがありました。
彼女がその表面を指でなぞると光る文字が浮かび上がったのです。それはどこか仮面の紋章に似たシロモノだったのです。
「これはオガム文字、あらゆる魔術の源となる神秘の一文字よ。ドゥルド族の冴えたやり方、とくとご覧にいれましょう」
「前に靴から茨を出していたのもそれかい? ガマの方は任せた、信じてるぜ」
「こっちも信じてるからね、貴方と同じくらいには」
そこに毒を感じたのは、少し前にライライを疑ったせいでしょうか?
ともかくハービィは蛙と化した頬をプゥっと膨らませながら、ケロヨンに向き直ったのでした。
「この卑怯者。今度こそ真っ向から勝負だ」
「チェッ、見せつけやがって。お前らの絆が深いほど、奪いたくなるのが貴族なのだ」
相手にはレイピアのみならず、伸縮自在の舌もあるのです。しかも、エアバッグのように体を膨らませてこちらの攻撃を防いでしまうのですから。何も考えずに戦った所で勝ち目はありません。
正面から打ち合いながらも、ハービィは考えを巡らせていました。
昔、傭兵部隊のストレンジャーズで食料調達係をやらされていた頃、食べ物に困って蛙を調理したことがよくありました。蛙から肉がとれるのは腹と足、逆に骨ばっかりで食いでがなかった部位はたしか……。
そしてケロヨンの戦法をよく見ていると、レイピアを用い剣士として戦う時と、舌を伸ばして攻撃してくる時、二つの戦術を切り替える際にぎこちなさのある事がわかりました。
狙うならそこしかありません。
上体をかがめてレイピアをかわすと、ハービィは木刀で相手の武器を思いっきり打ち上げました。体勢の崩れたケロヨンは口を開け、ベロで反撃しようと試みているようでした。
案の定、隙だらけです。
ハービィは素早くスライディングでケロヨンの股下を潜り抜け、背後に回り込みました。
―― ゴーカイ流体術、水潜り。……からの派生技、飛び魚突きだ!
飛び魚突き。それは背後に回った低い姿勢から繰り出されるアッパー気味のジャンプ攻撃です。その際、攻撃に用いるのは木刀の柄尻。(握りの末端)
そうすることで木刀の長さが動作を妨げず、最小最短の軌道で無防備な背中を狙い打てるのでした。
そう、カエルとて膨らませられない部位は背骨。急所を強打されたケロヨンは哀れにも跳び上がって白目をむき、うつ伏せに倒れ口から泡を吹いていました。とても決闘を続けられる状態ではありませんでした。
ケロヨンは咳き込みながらもどうにか宣言したのです。
「ま、参りました。ミイの負けでーす」
勝利にひたる暇もなく、ライライに加勢すべく振り返るハービィ。
彼が目にしたのは石ころから生えた茨に締め付けられて崩れ落ちるガマ人間でした。
持つべき者は有能な相棒。
ハービィ達の勝利に異を唱える者はもう誰も居ませんでした。
やがて起き上がるまでに回復したケロヨンの命令によって、さらわれた姫君は無事に解放されたのです。一度は友情が踏みにじられたことすら忘れて、抱き合うメアリとスージィ。なんといっても汚れを水に流すのは得意だったのです。洗濯女だけに。
そして決闘の報酬はもう一つ残っていました。
「あぁー、もう一つ話す約束だったな。正直、君たちの王が必死に隠していることをミイが漏らしてしまうのも忍びないが。約束は約束だ。話すよ」
「この世界に迫る危機って、何なんだ? ハッキリ言ってくれよ。俺達の気付かない所から破滅が迫っているとでも?」
「北の果てにある荒野では、大地と水が腐り始めているそうだ。しかもその汚染地域はどんどん広まっているそうだぞ。ユー達の農産物が不作だったり、家畜が死産だったりするのは、その余波みたいなものだよ。土や水は深い所で繋がっているからね」
「なに? 大地が腐る? どうしてそんなことが」
「そこまでは言えないね」
「おい、洗いざらい話すって言っただろ」
「口を割かれようが、拷問されようが、言えない。妖精の持つ力は人知を超えた物だ。ゆえにミイ達が人間の歴史に関与するような真似は禁じられているんだ。妖精と親しいドゥルド族にだって話せるもんじゃない。これ以上のことを話せば人の歴史が変わってしまう。変わるどころか最悪、逆に妖精の世界が滅ぶことすら考えられるッケロ」
「そこまでかよ。あと突然なんだ、その語尾は」
「真実とはそこまで恐ろしいものなのだ。芸に秀でた人間に敬意を表し、ミイは話すべきでない秘密を部分的にとはいえ話した。情報量が少ないと愚痴らず、むしろ感謝して欲しい」
「はいはい、どうもね……うっ!」
不意にポンっと白い煙が上がり、ハービィの姿が消えてしまいました。
いや、よく見ればその場になめし革の衣服とアルカディオの仮面は残っています。そんな服の抜け殻が何やらゴソゴソ動いたかと思えば、その下から出てきたのは一匹の蛙だったのです。
「ゲコゲコ」
「おっといけない、ミイとしたことが。魔法がかかったままだったのか。でもね、慌てることはないよ。古今東西、変身魔法は乙女のキスで解けると相場が決まっているもんさ。そこにお姉さんが三人もいるんだから、誰か一人ぐらい助けてくれるんじゃない?」
なぜこうも終わりが締まらないのでしょう?
蛙と化したハービィが天を仰いで茫然としていると、その小さな体を両手で優しく拾い上げる者がいました。
言うまでもなくライライです。
「キスシーンを歌う時の参考にするよ。上手く出来るかわからないけど、その、君ばかり努力させておきながら私がまったく成長しないというのもアレだしね」
両手に乗せた蛙を顔の高さまで持ってくると、ライライはまじまじと平べったい顔を見つめてからそのオデコに口づけするのでした。
童話でも同じシチュエーションはよくあるが、あれは服ごと蛙になっているから許されるだけであって……着衣が脱げているなら、もう何をやっても綺麗な終わりはないのです。
この件からハービィが学んだのは詰まる所そのことでした。勝者のはずなのに、周りから気を使われながら服を着る惨めさっときたら!
ライライが笑いをこらえながらも慰めてくるのが、また悲惨でした。
「大丈夫、大丈夫、私の嘘はとっても役に立つ嘘だからね。主に君の名誉を守る為に」
「もう! 絶対面白がってるだろ! こうなったのもワザとじゃないんだ。仕方ないだろ、英雄として振舞うのに慣れてないんだから」
やはり新米英雄にとって、美談を仕立ててくれる詩人の嘘は欠かせないようです。
恥ずかしいけれど、ここはライライに感謝こそすれ怒る場面ではない……はずです。
ハービィは咳払いして苛立ちを誤魔化すと、彼女に気を使って言うのでした。
「あのさ、我慢しなくていいいから口をすすいできなよ。キスしたの蛙なんだから無理すんなって」
「そう? ドゥルド族はそんなの気にしないよ。でもまぁ、君が気になるのなら……」
不意にライライはハービィを抱き寄せると、その頬に改めてキスするのでした。
「ほーら、これで綺麗になった」
「いや、あの……えぇ!?」
「アホらしい、ミイはもう帰るぞ。勝者だからって敗者を付き合わせる権利はないぞ」
「あの、私達もそろそろ帰りたいんですけど……いい? 御礼はまた後日ということで」
ケロヨンだけでなく、メアリとスージィまでもが帰りたがっています。
「あっ、いや待って。ちゃんと家まで送るから」
流石にこのまま二人でイチャついていたら洗濯女たちの間で噂になるだけです。
ハービィはどうにか己の成すことを思い出し、依頼を受けたオデオン師匠の面目をどうにか保ったのでした。めでたし、めでたし。
いえいえ、まだ終わっていないことが一つありました。
後日、御礼をしたいからと洗濯女たちの職場に呼び出されたハービィはオデオン師匠から言われた通り「客観的に見たライライ」の話をそこで聞くことになるのでした。
それは概ね好意的な内容ばかりでしたが、一つだけハービィにとって聞き逃せない話があったのです。
彼女が時折、花束を手に一人で出かけることがあると。
季節は間もなく夏至の日。ライライのパトロンがパリエスの別荘へとやってくる頃合いです。パトロンに英雄アルカディオとして紹介されれば、より深く「滅亡の危機」へと近づくことになるでしょう。そうなればもう立ち塞がる試練を放り出して逃げ出すことなど不可能です。
いよいよ事態は正念場を迎えようとしていました。
最後までライライを信じ、仮面の英雄として道を貫けるのでしょうか?
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