はじまり

最後の景色

世界がとても綺麗に見える

こんなに綺麗だとは思わなかった

どうしてもっとはやく気づかなかったんだろう

もし気づいていたら…

いや、

気づいていたとしてもあの時は何も変わらなかったと思う

あの瞬間の景色を見たからこそ

この世界がこんなに綺麗だと感じるんだと思う

ほら、私の事なんて誰も気にとめない

なんて素晴らしいんだろう！！

今まで過ごしてきた世界が嘘のよう

最期に見たあの景色が言葉では表せられないくらい、素敵だったからかもしれない

だってあの景色は人生で1度しか見られないんでしょう？

それを見れた私は幸せよ

さて、そろそろ家に帰らないといけない時間だわ

家族が心配してわたしを待ってる

――ただいま

あれ、なんでみんな私に気づいてくれないの…？

なんでそんなにみんな泣いているの？

あ、そうか私…

あの日の学校の帰り道

頑張らなきゃって思ってたけど

限界だった

誰も私が見えてなくて

1日の大半を学校で過ごしている私には

世界が真っ暗で拒絶されてるって思った

だから—

ごめんね、こんな娘で。

-Fin-