run ~ ルートを「循環する」

 今回は一般動詞「runラン」を取りあげてみます。


 動詞には大きく、「一般動詞」と「be動詞」があるのでした。


 be動詞についてはまた、くわしく書きたいところです。


 本題の「run」をとりあえず考えてみましょう。


 「run」の基本となるイメージは、あらかじめ決められた、またはある程度決まったルートの上を「循環じゅんかんする」というものです。


 ランニングのコースはまさにそうですよね?


 そのルート上を「循環する」わけなので、「走る」という派生イメージが生まれるのです。


 ほかには「電気回路」などもそうです。


 決まった回路上を電気が「循環する」わけですから、電気回路を「回す」と表現するときも、やはり「run」を使うことができます。


 会社を「経営する」も、決められたルールというプロセスがあるので、「run」が使えます。


 ここで二つの前置詞ぜんちし(※「前置詞」についても、のちのちくわしくやりたいです)、「overオーヴァー」と「throughスルー」に登場してもらいましょう。


 どちらも「通過する」というイメージの前置詞ですが、前回で挙げた「意志の強さ」によって区別することができます。


 「over」の意志は弱めです。


 対象となる目的物を「ひょいと飛び越える」イメージです。


 他方、「through」の意志は強めです。


 やはり対象となる目的物を、「くまなく通り抜ける」イメージなのです。


 例文を見てください。


   *


I ran over the paper. わたしは書類に軽く・・目を通した。


I ran through the paper. わたしは書類にくまなく・・・・目を通した。


   *


 「ran」は「run」の過去形です。


 いかがでしょう?


 どちらも「run」との組み合わせですが、「意志の強さ」がまるで違いますね。


 お気づきの方もいらっしゃると思いますが、和製英語の「スルー」と英語の「through」では、むしろ意味は逆なのです。


 日本語の「スルー」のつもりで、英語で「through」を使うと、意味が通じないおそれがあるわけです。


 せっかくなので、もう一つ例文を。


   *


Electric shock runs over my body.

電撃が俺の体を駆け抜ける。


Electric shock runs through my body.

電撃が俺の体を駆けめぐる。


   *


 「runs」の「s」は、いわゆる「3人称単数現在のエス(※略して「3単現のエス)」」です。


 主語が一人称「Iアイ」か、二人称「youユー」ではなく、かつ「単数=一つ、もしくは一人」で、かつ「現在形(※これものちのち。じれったいですが、お許しください)」であるときにつくのでした。


 いずれにせよ上の例文では、「over」と「through」が違うだけで、主人公(?)が受けるダメージのニュアンスが、かなり異なるように感じられますね。


 とにもかくにも「run」は「循環」のイメージです。


 今回も読んでくださり、ありがとうございます。


 それでは失礼いたします。

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