VS 円盤海獣4 / サンダーコントロール砲、巨大海獣の崩壊


攻撃開始から0秒。


エビ型巨大海獣の上空にある円盤は、雷撃の当たった個所から赤熱。

雷撃は円盤に当たったあと、制御された経路を外れて地面へ向かって落ちる。

砲塔から放熱板が溶けて脱落。

円盤から巨大海獣へ、周囲に17本のエネルギィラインがあることが雷撃の分散によって判明。


攻撃開始から1秒。


弾道経路上の人工水晶建築に雷撃がソレる。

王都を守る盾であり、大型海獣より高さのある巨大水晶構造物が上端を融解させ、直後に粉砕。

ひときわ大きな雷鳴をひとつ響かせて、雷撃は誘導ラインから再び円盤へ。


攻撃開始から4秒。


分解していた発振子が焼尽。攻撃終了。

砲塔が管制システムと共に融解。


攻撃開始から6〜10秒。


焼尽した発振子の残熱により、空中都市水晶宮の付属戦艦が艦中央部から融解。

折れ切れた船体の後部が上空200mから落下。

王都中央部に墜落。


攻撃開始から14〜32秒。


円盤に亀裂。雷撃の命中箇所から砕ける。

エビ型巨大海獣は直後から、まるでそれが当たり前であったかのように、自重でゆがむ。

腕のハサミがもぎ取れ、触覚が地に張り付き、胴体が裂けて。

細長い多脚がくず折れながら、胴体だけが空中に残った瞬間が、どこか愉快な冗談のようであった。


そして、攻撃開始から33秒。


円盤が完全崩壊、一瞬の白い光と共に、エビ型巨大海獣は崩壊した。


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「ありがとうございました。イリス様にもお伝えください。おかげで安全な旅でした。お世話になりました」


老人は丁寧に挨拶を述べると、迎えの兵士たちと馬車へ向かうため下船した。

『随伴員』である彼が運ぶ楽器ケースの中には戦術魔術兵器の魔槍アロン。


核弾頭を運ぶような厄介な航海だったが。

これで仕事は終わり、危険は去った。


(そういえば、重巡洋艦インディアナポリスは原爆を輸送した帰りにイ58に撃沈されたのだったっけ。)

縁起でもないなあと思いながら、痛くもない眉間を揉んでみるのだった。


----


巨大な円盤海獣との戦闘のあと、イリス様は意識を失われて、船長室のベッドに。


イリス様に負荷がないようにと言っておきながら、無様にもほどがある。

負荷レベルのランク付けの理屈はまったく不明だが、戦艦を撃破するのに垂直発射管をアンロックした時は2日意識が戻らなかった。


本当はずっとついていたかったが、港湾への接岸手続き、随伴員氏への別れの挨拶やら、戦闘後の状況把握やらをしなければならなかった。

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