人造戦艦の作るセカイ / ヨナの望む臨終
「それで本題ですが」
世界の命運という、これ以上なく重い話をしていたはずなのだけれど。
ここまでの話は前座だったのか。
「私たちが作る人造艦船が普及すれば、いずれ古代戦艦は特別ではなくなります。
古代戦艦が不要になった世界で、ヨナさん自身は身の振りかたをどうするつもりですか」
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「ヨナさんが艦船を愛しているのは、同類としてよくわかります。
でも、ヨナさんは常に、イリス様のことを最優先で考えている。
それにもかかわらず、イリス様を危険にさらしてまで、艦隊の建造を急いでいます」
ミッキは、古代戦艦イリスヨナが巫女であるイリス様の命を削ることも知っている。
すでに答えにたどり着いている。
ミッキには隠せなかったか。
それで、これは私に自白するチャンスをくれたのだろう。
「すべてミッキの想像通りよ。私は、イリス様に未来が欲しいの」
今はまだ、イリス様に責を負わせる周囲がいるから、イリスヨナを失うわけにはいかない。
「だから『艦隊』を手に入れて、古代戦艦イリスヨナを不要のものとする。その役目を終えたら、私は自分ごとイリスヨナを消します」
これは私の、世界と他人を巻き込んだ賭け。
「もちろん最後の手段だけれど。確実性が無くても、イリス様を救う可能性があるなら」
私の自白に、ミッキは短く応じた。
「賛成はしません」
それから。
「ですが、いずれヨナさんとイリス様の将来に、艦隊が役にたつ時がくるかもしれません。
古代戦艦の秘密を紐解くなかで、他にもっとよい解決策がみつかるかもしれない。
だから、ヨナさんの本当の望みが叶うその日までは、ヨナさんの計画にお付き合いします」
反対されなかっただけでもありがたかった。
「ありがとう」
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