第3話 ダンジョン探索~魔狼犬を連れて~ 一階層フロアボス
□主人公
―あの初戦闘から二時間、俺たちはゴブリンを狩り続けた。
どうやらこのフロアは敵が弱く、数も多くて三匹、大体が一匹で行動しているといった感じだ。
その為、何の経験もない俺の幼稚な剣術でも簡単に倒せる。
そのせいで楽しくなっちゃってダンジョンの奥に進まず、ずっとゴブリン狩りしていたわけなんだが………まあ、うん。レベルが上がるのはいいことだ。
そして三つ程、分かった事がある。
まず、モンスターを倒すとアイテムを落とすことがある。
ゲームで言うところのモンスタードロップってやつだ。
今のところ確認できたゴブリンのモンスタードロップは<小鬼の牙><脆い木の棍棒><小鬼の皮>だ。
鑑定結果は―。
――――――――――――――――――
<小鬼の牙>
:ゴブリンの通常素材。武器によく使われる。
<脆い木の棍棒>
:ゴブリンが好んで使う。耐久値が全く無く、人が使うとすぐ壊れる。
<小鬼の皮>
:ゴブリンの通常素材。防具によく使われる。
――――――――――――――――――
こんな感じだ。
通常素材ってことはレアな素材もありそうだが、まだ見たことはない。
次に、≪空間収納・従魔≫についてだ。
このスキルは、従魔とその主人だけではなく物までも収納できるようだ。
試しに一回使ってみたところ、異空間の中はとても広く、辺り一面平原だった。
アイテムを手に持ってスキルを発動すると異空間に仕舞う事ができた。
そして、一度仕舞った物は念じるだけで自由に出し入れ可能らしい。
時間の流れも一緒だから、気を付けないと生ものは傷んでしまう。
これらの結果から、≪空間収納・従魔≫はとてつもなく便利なスキルと分かった。
そして、最後にステータス……と言うかスキルに関してだ。
先ずはこれを見てくれ。
――――――――――――――――――
<ステータス>
<名前>:「
<称号>:『始まりの冒険者』
<種族>:[人間]
<職業>:[無職:Lv7]
<スキル>
[ユニーク]:≪≫
[所持スキル]
戦闘系:≪連携強化Lv2≫≪付与Lv2≫≪剣術Lv2≫
生産系:≪≫
特殊系:≪鑑定Lv2≫≪従魔管理≫≪空間収納・従魔≫≪小さな運Lv2≫
<魔法>:【】
――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
≪剣術≫
:剣を上手く扱える様になる。剣技を覚える事ができる。
剣技
Lv1≪スラッシュ≫≪クロススラッシュ≫
Lv2≪スラッシュ・ペイン≫
――――――――――――――――――
見て分かる通り、スキルが増えていたんだ。しかもなんか技も覚えてる。
何の知らせも無かったから、レベル確認の時にすごく驚いた。
技の効果は―。
――――――――――――――――――
≪スラッシュ≫
:敵に向かって水平に剣を振るい攻撃する単発技。
≪クロススラッシュ≫
:Xを描くように敵を切りつけて攻撃する二連撃技。
≪スラッシュ・ペイン≫
:≪スラッシュ≫系統の技を放った後に使用可能。≪スラッシュ≫系の技で付けた傷にたいしての痛みが増す。
――――――――――――――――――
こんな感じで、かなり使えそうな技だった。まあ、一気にゲーム感が増してきたがな。
とりあえず分かった事はこれくらいかな。
まだ技がどんな感じなのか分からないけど、とりあえず行けそうな所まで行ってみようか。
◆
そうして、とりあえず進むこと数十分。
俺たちの前に、何かヤバそうな門が在る。
ここまでは石の洞窟だったのに、門の前は凄く広く整備された石の遺跡みたいになっている。
門の大きさは……大人三人分位?まあとにかくデカい。
これは、あれだ。ダンジョン物お馴染みのフロアボスの部屋だと思う。
俺の考えでは、このフロアは初心者用のチュートリアルエリアだと思っている。
余りにもモンスターが弱く、ゴブリンしか出てこない。
命のやり取りを覚えるには、相手が弱すぎる。
ここが命を奪う感覚に慣らすためのフロアだと考えると弱くても納得できる。
そしてこの考えが当たっているのならば、このフロアボスは今の俺たちには厳しいかもしれない。
―だが、それでもダンジョン探索に必要ならば。
このファンタジーを楽しむために乗り越えなければいけないのなら。
俺は、命を懸けて超えて見せよう。
まっ、要するに「もっと先のエリアを冒険したいから、多少危険でもボスに挑もうぜ!」ってことだ。正直、ゴブリンばっかでもう飽きた。
てことでボス戦、いっきまーす!
◆
◇第一階層、ボスフロア
〈ボスエリアに侵入しました〉
〈一度フロアボスに挑戦すると、戦闘エリアから脱出不可能になります。〉
〈それでも、ボスに挑まれますか?〉
ここまで来たんだ、もちろん「はい」に決まってる。
〈挑戦者の承諾を確認〉
〈フロアボス「ホブゴブリン」が出現しました。〉
〈戦闘エリア、展開します。〉
フロアの中は広く、奥に壊れた像があり、周りにはステンドガラス模様の壁がある。
壊れた像から通常より二回り大きく、より筋肉のついたゴブリンが現れた。
あれが、ホブゴブリンか。
「―GUGYAGYAGYAッ!」
ホブゴブリンが雄叫びを上げると奴の前方に魔法陣の様なものが現れ、そこからゴブリンが三体現れた。
「「「GUGYAっ!」」」
現れたゴブリンは棍棒を持っている。ホブゴブリンは棍棒では無く、少し脆そうな剣を持っている。
「剣持ちか!」
今まで棍棒タイプしか戦ってこなかったから、少し楽しみだ。
だがまぁ、楽しみためにも先ずは周りの雑魚からだ。
「蹴散らせ、凛狼!」
「グルㇽオァァァッ!」
凛狼が飛び出す。一番前にいたゴブリンが飛び込んで来る凛狼に向けて棍棒を振り被るが、家の子に比べれは、あまりにも遅い。
「グㇽラァァッ!」
―≪魔狼の牙・断牙≫
振り被った棍棒を下ろす事なく、魔力で出来た牙と強化された自慢の牙で食い千切られる。
「―二匹目」
凛狼が一匹目を倒して気を引いてる間に、右のゴブリンに近づき首を断つ。ゴブリンは叫び声も出せずに崩れ落ちる。
残った三匹目は、既に凛狼が倒していた。
「三匹目っと。これで残るはお前だけだ、ホブゴブリン」
「GっGYA」
そう言いながら剣を向けると、ホブゴブリンは怯えて少し後ずさる。
精神有利を崩さないように、怯えたホブゴブリンに近づいて右斜め上から剣を振るうが、振るった剣は難なく受け止められる。
「…ちっ!」
「GUGYAッ!」
どうやら、そこまで上手くはいかないようだ。
受け止められた剣を弾かれ、その勢いのまま反撃をしてくる。
その反撃をバックステップで回避。
「流石にボスか……けど!」
回避後、すぐさま突撃して剣を振るい攻めの姿勢を維持する。
しかし、ホブゴブリンも落ち着いてきたのか、冷静に防ぎながらもこちらに反撃を繰り出してくる。
剣戟の応酬が続くなか、ホブゴブリンの体に少しずつ浅い切り傷を負わせいく。
「―GUGYAッ!」
剣を撃ち合う音がフロアに響くなか、ひと際大きく音が鳴らし、ホブゴブリンに力強く弾かれる。
「っ!」
「GUGYAっ!」
剣を大きく弾かれた拍子によろけてしまい、その隙を狙ってホブゴブリンの剣が迫る。
「…ぐッ」
大きく右に跳んで回避したが、回避しきれずに左横腹を斬られる。
……覚悟していたとは言え、やはり痛ったいな。
傷はそこまで深くはないとは言え、やっぱりボスは強い。まず力では勝てず、また大きく弾かれたら今度は回避できるか分からないが、速度はこちらの方が速いと見ていいだろう。
相手は、打ち合い中も何個か捌き切れず傷を負っていった。
なら、勝っている速度を生かして今度はこちらから仕掛けよう。
「―ハアッ!」
ホブゴブリンに向かって、今までで一番速く剣を振るう。
「GUGYAっ!?」
慌てて防ごうとしたのか力が全く入っておらず、ホブゴブリンの剣が大きく弾かれ、少しふらつく。
「今だッ、≪スラッシュ≫!」
その瞬間を逃さず、右腕を狙って剣技を放つ。
「GAAAァッ!?」
切断まではいかなかったが、かなり深く傷付けた。ホブゴブリンは、腕を押さえてひるんでしまう。
その怯みは、素人でも十分な隙になる。
勝負を決めるため、この隙にありったけの剣技を叩き込む。
「おおおッ!≪スラッシュ≫!≪クロススラッシュ≫!もういっちょ≪スラッシュ≫!ついでに≪クロススラッシュ≫!ダメ押しで≪スラッシュ≫!どうせならどこまで続けれるか検証してやんよ≪クロススラッシュ≫!そういやお前に付けられた横腹の傷結構痛かったんだよ≪スラッシュ≫!」
「―そしてとどめの≪クロススラッシュ≫ゥ!」
胸部に向けて水平斬りで一撃、その上にXを描くように二撃、今度は腹部に水平斬りで一撃、その上にさらに二撃、また胸部に三撃、最後に顔面に三撃。
計十二撃の連撃を浴びて、ボスは光になった。……明らかなにやり過ぎた過剰攻撃。まあ初めて負わされた傷が痛かったし、仕方ないよネ。
「……ワフぅ(ジト目)」
「うっ!……悪いとは思ってるよ?」
だからそんな目で見ないでくれ!
〈フロアボス「ホブゴブリン」を倒しました〉
〈クエスト履歴を検索中……確認しました〉
〈クエスト[フロアボスを一回倒す]をクリアしました〉
〈報酬:<小鬼の素材>×10・<初級ポーション>×10〉
〈レベルが上がりました。〉
〈従魔のレベルが上がりました。〉
〈第一階層のフロアボスを討伐したため、第二階層への道を開放します。〉
〈それに伴い、職業システムが解放されました。〉
〈職業は、ステータス画面から変えられます。〉
おお! ついに来たか、ずっと気になっていた職業システム!
さてさて、早速確認……の前にボスドロップの確認しなきゃね!
宝箱は……ビンゴ! 場所はエリアの中央! やっぱりボスドロは宝箱からだよな~!
近くまで来て見た感じ、普通に綺麗な木の宝箱だな。
「ではでは、御開帳~!」
――――――――――――――――――
<餓鬼の鬼突右腕>
:ボスのホブゴブリンを特定の条件で倒すと落とすレア装備アイテム。
装備すると≪召霊右腕・餓鬼≫が使えるようになる。
ある特定の条件を満たすと特殊スキルが使える様になる。
≪召霊右腕・餓鬼≫
:餓鬼の右腕を出現させて操ることができる。
<ランダムスキルチケット>
:完全にランダムなスキルチケット。何が出るかは神にも分からない。
<ランダム魔法チケット・初級>
:初級魔法をランダムで習得できるチケット。
習得可能魔法
【火魔法】【水魔法】【風魔法】
――――――――――――――――――
――【魔法】!?
―――――――――――――――――
<ステータス>
<名前>:「
<称号>:『始まりの冒険者』
<種族>:[人間]
<職業>:[無職:Lv7→Lv10]
<スキル>
[ユニーク]:≪≫
[所持スキル]
戦闘系:≪連携強化Lv2→Lv3≫≪付与Lv2≫≪剣術Lv2→Lv3≫
生産系:≪≫
特殊系:≪鑑定Lv2→Lv3≫≪従魔管理≫≪空間収納・従魔≫≪小さな運Lv2≫
<魔法>:【】
――――――――――――――――――
――――――――――――――――――
<従魔ステータス>
<名前>:「凛狼」
<称号>:なし
<親愛度>:100%
<種族>:[
<スキル>
[ユニーク]:≪≫
[所有スキル]:≪魔狼戦闘術Lv1→Lv3≫≪嗅覚強化Lv1→Lv3≫
<魔法>:【】
――――――――――――――――――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます