第3話 訪問者

ある日の事、事件は起きた。


私が住んでいる所に奴は現れたのだ。




「な、何?ここまで来て…信じらんない!ある意味犯罪だよ!」


「何を言う!元々、家族で一緒に住んでいた場所なんだから犯罪なんておかしい話だ!」


「帰って!」


「弥来。そんな事を言うな!」

「言いたくもなるよ!あんたと一緒にいるだけで嫌なんだからっ!」




グイッと腕を掴まれた。




「や、やだっ!離してっ!」

「なあ、弥来。この間の男性は誰なんだ?彼氏か?」

「えっ!?この間?」



《誰の事だろう?》



私は、思い浮かんだのはクラスメイトの滝村君だ。


偶々、助けてくれたと思われるあの日の出来事。



「彼は別に」



《もしここで彼氏なんて言ったら大変な事になるよね》

《別に彼氏じゃないけど》

《ただのクラスメイトなだけだし》




「別になんだ?」

「別にあんたには関係ないじゃん!」

「関係あるんだよ。俺はお前の一応、父親なんだからな!」



「………………」



「義理じゃん…義理であるあんたに父親面されるのムカつくんだけど!第一、私はあんたから大変な目に遭わされそうになったんだから!そんな奴を父親なんて思…」




グイッと腕を掴まれドアに押し付けられた。



「や、やだ!離し…てっ!」




ドンッと押し退け私は、その場から走り去った。




「最悪…」




大変な目に遭わされそうになったとはいえ、実際にどうなったのかは覚えていない。


それが一番、私の中で引っ掛っている。




「………………」




その場から逃げて来たものの、行く宛などない。



「どうしよう?」




その時。




「羽田?」



ビクッ


名字を呼ばれ驚く中、振り返った視線の先には、滝村君がいた。




「滝村君!?」

「何してんだ?こんな時間に」

「いや…ちょっと…」



「………………」



「送ろうか?」

「いや!だ、大丈夫!つーか帰りたくないから!」

「えっ!?…帰り…たく…ない…?親と喧嘩でもした?」

「いや。それ以前の問題だから。と、とにかく、ごめん!それじゃ!」




グイッと腕を掴まれた。



「何かあった?」

「う、ううん…別に」



「……………」



「本当に大丈夫だから」

「家来る?」

「えっ!?い、いやいや!それはそれで問題だから」

「じゃあ何処行くの?こんな時間に。公園で野宿?女の子なのに?」

「…それは…いや…。まあ何とかなるし!それじゃ!」


「待てっ!マジ危険過ぎるから!」

「いや…」




ポンと頭をされた。



ドキッ



「羽田って人に頼ろうという気にならないわけ?」

「そんなの今まで私は一人でやって来たようなものだし!…あっ!」



「学校では友達も多いし、ましてや地元の人間の集まりの学校だけど、以前の羽田の状況みたら何か訳ありみたいだし」


 


「………………」





「とにかく家に来な。親いるけど女の子の夜の街は危険過ぎるから」



私は滝村君の所に行く事にした。


滝村君の家族は快く出迎えてくれた。


彼女とまで言われた私は焦る中、滝村君はそのノリに合わせて冗談を言い私をからかっていた。





























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