第133話 迷宮攻略編

 ハナとディアナ、そして白龍が対峙していたベイウルフの方に目を向けると、ちょうどハナがとどめの一手を加えている所だった。


 べウルフはその場に倒れ込んで再び動き出すことは無い。


「やったな」

「はい、ディアナさんと白龍さんのおかげです!」

「ハナもよく頑張ってくれたよ」


 そう言って、ヴィムはハナの頭をポンポンする。


「みんなもありがとう」


 ヴィムは召喚獣たちにお礼を言う。


『久々に暴れられて楽しかったぞ。我が主人よ』

『またいつでも呼んでく出され、主人様』

『我が牙が主人の矛となれて光栄にございます』


 そう言うと、それぞれ召喚獣は魔法陣の中に消えて行く。


「聖女の祝福はどこにあるんでしょうか?」 


 隣にいたミサが尋ねてくる。


「多分、この奥だな」


 ヴィムは最終階層の一番奥にもう一つ扉があるのに気づいた。


「これも魔力検知型か」


 自身の魔力をヴィムは扉に流し込んだ。

すると、扉が静かに開いた。


「これが、死者を映すと言う水晶か……」


 ヴィムの身長ほどある大きな水晶の隣に、装飾が施された台があった。

その上に、今回の目的である《聖女の祝福》が置かれている。


「それが、聖女の祝福ですか?」

「ああ、間違い無いな」


 資料に描かれていたものと同じ、黄金の瓶に入れられた液体はまさしく、聖女の祝福であった。


「ありがたく、いただいて帰ろうう」


 ヴィムは聖女の祝福を手に取ると、丁寧にマジックバッグへと仕舞った。


「じゃあ、帰ろうか」


 ヴィムは振り返って言った。


「いいんですか? 死者を映す水晶を使わなくて。幼馴染さんとお話しできるかもしれないのですよ」


 ミサがヴィムを気にかけるようにして口を開く。


「いいんだ。今はその時じゃない」

「なるほど」

「帰りましょう!」  


 迷宮攻略にかかった時間は二十時間掛から無いくらいだ。


「空間魔法で帰りは楽しようぜ」


 ヴィムは空間魔法を展開する。

人が通れる大きさになった所で、みんなその中を通った。


 王都の屋敷に着いた時にはもう、外は真っ暗でだった。


「ただいまー」

「おかえりなさいませ、皆様」

「おかえりなさいませ。お食事の準備ができていますよ」


 屋敷に入ると、ジェームズとアーリアが出迎えてくれる。


「ジェームズ、明日の昼に王宮に出向くと伝えておいてくれるか?」

「かしこまりました。そのようにお伝え致します」


 そこから、ヴィムたちは食事を取って休むことにした。


「じゃあ、明日の昼に王宮に行こう。それまでゆっくり休んでくれ」


 聖女の祝福は手に入れたのだから、早く王妃様の元に届けてあげたい。

あとは、これで王妃様が目を覚ましてくれるのを願うばかりである。


 ヴィムはベッドに体を預けると、すぐに意識を手放した。

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