第125話 対レッドワイバーン戦
『白龍に告げる。汝の身は我が元へ、我が命運は汝の矛となす。我が理にと従うのならば、汝の力を我に授けよ』
《召喚 白龍》
ヴィムが詠唱を終えると、真っ白な龍が姿を現した。
「白龍、ヤツをぶっ飛ばしてくれ」
『仰せのままに』
召喚した白龍は、口から白い息を吐く。
すると、赤竜の足元から、胴体が氷漬けにされている。
白龍の尾が赤竜へ直撃する。
赤竜はそのまま後方へと吹っ飛ばされていく。
十メートル以上吹っ飛ばされた後に、壁にぶつかった。
赤竜はゆっくりと立ち上がるが、かなりのダメージを負ったのだろう。
その様子は隙が生まれている。
「ディアナ!」
「任せよ」
《閃光の雨》
先ほどの閃光の雨よりも、矢の数が多い。
そして、スピードも倍以上になって赤竜に命中する。
「はぁ!!」
その隙を見逃さなかった、ハナとミサが赤竜に剣をつき刺す。
光の矢によって、負傷した所に剣を突き刺すことで、硬い皮膚を突き破ったのである。
そのまま、剣を横に引いて、確実に赤竜にダメージを与える。
「ヴィムさん、お願いします!」
赤竜から間合いを取った、ハナとミサが言った。
「ああ、これで終わりだ。白龍力を貸してくれ」
『承知した』
ドスの効いた声でヴィムは口にした。
《インフェルノ》
炎の竜巻に白龍のブレスが加わり、その威力を増す。
赤竜は炎の渦に巻き込まれて、断末魔のような咆哮を上げる。
炎の竜巻が収まると、赤竜は倒れ込んでおり、再び起き上がることは無かった。
ただ、赤竜の亡骸がそこに残されている。
「何とかなったな」
ヴィムは大きく息を吐いた。
「白龍久しぶり。助かったよ」
『ご無沙汰しております。主人様のお役に立てて光栄でございます』
そう言うと、ヴィムは白龍の頭を撫でる。
「マスターは黒竜だけでなく、白龍とも契約していたのか……」
「うん、ちょっと色々事情があってね」
「さっきは、戦いに夢中でしたけど、白龍って神獣クラスですよね!?」
ミサは驚きの表情を浮かべていた。
「ヴィムさん、すごいです!」
『そちらは、主人様の今の仲間か?』
「そうだよ」
『いいお仲間に恵まれましたな』
「ありがとう」
白龍はヴィムが頭を撫でると、嬉しそうな表情になる。
「じゃあ、私たちは核の回収をしちゃいますね」
「おう、頼んだ」
ミサとハナは赤竜の亡骸に近づいて行き、核の回収を始めていた。
「久しいな。白龍よ」
『懐かしい気配がすると思ったら、ディアナか』
「お前さんもマスターの契約召喚獣だったとはな」
『ほう、ディアナが人間と契約する日が再び来るとはな……』
「それは、お互い様だろう」
契約精霊と契約召喚獣が仲良さそうに話している。
「白龍もディアナと知り合いだったんだ」
『はい、こうして話すのは六十年ぶりでしょうか』
「もう、そんなになるか。我も久しぶりにお前さんに会えてよかったよ」
『そうだな。では、主人様またいつでもお呼びください』
「助かるよ」
白龍は魔法陣の中に消えて行った。
「マスターと一緒に居ると昔の知り合いによく会って面白いな。まだ、契約召喚獣はいるのか?」
「うん、あと一体いるよ」
「ほう、それは楽しみだな」
「ヴィムさーん! 核の回収が終わりました」
ディアナと話している間に、ミサとハナが赤竜の核を回収してくれていた。
「おう、ありがとう。じゃあ、少し休憩して次の階層へ行くか」
四階層の守護者を倒したことによって、次の階層へと進む階段が出現していた。
少し、休んで体力を回復させると、ヴィムたちは五階層へと進む階段を降りるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます