第4話 最強にとっての暇つぶし
迷宮に閉じ込められて気づく。
マジでやることが無いということに。
「迷宮攻略でもしてみるか」
ヴィムは立ち上がり、3階層を歩いた。
ここには魔獣は居ないので安心して移動することが出来る。
しばらく探索を続けていると、次の階層へと続く階段を発見した。
そして、その階段を降りる。
「お、マナ濃度が上がったな」
4階層に入ると一気にマナの濃度が濃くなった。
これは、魔獣のレベルも上がっていることだろう。
「ちょっとは歯ごたのあるヤツと戦いたいなぁ」
そんなことを考えながらもヴィムは4階層を進んで行く。
「ほう、グリフォンか」
ヴィムの正面には2匹のグリフォンが現れた。
そのグリフォンたちは迷う事無くヴィムの方へと向かって行く。
「止まってろ」
ヴィムは氷魔法を展開する。
その氷はグリフォンの足から胸の辺りまで固まった。
動けなくなったグリフォンは大きな咆哮を上げた。
「うるせぇな」
ヴィムはそのまま、首の位置に風の刃を放った。
そして、次の瞬間にはグリフォンの首と胴体が切り離されていた。
同様にしてもう一体の首もぶった切る。
絶命したグリフォンの亡骸が二体出来上がった。
「いまいちだったな」
亡骸になったグリフォンの上を飛び越えると、ヴィムは次の階層に向かうべく移動した。
しばらくして5階層に降りる階段を見つけたので、降りる。
「これは中々……」
流石に上級の迷宮である。
だれも入っていないと思われる5階層は荒れ果てていた。
マナ濃度も徐々に高くなってきている。
「またワンちゃんか」
今度はグレーウルフが現れた。
しかし、先ほどのウルフとは比べものにならないくらいに体は大きく、牙は立派な物があった。
「サクッと片付けちゃいますか」
数にしたら10体前後といった所だろう。
ウルフは基本的に群れで行動するのだ。
「燃えろ」
ヴィムは炎魔法を展開する。
その魔法は火炎放射のようにウルフたちを焼き払っていく。
3分ほど火炎放射は続いた。
火炎放射止めると、そこにはウルフの姿は無く、消し炭になっていた。
「迷宮攻略も結構楽しいじゃん」
本来、迷宮攻略は命懸けでやるものである。
それを楽しんで出来てしまうヴィムはやはり『規格外』ということだろう。
まず、高度な魔術を無詠唱で展開出来てしまうことすらおかしいのである。
本人は自覚していないみたいだが。
「さてさて、次の階層にいきましょうか」
楽しくなっているヴィムは次の階層へと向かっていく。
そこからも、出てくる魔獣どもを片っ端から焼き払いながら迷宮の最深部へと近づいて言った。
気づけば、迷宮の10階層をも超えており、いよいよ最深部が近づいてきていた。
ここにくるまで、ヴィムは傷一つ付けられていなかった。
「次の階層か」
ヴィムは11階層へと続く階段を発見したのであった。
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