第5話 迷宮最深部
ヴィムは11階層へと到着した。
「これは、凄いな」
ヴィムは思わずつぶやいた。
ここ、11階層にはマナが全く漂っていなかった。
3階層ではわずかに感じたマナもここでは一切感じ無かった。
「最深部か……」
これが意味することは恐らく一つ。
次の12階層が最深部だ。
何故ここにマナが無いかというと、次の階層に居る魔獣に奪われているのだろう。
よって、次の階層の魔獣は相当強いものと予想される。
マナが一切感じ取れないことも含めて考えると、次の階層は迷宮の守護者の存在が居る可能性が高い。
つまり、迷宮の最深部という事だ。
ここまでにかかった時間は約一日。
常人ではありえないスピードであった。
「倒してみるかー」
ヴィムは迷宮の守護者に挑もうとしていた。
無茶な挑戦ではあるが、なぜか負ける気はしなかった。
階段を降りて、ヴィムは12階層へと立ち入った。
「やっぱりな」
12階層には高濃度なマナが充満していた。
階段を降りてすぐの所には門のようなものがあった。
これを通れば守護者とのご対面ということだろう。
「いくか」
ヴィムはそのまま突き進んだ。
門を潜ると、地面が揺れる。
「なんだこれ」
そう思った次の瞬間、上から何かが落ちてきた。
「風よ来い」
ヴィムはすかさず、風魔法で砂埃を払い除ける。
「マジか……」
砂埃が消え、黒い竜がそこには居た。
「黒竜かよ」
黒竜はドラゴン族の中でも最上位に位置付けされる竜である。
これを倒すのは通常はSランク冒険者なら3人、Aランクなら10人、それ以下ならとてもじゃないが太刀打ちできない。
逃げるという選択肢が賢明だとされる。
「面白いいじゃねぇか」
ヴィムは僅かに口角を上げた。
こんなワクワクさせてくれる相手は何年ぶりだろうか。
少なくとも、ここ数年は出会っていない。
ヴィムは黒竜と対峙した。
『グォォォォォ!!!!』
黒竜が大きく咆哮する。
その衝撃で地面が揺れる。
そして、黒竜は口から青白い炎を噴射した。
「よっと」
ヴィムは大きく後ろに跳躍するとその炎から逃れる。
しかし、炎は止まることを知らない。
『物理防壁展開』
自分の正面に防御壁を展開する。
防御壁に当たった炎はヴィムには当たらない。
全てを受けながしてしまう。
「そっち、ばっかり攻撃されるのは面白くないなぁ」
ヴィムはそう言いながら黒竜との間合いを保つ。
『アイススピア』
氷の矢が無数に黒龍へと降りかかる。
『グォォォォ!!』
黒竜は再び咆哮を上げる。
「おいおい、そんなもんか? 黒竜さんよぉ」
ヴィムは黒い笑みを浮かべる。
すると、黒竜は羽をバタつかせて飛ぼうとし始めた。
「させるかよ!」
ヴィムは新たに風魔法を展開すると、黒竜の羽に向かって撃ち放った。
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