第10話 作戦会議

 僕と天子は水野組、と書かれた門の前にいた。


「はぁはぁ! み、見た? あの顔、あの動き! あいつ人間じゃないよっ!! 逆巻くぅん! とか、超リズミカルな発音だったしっ!」

「む。天子も驚いた」

「ふぉおお! 完全に死んでたよっ!! まだ体が震えてる! 寿命が待ったなしで減っていったよっ!!」

「落ち着け、落ち着くのじゃ。気持ちはわかる。が、お主――」


 天子は一拍置いて、


「――どこまで巻き戻す気じゃ? ふりだしじゃぞ、スタート地点じゃぞ?」 


「ごめん。あまりの恐怖に無意識だった」


 その日限りの巻き戻し――貴重な一回だが、後悔はしていない。

 なんせほら、あと数秒ほど遅かったら――手遅れだった気がする。僕の魂は速やかに処理されて天に召されていただろう。

 僕は深呼吸を一つ、インターホンを視界に、


「……もう一回、突入しよう」


「ほう。再度、挑む勇気があるとは感心じゃのう」


「今日、水野さんに謝るって決めたからね」


 二度目のチャレンジ。

 ならば、同じ道を歩まなくても――このインターホンを押せば、死神が出てくるのはもうわかっている。


 ……裏口を探して入る?


 いや、そんな小細工をして謝りにいっても駄目だ。こっそりと水野さんの部屋に侵入したところで、変態のレベルが上がるだけだろう。

 だとしたら、やはりこの門をくぐり抜けて入るしかない。つまり、死神を回避することは不可能だ。


 現状、すぐに浮かぶ策は一つ。


「天子、また僕を助けてくれるかな?」


天子はふむぅと相槌を一つし、


「ほうほう。なるほど」


 僕の思考を読み取ったのだろう、悪戯げに笑いながら、


「先ほどで『神人』の使い勝手は身に付いたじゃろう? 操作はお主に託す。その策、乗ってやろうではないかっ!」

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