第7話 停電

夏休みに入り

部活に入っていない俺は

毎日テレビの番をしていた

あついから

外に出る気にもならない


真緒

またメールするって言ったけど

ぜんぜんメールしてこなかった


もうすぐお盆が過ぎ

夏休みも残り10日を切っていた


台風直撃


昨日まで蝉がうるさかったのに

非難したのかな?


ゴーゴーと風の音しかしない


俺は何度も読んだ漫画の本を積み重ね

ダラダラとしていた


ヒマだ~


夜になって

風邪の勢いが強くなった

今がピークなのかな?


”ピピピ”


メールが入った

真緒だ


”いま家?”


”家”


”何してる?”


”ヒマしてる”


それから

メールが止まった


どうしたのかな?


”どうした?”


気になって聞いた


”今日、親が旅行に行ってて

兄さんも合宿だから一人で

ちょっとね”


こんな嵐の夜に

不安だろうな・・・


”行こうか?”


少し時間があく


”いいよ”


不安なんだろ?

断るなよ!


”行くよ”


”そと凄いし

危ないよ”


”10歩ないから大丈夫だろ

行くから玄関開けといて”


そう言って

俺は

スマホだけ持って家を出た


吹き飛ばされそうな風

耐えながら

真緒の家に行く


”ガチャ”


ドアの前で

真緒が開けてくれた

俺は風に押されるように中に入る


「ごめん・・・呼んで」


何で謝るんだよ


「別に・・・ヒマしてたし」


そう言って

俺は真緒の家に上がった


リビングに入ると

真緒はオレンジジュースとポテトチップスを

持ってきた


懐かしいな・・・


昔も

こんな日は

真緒の家でゲームしてたな・・・

真緒のお母さんが

こんな風に

お菓子とジュース用意してくれて

自分の家みたいに転がりながら

ここに居たな


あの頃と変わってない


真緒は俺の横に座った


「こんな日に娘一人家に残して

心配しないのかな・・・親は・・・」


真緒はため息をつきながら

微笑む


「まさかこんなに大きな台風が来るなんて

予約した時には分かんないだろうしな」


俺がそう言うと

小さくため息をついた真緒が

顔を上げた時


目が合った


俺は目を逸らす

不自然だよな


逸らした先には

真緒の脚があった

部屋着・・・そんな感じなんだ

白い大き目のTシャツに短めのパイルのパンツ

露出・・・多くねぇ?

俺が今から来るって思ったら

せめて下ぐらいは

もっとちゃんとはけよ!!


目のやり場に困る


俺の視線が気になったのか?

真緒はさり気なく

Tシャツを伸ばすようにして膝を覆い抱え

太ももを隠したのだろうけど

それがまた

何もはいていないように見えるから

余計にエロく見えてしまって

俺は窓の方に目をやる


そんな時

電気が消えた

停電・・・


「うわっ」


俺は思わず声が出た

真っ暗になったから驚いたわけではない

そうなったと同時に

真緒が抱きついてきたから

それに驚いたんだ


真緒は俺の声に驚いたのか?

直ぐに離れた


「ごめん・・・急に暗くなったから

よろけた」


よろけた?


しっかり抱きついてきたよな?

真緒

こう見えて怖がりだからな・・・


俺は

手探りで真緒を探す

指?

指が触れて

手だと分かった

握ってみたけど

反応はない


静かな部屋で

風の音しかしない


これって

嫌じゃないって事か?


目が慣れてきて

真緒のシルエットだけが分かる


俺はゆっくり

真緒の手を引き

真緒を胸に抱いた


でも

何も言わない


少し震えてる?


俺は真緒の背中をさする


真緒は

俺の腰に抱きだきつくようにして

じっとしている


お互いの心臓の音が聞こえるようだ


顔は見えないから

恥ずかしくない


エアコンも止まってるから

汗が出てきた


触れている場所が熱をおびてる


ドキドキドキドキ


胸が高鳴った




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る