第6話 メール
家に帰ったのは
1時過ぎ
歩きすぎて足が痛い
家族はもう寝静まっているから
静かにシャワーだけ浴びて
自分の部屋へ行った
なかなか眠れない・・・
今日は、色んなことがあったな・・・
ベッドに転がって考えていると
メール
”今帰ったの?”
真緒からだ
”珍しいな
メール”
俺はすぐに返す
”そうだね”
何だよ・・・なんのメールだよ?
小学6年生の時
お互いの親が仲が良かったから
相談し合ったらしく
同じ時期にスマホを買ってもらった
初めて番号を登録したのも
メールしたのも
真緒だった
あの頃は
スマホはオモチャで
毎日メールしてた
会って話せば早いのに
ワザワザそれぞれの家から
しょうもない事をメールし合っていた
それが
他の奴らに知られて
「お前さ
真緒の事、好きなの?」
仲間に
冷やかされた
そのころ
あまり真緒が遊ばなくなっていて
あいつらは
寂しかったのかもしれない
あんまり意地悪な言い方をされたから
俺は
ムキになって
「俺が好きなのは田中だ!!」
大きな声で同じクラスの女子の名前を言った
田中は真緒とは対照的に
長い髪の毛にリボンを付けていて
ワンピースがよく似合う
おしとやかを絵にかいたような女子で
話したこともなかった
俺の声があまりに大いから
クラス中が俺に注目して
「えっ告白?」
ませた女子が騒ぎ出して
俺は赤面
田中も吊し上げられ
俺の横に押されて
「壮が田中が好きだって
どうする?」
そうやって
みんなが囲み追い込むから
田中は泣き出して
なんか申し訳なくて
俺も微妙な顔をする
遠くで真緒が睨むようにそれを見ていて
その視線は冷たくて
目をそらした
それからかな…
真緒とのメールがなくなった
"おまえ
いつ帰ったの?"
"あの後
すぐに帰った"
"花火見なかったの?"
"うん
花火キレイだった?"
"うん"
"みんなと行けばよかった"
何かあったのかな?
俺は聞けない
真緒
聞いて欲しいのかな?
"結局
幸たちとも会えたの?"
その言葉にハッとする
会えなかったって言ったら
真緒、どう思うかな?
"いや"
すると
返信がしばらくなくて
俺は、正直に言ったことを後悔する
だけど、嘘なんてすぐにばれるし
真緒
まさか嫉妬してる?
”じゃ南と二人で今までいたんだ”
・・・どうこたえるべきだ?
見え透いた嘘しか思いつかない
単純な俺は
単純に答えるべきだと悟る
”悟と幸を探してたら遅くなって
バスなくなったから
南の家まで送ってきた
めっちゃ遠かった~”
おんぶしたって事は
言わなかった
言わないのは嘘ではない
”そっか
だから遅かったんだね
大変だったね”
”ああ
疲れた
足パンパン”
”壮とメールで来て楽しかった
また
メールしていい?”
”いいよ”
喜んではしゃぐ心を抑えながら
俺は冷静にこたえる
”おやすみ”
”おやすみ”
そう言ってメールを終えたけど
俺は眠れなかった
本当に
今日は色々あった
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