第53話 ストップウォッチ 2

体育館は狭かった。靴に名前書くの忘れたどうしよう。私は靴を脱いで体育館に入った。椅子と緑のシートがなくなってる。そうかこの狭い、舞台も小さな体育館で体育の授業を受けるんだ。格ぎ室も使うとは思うけど。皆寝転んで背筋をやってた。あれ嫌いなんだよな。起き上がりこぼしみたいに起き上がるやつ。誰かとペアになる必要がある。二年生の先輩が名乗りを上げてくれた運動部の物怖じしなさそうな子だ。結月もああなってた可能性あるのに。色が焼けている。「ありがとうございます」私は一方的にはかってもらうので感謝を述べた。礼儀正しい後輩がここでは求められている。先輩の手前きちんとしておかなくては。一応部活に入っているのだし。やばいこれ起き上がったとき恥ずかしい。胸見られる。これペアが結月だったらやばいな。足掴まれる前に逃げて困らせそう。「ちょー待って青井さん」このクラスで私を青井さん呼びするのは陰キャだけになっていた。呼ばない人も多いけれど。尊敬はされてないけどな。笛がなって白線を飛び越えるやつになった今度は同じクラスの背の低い女子が一緒だった。皆足がめっちゃどんどんいってるね。はやっ。何かあったんかな怖いんだけど。「そこ違うこっち」列に引き戻されることもしょっちゅうあった。目が離せないクラスの妹ポジションに気づけば収まっていた。お笑い的なあれもあるが。陽キャと陰キャ両方の妹である。両方と同じくらい喋ってるし。あんま自分から話さないけど。勉強は上でも皆自分のことをおもしろがるので親戚のお姉ちゃんだと思っていいと思う。八方美人やってて損はないねそこそこ態度変えてるつもりだけど。陽キャの方が積極的に話しかけてくる。営業とかむいてるんじゃないかな。握力を測るときに部長と会った。私は年々握力が落ちていっていて今年は8と8だった。右も左も両利きっぽくお揃い。だいたい15以上皆出してるな。次にどこまで遠くまで飛べるか砂場で測った。100何十センチだった。身長か。なぜか測定のカードの裏に何時間勉強してるかとあったので適当に2時間にしておいた。遊んだ時間もあった。運動場に戻ると50メートル走が待っていた。横を走る人は誰なんだろう。出席番号順に並んで座った。横は結月だった結月の方が速い。頑張ってついていった横の人が速いと自分も早くなる。7秒は切らなかった。巨乳は握力男よりあるとか言ってた。42だって。何か西瓜とか片手で潰しそう怖い。ストップウォッチが終わりを知らせた。

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