第2話 私がなりたい人
私は拗らせている方だ。オタクだからというのもあるけど、周りに可愛い女の子が多かったから。だから女子にモテないと思ったし自分は少女漫画のように男子に恋すると思っていた。今日、私は友達の友達に告白してみようと思う。試してみないとわからない。自分のことなんて自分ではわからないんだから。諦めたらダメだ。ヒロインは諦めないじゃないか。私だってリア充できるもん。私が百合なわけがない。何かあったときのために頭がよくない人を選んだ。頭が悪い人なら振る理由として十分だからだ。将来が見えないとか言っておけばいい。そもそも純愛なんて全然ないし。そんなもの存在したら少女漫画いらないじゃん。あと恥ずかしいと思う。大人だったら割り切った恋愛をすべき。恋人になる人と生涯一緒になる人は別人だ。
大丈夫何回か脳内で予行練習したはずだ。言える。言える。私と付き合ってください。いつもの階段に彼は立っていた。正直友達にしか思えないけど、どうせ別れるんだ。「付き合って」私とって言うの忘れた。「いいけどオレで大丈夫?」「私と契約して、魔法少女になってよ」「いや、魔法使いだろ」あほなので私がそんなに好きじゃないことはあんまり知らないみたいだ。誰にも言ってないから当然っちゃ当然ね。ほんとはもっと頭が良くなりたい。頭がいい人と付き合いたい。神様誰でもいいから頭が良くなる予定の人連れてきてください。勉強は私が教えますから。学歴コンプレックスなんてないけれどどうしても私の計画には勉強が必要なのだ。全ては輝かしい未来のため。未来への貯金。青春15切符売って欲しいな。キモいからだめか。残念。頭がよくなりたいと思いながらアニメみたり漫画読んだりするのを止められない。禁止されてないから余計に中毒になる。漫画でなら理想の恋愛もできるし頭よくて美人な彼女になれるのに。何でか努力はしてもし足りないらしくて今日もかえされたテストの結果に一喜一憂している。明日は図書館デートだ切り替えていこう。私は普通になりたいのだ。オタクではなく。オタクの私にはオタクばかりが寄ってきてしまう。本が好きだったのに。本読む頭いいひとが都合よく家のベランダに落ちてこないものか。絶対全力で拾いにいきますよ。ああ桜の花みたいな可憐な、私より頭よくて尊敬できる人来たれオンボロアパートへ。誰もこんな宮殿じゃ来たくないか。いつ別れようかなと隣を歩く男を見ながら佳乃はブツブツと独り言を言った。
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