第12話

この前来たときと何も変わらない風景がそこにはあった

そりゃそうか

この前来たのはつい先週だ

俺たちはそれぞれ自分で買った朝飯を食べる

なぜここにいるのか今でも理解が追いつかない

別に来る必要ないだろ

そんなときやつは俺を見て言った

「誰かと一緒に食べたほうが美味しいでしょ??」

まるで俺の心の中の問いに答えたように思えた

感情が顔に出ることなんてなかった

むしろ何考えているのかわからないと言われることばかりだった

「ふふっなんでって顔してる

自覚ないかもだけど結構顔に出てるよ??」

こいつは意外と凄いやつかもしれない


「ごちそうさまでした〜!!」

朝飯を食べ終わったあとやつは何かをおもむろに取り出し始めた

それは小学校のときの卒業アルバムだった

「ねぇまさこれ一緒に見ようよ」

それは俺の出身の小学校のものだった

どうしてやつが持っているのだろう

そのとき昔の記憶が一気に俺の頭の中に流れ込んできた

「あれ…??これ…俺の小さい頃の…」

「もしかして思い出した??」

そうだ思い出した全て繋がった

俺の目の前にいるのは

「かなで…かなちゃん…叶奏!!」

「そうだよ!!まさ〜やっと思い出したんだ!!」

全てがぶつ切りになっていた過去の記憶がパズルのピースのようにはまっていくのがわかった

どうして今の今まで思い出せなかったんだろう

「僕ばっかり覚えててまさは全然思い出してくれなくてすごい悔しかったし淋しかったんだよ??」

「ごめん俺…」

「ううん大丈夫だよまさもきっと大変なことがいっぱいあったんだよね思い出してくれたならそれでいいよ」

やつ…叶奏は俺の頭を優しく撫でた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る