第5話 居残り組

 召喚から七日が経過し、環境が変わった。


 元々決定していたようなものだったけど、魔王討伐組と居残り組とが明確に区分くぶんされた。それにともない訓練の内容なども変わり、討伐組はレベルを上げる為の実戦訓練がおもとなり、王都から離れた遠征えんせいも視野に入れられるようになった。

 一方、居残り組は様々な勉強が九割、レベル上げが一割といった授業中心の生活へと切り替わっていた。

 行われる授業は個別であることも多い。それぞれさずかったギフトが違うのでしょうがないとは思うが、できれば居残り組全員で受けれればとは思っている。とはいえ、全ての授業が個別ではないので一日一回は同じ授業を受けるような形にはなる。


 リーリャとの関係はまああれだ、今も改善を見ないまま進んでいる。どうも視野狭窄しやきょうさくな気質というか性格をした子であったようで、僕が何を言っても聞く耳は持たずニコニコとしている。そんな状態だ。まあ、そんなどうでもいいことはさておきだ。


 その日の午後に行われた授業も居残り組全員が一堂いちどうかいして行われた。そんな授業の中で学んだ知識の一つはこれだ。


 神から与えられるとされているギフトのしが決定される条件は次の通りだそうだ。


 悪しき心を持っていないこと。

 犯罪歴や破滅的な思考を持っていないこと。

 他者や他生物を思いる心優しき清らかな心を持っていること。


 一般的にこの世界でギフトが贈られるのは十歳を超えてからだそうだ。この年齢には多少の個人差があるものになる。その為、それまでに善行ぜんぎょうを積んでいるほどいギフトが贈られる可能性が高く、世界に対して無害であればあるほど強力なギフトである可能性が高まる。


 つまり僕は、そこそこ善い心を持ってはいるが、戦闘系ではないので犯罪者予備軍的な扱いってことだ。

 おかしいな。納得できないぞ。と思っても、この世界の神がそう判断したのだから仕方ないと受け入れる他ない。


 わざわざ悪い人間、心の闇が深い人間に凄いギフトを贈る必要はない。神だってこの世界が平和であればと願っているのだろう。それは当然であり仕方ないことだ。悪い人間には犯罪には活用できないようなギフトを与え、大人しくしてもらっていることこそが望ましいのだから。


 そうたとえば、調理や裁縫といった人畜無害なギフトを贈られた人物は、裏を返せば危ない奴の可能性が高いってことだ。

 しかし、一概いちがいにそうとも言い切れない。何故なら料理人になりたいと心から願っていれば料理系のギフトを贈られることがあるからだ。なので、一概には決してそうと言い切れないのだけど、日本人であり、中学男子であるはずのクラスメイトの場合は、残念ながら前者の可能性は高いとしか言えない。


 喩えば、この人達みたいに……。


「クソッ!何で俺のギフトが調理なんだよ!」

「裁縫とかやったことねえっつの!チートスキル寄越よこせや!クソが!」


 声をあらげているその二人の男子は魔王討伐組の訓練の様子を離れた所から見ていた。その二人と少し離れた場所には同じく居残り組となった二名の女子の姿もある。


 知らねえよ。うるさいから黙れよ。自業自得だろ?と思っても、その気持ちはおくびにも出さない。だってからまれたくないし。


 クラスに一人や二人、所謂いわゆるヤンキー的な少年少女は居るものだ。僕らのクラスにも例外なくそんなやからが存在したらしい。そんな事実を知ってしまえば、できれば召喚前に違う世界に行っててくれればよかったのにと思っても、こうして召喚されてしまったのだからもう諦めるしかない。

 とはいえだ、そんな事実を目の当たりにしている僕は、彼らがこれ以上腐らないようにフォローを入れておくべきだろうとは思っていた。

 だって、同じ日本人な訳だし、クラスメイトな訳だし、そんな人達の影響で僕ら全員の評価が下がることだけは絶対に避けたいからだ。


 個人的に勝手に定めた目標としては、修也一行が迅速じんそくに脅威となる存在をたおして数年で心置きなく自由を手にすることこそが望ましい。


 僕ら居残り組はその期間、ある意味で自由といえるかもしれないけど、脅威となる存在が斃されるまではこの国から出ることは叶わないし、無許可で冒険者になることだって叶わない。ある意味では人質的な立場だと言い換えることができる立場だ。住む場所は城の敷地内に固定され、常に監視要員の人員が近くにおり、城からの外出も許可がなければままならない。そして当然だけど、犯罪を犯せば容赦なく裁かれる側の人間だ。


 修也一行が気持ちよく任務を遂行する為にも、目の前の彼らの存在は不安要素であり、その不確定要素を少しでも取り除いておく必要があると僕は考えていた。それは、ひいては僕自身の為でもある。先程も述べたけど、彼らが仮に犯罪行為にでも手を染めれば居残り組である僕らに対する周囲の目や監視者の態度は悪い方向へと傾くのが必定ひつじょうだからだ。


 てな訳で、自称良識人である僕は彼らと接触を試みることにした。

 僕も一応は使えない系ギフトを授かった身だ。彼らと心同じく不満を述べながら彼らに近づけば仲間意識を持ってくれるに違いないと思っている。それはここ数日でずっと考えていた計画の始まりだった。


「ハア。目利めききって使えねー。完全に鑑定の下位互換かいごかんじゃん、くっそー」


 棒読みにならないように細心の注意を払いながら彼らの耳に声が届くように声を上げると思った通り反応があった。向けられた視線に気付きながらも気付いていないフリをし、項垂うなだれたように椅子に座っていると近付いてくる足音を耳が拾う。


 今現在、僕の目の前には二つの果物が置かれている。

 その果物を見詰めながら、これみよがしに深い溜息を吐き出した。

 ちなみに、この果物を僕にくれたのはリーリャだったりする。これはあくまでオヤツとして提供してくれた物だ。手料理は、うん。なかなか美味しかったです。と、そんなことはさておき。


「よお、佐々木」

「ん?ああ、高田くんに大塚くん、それから立花さんに吉澤さん?どうしたの?」


 我ながらわざとらしいとは思うが気にしちゃ負けだ。何食わぬ顔で四人に話し掛けると彼らは僕が座っていた丸テーブルに腰を下ろした。

 最初に話し掛けてきた高田くんがイライラとした様子ながらも口を開く。


「目利きってそんなに使えねえのか?」


 よし食い付いた。と、ニヤケそうになる口元を隠すように〝〟に曲げた後で返事を返した。


「これ、どっちが良い果物か、分かる?」


 〝うん〟とも〝いいえ〟とも言わなかったのは当人達とうにんたちを交えて実践してみせた方が信憑性しんぴょうせいも仲間意識も高まるだろうと思ったからだ。


 テーブルに並べられた二つの果物。片方は傷が多く目立ち、片方は表面は綺麗ながらも発色がイマイチの同じ果物。蜜柑みかんくらいのサイズだけど見た目は林檎りんごに近い赤い果物だ。それを指先で小突こづくようにしながら口を開くと四人の視線は果物に集中した。

 最初に口を開いたのは、召喚されていて以降ずっと不満そうな顔を見せていた吉澤さんだった。


「こっちじゃない?」


 吉澤さんが指さしたのは傷の無い方の果実だった。見た目が林檎に似ているから其方そちらを選んだのかもしれない。


「でも、色が良いのはこっちよね」


 続いたのはもう一人の女子、立花さんだ。傷は多いが色艶いろつやだけは良い方を指差し、同意を求めるように別の男子へと視線を向ける。

 男子二名は意外と真剣な眼差しで果実を見詰めていたが、クラスメイトの中でも特に美少女といえる立花さんに話を振られる形になると、途端に表情が溶けた。脳内で「でへっ」とキモイ擬音をその光景に書き足しながら僕は二人の言動を待つ。


「確かにこっちのが美味そうだよな」

「でも、痛んでそうじゃね?切ったら中身が変色してるとかありそうだぜ?」


 無駄にヘラヘラとしている二人を見て若干引きそうになった自分をいさめつつ、ほぼ一斉に向けられた四人の視線に答えるべく僕はゆっくりと口を開いた。


「僕のギフト、目利きが導き出した答えは………どっちも同じなんだ」

「「「「は?」」」」


 四人ははとが豆鉄砲を食ったような顔で間の抜けた返答を返した。って、どんな顔なんだろうと想像するけど、少し間抜まぬけした驚いたような顔だろうなって勝手に想像している。目の前の四人のように。


「なんだよそれ!」

「同じってどう同じなんだよ!」


 予想以上に期待外れな回答だったのか男子は声を荒げたが、女子の反応は少し違った。最初に口を開いたのは立花さんだ。その視線は果物を凝視ぎょうしするように細められている。


「どんな風に分かるの?」

「見た目とかじゃなくて味が良い方が良い果物ってことだよね?」

「……つまり、味や状態が食べる前に分かる?目利きはそんな感じ?」


 女子二人が意外にも食い付きが良いのは美味しい物を食べたい欲求が大きいからか。そんな不埒ふらちな思考を展開していた僕は男子に返答を急かされてから、おもむろにテーブルの上に右腕を乗せた。

 その手には、もう一つ、同種の果物が握られている。それを見た四人は眉をひそめた。僕はその果物が良く見えるように腕を伸ばし、手首をクルクルと捻りつつ全体を全員に見せながら口を開く。


「これ、色も綺麗で傷もなくて、この二つより一回り大きいでしょ?」


 うんうんと頷く四人を順番に見渡してから口を開く。


「で、僕のギフト、目利きが導き出した答えなんだけどさ」


 ギフトを前面に押し出し意識させるのは、如何いかにに僕のギフトが使えないかを印象付ける為だ。


「………全部同じなんだよね。三つとも」

「「「「はあ?」」」」

「一切違いは、ないようにしか視えないんだ」


 先程より間延びした間抜け声を上げた四人を見て、僕は内心ほくそ笑んでいた。作戦は大成功と言っていいだろう。

 見た目的に一番良いと思われる果物がそれより明らかに劣る見た目をした果物と同じ。それはつまり、僕の目利きは使えないことを意味している。

 これは嘘やハッタリなどではなく事実だ。僕に与えられたギフトを駆使くしして三つの果物を見比べても違いは一切ない。強いて言えば、買うなら手に持ったヤツだろうなと僕自身が考えているという程度の差異だ。それは四人も同じだろう。ということはつまり、目利きは有って無いようなモノだとも言い換えることができる。悲しいけどね。


「プッ。使えねえ」

「俺の裁縫の方がまだ生産性あるわ、ウケる」

「……ふうん、あなたも一緒なのね」

「しょうもな。時間の無駄だったわ」


 四者四様の返答を返すと興味を失ったように男子は視線を外した。

 一方、口では辛辣しんらつな言葉を口にしていた吉澤さんだが、果物の味が気になるのか三つの果物に視線を向けたままだった。そんな吉澤さんの期待に応えるべく、僕は左手に持っていたナイフをテーブルの上に置かれたお皿の上に乗せた。そのお皿ごと、とある方向へと押しやりつつ口を開く。


「高田くん、皮剥きお願いしていい?」

「はあ?何で俺が」

「いや、ギフト調理だし、その、上手かなと…」


 反抗的な態度を見せた高田くんだったが、女子二人の視線を受けて渋々といった様子でナイフと果物をその手に取った。


 それはギフトの効果か。瞬く間に果実はピンク色の果肉をあらわにし、手慣れたような手付きで果物が一口大に切り分けられていく。その様子を熱心な眼差しで見ていた立花さんが口を開いた。


「へえ。凄いわね、ギフトって」

「はっ!こんなんギフト貰う前から得意だっつの」

「「「え?」」」


 意外にも高田くんは料理などをしていたタイプの男子中学生だったようだ。思わず口走ってしまった自らの失言に高田くんは若干頬を染めつつ誤魔化すように尖らせた口を開く。


「両親、共働きだからよ。たまに?料理くらいは、まあ」

「へえ、意外」

「なんだよ!俺が料理しちゃ悪いか!」

「誰も悪いなんて言ってないでしょ?意外って言っただけよ」


 チッとこれみよがしに舌打ちしてソッポを向いた高田くん。しかしその頬は赤い。何せ会話しているのが普段は話したこともなかった美少女なのだ。それも仕方ないことだろう。


 立花さん顔の系統は清純派というより、どちらかと言えばボーイッシュな系統の美少女になる。その為、歳下の女子からも立花さんは結構な人気を誇る美少女として有名だった。髪型は所謂ショートボブで目付きは鋭いというより虚ろというか冷たい感じだ。というか無表情なことが多い。けれど非常に整った顔立ちをしていて目は大きく睫毛まつげも長くて目元は非常にパッチリしていて印象的だ。個人的には目の下の涙袋が一番のチャームポイントじゃないかと思っている。まあそんな感じで、クラスでも割と高嶺たかねの花として孤高な存在だった彼女は常に外を眺めているような普段は大人しい女の子だった。そんなことはさておき。


 お皿の上にはきっちりと仕事をした結果である、綺麗に切り分けられた果物が載っている。それを下品にも手掴みで摘み上げた僕は、意外にも柔らかい果実を咀嚼そしゃくし喉を潤した。


「うま…」

「本当?」


 立花さんが多少懐疑的な言葉を言っている横で吉澤さんは迷わず手を伸ばし、それに続くように大塚くんと高田くんが果物へと手を伸ばした。


「いただきます!」

「うわ、うっま!何だこれ!」

「へえ。美味いな」


 食感は桃に近い。が、味は全然違う。多少酸味があるところは林檎に似ているといえるが、味はどちらかというとライチとかそっち系だ。見た目のギャップ効果か、非常に美味しく感じられた果物を暫し夢中で食べながら、僕は四人の仲間入りができただろうかと考えていた。


 〝僕〟という個人を側から見れば所謂陽キャグループの一員、ということになる。それは修也の影響ではあるのだが、僕個人の性格は真逆の隠キャだ。


 本当の趣味は小説を読んだり、映画を見たり、動画を見たり、何かしらのクラフトをしたり、ゲームをしたりといった、完全無欠の超絶インドア派だった。

 不本意ながらも小学校から陽キャを演じてきた僕としては、ようやく肩の荷が降りたような気持ちであることはいなめない。だけどその一方で同時に寂しさを感じてしまっているのは、修也という存在が僕の中でどれほど大きなモノだったかを物語っているといえるだろう。


 今後も日が経つに連れ、同じ時と思い出を共有することは難しくなる。今も実際離れているし、修也は僕らがこうして休んでいる現在も訓練に打ち込んでいる。


 そんな修也の背中に視線を向けていると美少女な立花さんの視線を感じた。その指先には桃色の果実が摘まれている。


「ついていかないの?」

「え、あ、うん。まあ、足手纏いもいいところだし」


 この会話が異世界召喚されて以降、初めてまともに交わされた僕と立花さんとの会話と呼べる会話だった。今までは視線を向けられても冷たい感じの視線ばかりで言葉はなかったし、僕の問いに答えるような場合でも逆に視線は向けられることはなかった。そんな曖昧あいまいな、会話とも呼べない会話だけだ。


 まさか直接話し掛けられるとは思ってもいなかった僕は若干戸惑いつつ返事をしてしまっていたが、これはチャンスだとすぐに考えた。何せ相手は学校でも評判だった美少女なのだから。


「ふうん」

「……立花さんは、この先どうするの?」

「どうするって…」


 働くしかないでしょ?そう言いたげな眼差まなざしを受け、僕は柔和にゅうわな笑みを意識的に浮かべる。


「立花さんの本当にやりたかったことってなんだった?元の世界でって話だけど」

「………」


 何言ってんだコイツ。的な視線を甘んじて受け、それでも視線を外さずにいると、不満気な面差おもざしで溜息を吐き出した。


「……特に、これと言ってやりたいことがあった訳じゃない。でも」


 その後彼女は、家族と離れたくなかったと、心の内を吐露とろした。

 その中でも特に、幼い弟と離れ離れになってしまったことが不満というか心配らしい。お姉ちゃん子な弟が今もどうしているか心配で仕方ないといった様子だ。


 そんな話をしていると普段なら絶対に見せないような姿——目頭を熱くした彼女は、ついつい語ってしまった自分を呪うかにように頬を赤く染め、指先でその目元を拭うと、そのまま指を僕に突き付け怒ったような声音を上げた。


「あんたはどうなのよ!これからどうするつもりなの⁉︎」


 その言葉を真正面から受け、僕は密かに画策かくさくし、そして実行に移しつつあった計画に彼女を巻き込むことに決めた。いや、最初から全員を巻き込む気だったのだけど、彼女が弟好きなブラコン女子なら話は早いってだけだ。


 ちなみに、これは個別な授業の中で学んだ知識になる。

 そんな話を詳しく聞いていた時のリーリャは僕に尊敬そんけい崇拝すうはいするような眼差しを向けていたけど、正直居心地の悪さは半端ではなかった。何せ、そこまで高い志や博愛精神などがあった訳ではないからだ。それが何かというと…


「僕は近々、王都に在る孤児院に行こうと思ってる」

「………孤児院?どうして?」


 そう言うと、怒った様子がすっかりと抜け落ちた立花さんの返答を待って、僕は計画の一端を皆に聞こえるように話す。


「僕らってさ、この世界の一般的な人達に比べると、超が付く程のエリート教育を受けて育ってるっぽいんだよね」

「………だから?」

「うん。聞けば孤児院は在るって言うし、この世界の恵まれない子供達は生きて行くだけでも大変そうだしさ、そこで、比較的安全な職業である商人として生きて行ける様、その手助けを少しでもできればと思って」

「教育を教え……言葉が変ね。算数を教えるってこと?」

「まあ、そんな感じ?この世界では算術って言うらしいけど」

「………ふうん」


 孤児院に、この四人を連れて行こうと思った理由は至って単純だ。

 恵まれた環境で育ってきた僕らがこの世界に対して不満を持ってしまうことは仕方ないことだし、突然の変化に対応できなくても当然だと思う。そんな彼ら彼女らに、この世界の現実ってヤツを見せつければ、高慢こうまん我儘わがままな思考も少しは冷静さを取り戻すだろうと思ってのことだ。


 男子がついてくるかは正直不安だったが立花さん一人でも引っ張り込めれば後は芋蔓式いもづるしきだろう。王都という大都市といえる街を前に自由に出歩くこともできていないしね。街に出れるとなれば気分転換について来る可能性は充分に高いとにらんでいる。なので、先ずは立花さんを仲間に加えるべく、実の弟よりも心配すべき存在がこの世界に居ることを懇懇こんこんと話し聞かせてから共に行かないかと彼女一人を誘った。

 返事は無言の首肯しゅこうだったが、そのまま男子に視線を向けると曖昧ながらも同行する意識を見せる。最後に吉澤さんへ視線を向けると流れで頷いてくれたようだった。


 よし。では計画を実行に移すべく、僕らの教育係でもあり、実質僕らのトップともいえる女性に話をしに通しに行こう。

 そう皆に断ってから腰を上げると、吉澤さんが同行するように腰を上げた。そんな彼女に歩き出しながら声を掛けてみることにする。


「トイレ?」

「違うわよ」

「……そっか」


 その後、無言のまま歩き続けていた僕らは、三人と距離が離れてから一瞬視線を交錯こうさくさせた。それを見計らったように吉澤さんがボソリと口を開く。


「……私のギフト、聞いた?」

「うん。まあ」


 彼女のギフトは、それほど悪いモノではない。

 というか、僕なんかよりよっぽど有用性は高いし、五人の中では一番安定して稼ぎやすい上に高収入が確定しているようなギフトだと睨んでいる。


「どんな仕事か、聞いたんだ」

「へえ、どんな感じだったの?」

「……それがさ、虫とか、爬虫類はちゅうるいとか、植物ならまだ分かるんだけど、虫も、結構扱うみたいでさ」

「それだけ聞くと、なんだか魔女みたいだね」

「でしょ?何で薬作るのに昆虫なのって思ったけど、それが普通っていうか、当たり前だから、そう言われても困るみたいなこと言われて」


 女の子なら尚更なおさら仕方ないといえるかもしれないけど、彼女はどうやら昆虫が大の苦手らしい。口先を尖らせつつ不満を口にする様子は如何いかにも可愛らしいが、彼女の不満はそれだけではないはずだ。


 ちなみに、吉澤さんのギフトは〝調薬ちょうやく〟だ。ポーションとかを作れちゃうアレになる。そんな有用性も重要性も高いギフトを授かった同級生の女の子に僕は割と真剣な声音こわねたずねた。


「……やり残した、ことでもあった?」

「え?」


 思わずといった感じで足を止めた吉澤さん。見開かれた眼から驚きの色が失われていくと、その瞳が急速に陰りを帯びる。

 そんな瞳を伏せ、両の手をキュッと握り締めた彼女は、震えを帯びた声音でこう囁いた。


「……鏡花きょうかが、居ないの」


 鏡花。それはクラスメイトだったはずの女子の名だった。

 バスで座っていた位置が悪かったのだろう。バス前方。特に右前方にいた人々の大半はこの世界には居ない。

 目の前の彼女は、仲の良かった友人の姿が無いことに心を痛め、先の展望を見ることなんかできずにこうして俯いている。もしかしたら、この世界の人々にその怨嗟えんさの矛先を向けているのかもしれない。


 鏡花———花田鏡花さんは、明るい女子だった。

 快活で気さくで、誰とでも分けへだてなく接する姿は賞賛と尊敬にあたいする。そんな素敵女子だった。僕からすれば若干距離感が近すぎな女子だったけど、クラスの中では人気者の一人だったし、彼女を失ったことに心を痛めている人は多くいるだろう。


 そんな大切な友人を失ってしまった彼女は自分だけがこうして別の世界で生きていることが許せないのかもしれない。かといってどうすることもできないが、せめて立ち直れるようなささやかながらの手助けにはなりたいとは思う。


 まるでそれが自分の使命であるかのように感じていた僕は、彼女の頭を無意識に、ほぼ反射的に撫でていた。

 あ。しまった。と思った瞬間。ビクリと身体を震わせた彼女がその腕を力強く振り払っていた。


「………ごめん。つい」


 輝くモノが薄らと溜まった、怨嗟のこもったような視線に射抜かれ、僕は遅まきながら謝罪の言葉を口にすることが精一杯だった。

 フン。と鼻を鳴らしながらソッポを向いた彼女に、もう一度しっかりと謝ってから顔を上げる。


「修也くんならともかく、佐々木くんがこんなことするなんて思ってもみなかった」

「いや、なんというかその…」

「気安く、頭とかに触れない方がいいよ」

「ごめん、なさい」

「勘違いする子もいるからね!」

「ハイ。反省してます」


 姉に叱られる弟のように縮こまっていると、暫くしてボソボソといった感じの言葉が耳目じもくを打った。


「私、いま弱ってるんだから、コロッといっちゃうかもよ?」


 尖らせた口から放たれたその言葉と、上目遣いに頬を染めつつモジモジと指先を遊ばせる仕草に衝撃を受けた僕は驚愕に目を見開きながら半歩ほど後退あとじさってしまった。それが、この場では選択すべきでない行動だと悟ったのは…


「なに、その嫌そうな態度……マジムカつく!」

「ぐへえっ」


 悟った時にはもう遅かった。思った以上に鋭いボディブローが炸裂さくれつし、に身体を折り曲げた僕はそのまま尻餅をついていた。流石はレベル上位者。完敗っす。いや、一つしか変わらないんだけどね。そんなくだらない現実逃避的な思考はさておき。


「……あ」


 やり過ぎた。とでも言いたげな短い言葉が降ってきたが、今はそれどころじゃなかった。痛みと衝撃とで思ったように呼吸ができていない。そこに、地面をのたうつ僕を見下ろしながら吉澤さんのありがたい御言葉が遥か高みより降り注ぐ。腕を組みながらなのでがだいぶ強調されてそうだけど下からのアングルの僕からじゃそこまで見えてないのでセーフだろう。


「次、同じことやったら、殺すから!」

「……ヘイ」


 まるでヤラレ役の下っ端のチンピラの如く返事を返すと彼女はもう一度鼻を鳴らした後に足速にその場から去った。

 その背中を涙混じりな視線で追うと、その先に見知った姿が見える。


「……何やってるの?」

「いやあ、地面が冷たくて気持ち良いなあ、と」

「ふうん……なんか吉澤さん、怒った様子だったけど何かあった?」

「うん、まあ、調子こいたらぶん殴られたって感じ?」

「はあ?何それ、何したの?」

「えーっと、中途半端ななぐさめを?」

「最低ね」

「うん。反省してます」


 美少女にさげすまれた視線を向けられ、僕の中で何かが目覚めそうな予感をヒシヒシと感じながら立ち上がる。

 立ち上がり服に付いた埃を軽く払ってから、僕が彼女の目的を問い正す前に彼女は口を開いた。


「ねえ、いつ行くの?」

「ああ、孤児院?」

「うん」

「うーん。早くても明日かな?一応許可は貰ってるけど今からじゃ遅いし、明日許可が出るかはまだ分からないし」


 外は既に夕焼けに包まれている。

 王城へと続く、壁もある回廊かいろうに射し込む陽射しはオレンジ色で、背の高い開口部から斜めに伸びる光のカーテンは幻想的にきらめいているが、すぐにでも陽が沈んでしまいそうな時間帯だ。今からお邪魔するのは本当におじゃま虫もいいところだろうし、夜を宿泊場所以外で過ごす許可は降りることはない。


 多少不便だがそれも仕方ないことだろうと理解はしている。生活面に不安はないし高待遇といえる生活は未だ継続している。これ以上我儘を言って贅沢ぜいたくを要求するのは、ひいてはこの国の一般市民を苦しめることに繋がる。


「そう…」

「うん。とりあえず、ウィズさんの所に行こう」


 僕らの教育係のトップでもであらせられる少し年配の女性の元へと向かって歩き出す。

 追従ついじゅうするように歩き出した立花さんへと視線を向けるが、彼女は俯いたように視線を落としたまま綺麗に整えられた石畳を見ていた。


 こんなことをしている僕ら居残り組は別に遊んでいる訳じゃない。


 身体を動かす戦闘訓練は最低限に、この国の歴史や常識を学び、法律を理解し、世界情勢を頭に叩き込んでいる最中だ。それがひと段落すれば魔法などを学ぶ授業に移行する予定もある。

 多少文句を言いながらもこの国のことを真面目に学んだ甲斐あって、今日は少しだけ授業が終わる時間が早かっただけだ。そうして討伐組の様子を見学していたわけだ。

 なので、本来なら部屋に戻り自由に過ごしてても良い時間なのだけど一人で居ても暇で心細いだけだし、連れ立って訓練場へと足を運んでいた感じになる。何が言いたいのかというと非常にだ…。

 その時、僕のお腹がグウと音を上げた。その音を聞いてチラリと視線を向けた立花さんは自分のお腹を手で押さえつつ口を開く。


「ハア、おなかすいた」

「だよね!僕もペッコペコだよ」


 お腹と背中がくっついちゃうほどには腹ペコだ。

 何気ない話題を口にしたけれど、オレンジ色に色付いた彼女の横顔はうれいを帯びたままだった。そんな表情のまま彼女はボソリと言った。


不味まずくはないんだけど」

「ちょー美味しい。訳でもないよね。美味しいのは美味しいけど、何かが足りないみたいな…」

「あーあ。お味噌汁が飲みたいなあ。まさか自分に和食が恋しくなる日が来るなんて、正直思わなかったわ」

「根っからの日本人だし、全員がそう思ってると思うよ?」

「そうかな……あ、味噌って、あるのかな?」

「うーん。どうだろ。まあ、最悪作ればいいか」

「え?作れるの?」


 意外というか、この流れでは当然といえる食い付きを見せた美少女に口元が緩くなりそうなのを抑えつつ平常心を心がけながら口を開く。


「ネットで作るところ見たことあるし、大丈夫じゃないかな?時間は掛かるけど、それほど難しい工程ではなかったし」

「ふうん……いつ作る?」

「いや、すぐには難しいよ?大豆に似た豆とか探さないとだし、似ててもさっきの果物みたいに味が全然違う可能性だってあるし」

「じゃあ、醤油は?」

「醤油は……僕個人じゃ、ちょっと難しいかな?」

「お米も食べたい。作ってよ」

「はあ?それはちょっと…」

「大商人になるんでしょ?作れないならせめて手に入れなさいよ」

「そ、それは未来の話といいますか、あくまで予定というだけで…」 


 大商人なんてワード僕は一人にしか話してないのにな。と、そのワードをリークした人物を頭に描きつつ歩き続ける。

 そんな会話の過程で立花さんはいつもの調子を取り戻していた。案外、立花さんの一番の不満の理由は食かもしれないな。そんなことを考えているとジト目で睨まれた。理不尽だ。

 でも、ゾクゾクとした感覚が足元から身体の中を這い上がるようにして駆け抜けていくような感覚に襲われた。これはまさか、ある意味でご褒美といえるのでは?そんな思考が一瞬脳裏をぎる。


 あれ?僕ってマゾっ気あった?

 相手が美少女だし、本当に目覚めちゃったかもしれない。


「なにニヤニヤしてんのよ?」


 腕を組み、まるで僕を見下ろすかのような角度におとがいを持ち上げ、蔑むような目で睨む立花さんは回廊の開口部から射し込むオレンジ色の光彩こうさいに包まれていた。その頬が赤く染まっているのはご愛嬌だ。


「いやあ、なんて言うか」


 ポリポリと頭をけばツンとしたような表情のまま若干顔を逸らす立花さん。


「食べ物は大事でしょ?その、モチベーションを保つって意味でも」

「そう、だね。うん。善処ぜんしょしてみるよ」

「そこは、任せとけ、くらいは言いなさいよ」


 そう言った口先は可愛らしく尖っていた。その様子を見てニヘラと笑った僕はデジャヴを視た。


「何その顔……ムカつく!」

「ぐへえっ⁉︎」


 本日二度目の床は若干ザラザラとしていた。庭にも出れる通路なので仕方ないとは思うが二度も女の子にボディブローを決められるとは予想外もいいところだ。


 僕ってこんなキャラだったかな?どちらかというとモブキャラを演じつつも縁の下の力持ち的な立ち位置だった気がするのに…。まあ、道化が板に付いてきたってことかな。


 全てを異世界のせいにして立ち上がると腕を組んだままの美少女は「行くわよ!」と言って歩き出してしまった。その背中を追うように歩き出した僕は、痛みを訴えるお腹をさすりつつも口元が緩むのを抑えきれないでいた。そんな顔を見られでもすれば二発目が飛んでくることは目に見えていたのでつちかった精神力を総動員してどうにか平常心を保った。


 ちなみにだけど、立花さんは僕の完全なる上位互換じょういごかんだ。いや上位互換様だ。そう彼女は鑑定という素晴らしい能力を秘めたギフトを与えられた唯一無二の生徒なんだ。


 その能力の可能性は計り知れない。使い方によっては最大級の利恵をもたらすギフトだといえるだろう。

 まあ、貰ったばかりのギフトは性能が低いので使い続けてギフトの能力を高めていかないといけないのだけど。なので彼女は先程『ふうん、あなたも一緒なのね』と口にしたのだ。それはつまり、彼女もまだ、自分のギフトの真価を見てはないということになる。


 そんなこともあり、僕と彼女の授業はこれから先、同じような内容になることがほぼ決定している。完全なる下位互換としては肩身の狭い気持ちもあるが美少女と一緒に過ごせることは正直言えば喜ばしいことだ。まあ、そこに若干の不安要素という存在が介入してくる恐れもあるが、そうなった場合はそうなったまでだ。そんなことはさておき。

 彼女もそれが分かっているから、こうして仲良く話してくれているのだろうと思う。そんな彼女に対して掛ける言葉があるとすればだ。それは……


「孤児院に行く時、市場も見て周れるようにお願いしてみようかな」だ。


 まあ、反応としてはイマイチだったけど、その後に態とその話題を出さないでウィズさんと話していると肘で脇腹を小突かれて市場の話をするように催促さいそくされたので彼女も乗り気だったことは確定した。

 そんな確認作業を行い、ニヘラと笑いそうになった僕を見て剣呑けんのんな眼差しに様変わりした彼女に戦慄せんりつしたのは言うまでもないけど。


 ちなみにだけど、この世界には生まれ持って与えられる先天的ギフトの他に、努力と才能、そして運によって与えられる後天的なギフトも存在する。そして熟達した技が辿り着く境地、所謂スキルも存在する。まあ、ギフトとしてスキルを贈られることもあるけどね。


 こちらは誰しもが授かれる訳じゃないそうだ。先天的なギフト同様、人畜無害な人ほど良いギフトが発現する可能性が高いが、勇者を授かった修也が賢者とか大魔道士的な所謂チートギフトを授かれるかというと、そうではないようだ。

 後天的ギフトやスキルの善し悪しの条件は、先天的ギフトが所謂不遇なギフトなほど善い傾向に有り、勇者などといったギフトを授かっている人はセカンドギフトがほぼ確定で与えられないらしい。まあ、そりゃあそうだよね。

 ということはだ。僕にもまだまだチャンスは残されているということになる。但しこちらは、本当に努力や才能、運などが必要となるそうで、やたらめったらと発現することはないらしい。

 チャンスはあれど、その可能性は低い。それこそ百回連続でコインの表を引き当てるほどの豪運の持ち主でなければ……


 豪運?そういえば修也って昔っから豪運持ってんだよな。努力家だし、誠実だし、正義感もそれなりに持ち合わせている。心優しい人畜無害感はハンパないほど板についているし、昔から動物に好かれる不思議体質を持った奴でもあった。

 もし修也にセカンドギフトが贈られるとすればあれかな?ビーストテイマー的な魔物とも仲良くなっちゃうよ的なヤツだったりして…。もしくは神獣とか幻獣とか呼ばれてそうなヤツと仲良くなってモフモフハッピーライフを満喫するとか……ありそうで怖いな。



 うん。とりあえず僕も努力は惜しまず頑張って行こう。



 そんな決意と並行して、知識の収集は牛歩戦術のような遅々ちちとした速度で進んでいた。


 知識を知識とも思っていないというのがこの作業の一番の苦労の要因だが、そこは一人一人根気強く会話を重ねて、本人も自覚してない知識を絞り出させるようなことを続けている。


 喩えばだ。本人は何の気なしにやっていたパン作りに関して言えば、パンをふっくらとさせるにはベーキングパウダーというものが必要という知識は常識的に持っていたとしても、その詳しい成分を知る人は少ない。

 そして、知っていてもそれが利益を齎すような情報だと本人が認識していなければそうそう出てくるものではない。こうなると、パンというワードを僕が出さない限り相手は思い浮かべすらしないという状態になる。

 そしてそして、ベーキングパウダーの代わりとなる代用品の情報も、本人が意識しなければ、ただ会話した程度ではなかなか出てはこなった。


 僕の中に有る、有用性の高い知識の殆どは、個人的に運用できる動画投稿サイトから得たものが多い。

 その為、最近は「よく見てたヨウツベ動画ってなんだった?」って会話から入ることにしている。そうすると、意外と効率的に知識が詰まってそうな動画を見ていた人が早い段階で判明し、後はその知識を会話の中で思い出させメモに起こしていくことをやっている。


 その過程で当然、利益が出れば売り上げのいくらを渡すとか、晴れて魔王討伐が終わった暁には販売権などを譲渡するなどといった契約を結びつつ会話を進めている。勿論、掛かった経費や手間賃などは貰うことを明確に伝えつつ交渉を行っているので後々文句を言われたとしたなら裁判で戦うことになるかもしれないが、そこは今は考えないでおこう。


 そんなことを続けていると、僕らは恵まれていたんだなと、改めて感じた。


 知りたい情報を指先一つ動かすだけで知れる世の中だったんだ。しかも、動画という視覚的情報で工程を一から十まで明確に確認できる環境にいたんだ。

 それは、この世界ではあり得ない程に異質なモノともいえる。何かを知りたいと思えば専門的な知識を持つ人を探すことから始まり、その人物に会いに行き、教授してもらう交渉へと入る。

 それだけでも数日は費やすだろう。下手すれば数年掛かるかもしれない。

 そんな手間を掛けずに数秒で観たい動画を探し出し無料で閲覧できていた環境は恵まれている以外のなにものでもなかった訳だ。


 と、今更そんな感慨かんがいふけっても意味はない。


 僕がすべきことは、知識を知識とも認識していない記憶が薄れる前に、その知識を一つでも多く残す作業だ。

 使命感ともいえる気持ちを宿しつつも、僕は男子から始め、そして女子にも適宜てきぎ声を掛けていくことを続けていった。



 結局、孤児院に僕らが行けたのは、この日から二週間ほど経ってからだった。

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