第3話 小さな不幸③
キーンコーンカーンコーン
キリーツ、レーイ イヤーツカレタネー コレカラドウスルー?エキイカナーイ?
オイ!キョウハオトナシクイエカエレ、センセイタチハヨークミハッテルカラナ
ガヤガヤガヤガヤ
「昼で終わるなんてな、今日は驚きっぱなしだ。」
フェンスに寄りかかり独は空を見上げた。彼の表情は疲弊というよりか放心状態であり、口を開け言葉を発しても空に消えてしまいそうな声で話を続けた。
「で?気になる記事があーだこーだ言ってたが結局なんなんだ?どーせしょうもない噂だろ、当ててやる心霊系と見た。」
「残念、オカルトサイトでした、ほれ。」
新羽は持っていたスマホを独に投げた。スマホをキャッチし画面を見ると、とあるサイトのオカルト掲示板が映し出されていた。
「なにぃ?通り魔の被害者の親戚なんだが少し様子がおかしい件について…ふんふむ…人が変わったというより何もないような廃人になって会話ができない、(注意!写真あり)被害者には影がないらしい!…ねぇ。一言言っていいか、悪ぃがよぉ。」
スレッドのタイトルの人気順から二つくらい見た後、からかうような眼で新羽の方を見た。
「その…何つーかよ
嘘くせー!!!!!ギャハハハハハハ!
写真ありってもこりゃどう見てもご、合成だろぉ?プ、アハハハハ!小声で『気になる記事がある』とか言ってたから心配したが、あーばからしい。それにしても珍しいな、お前がこんなのにひっかるなんてよ。」
「まあそんな反応するだろうと思ったが、俺も最初そんな反応だったさ。今度は新規順にしてうちの地名書いてあるスレ押してみてくれ。」
新羽は笑いすぎて涙目になっている独を見ながら淡々と説明を続けた。
「魚田で起きた例の通り魔の現場に出くわしたんだがってやつだ。そこに載ってる写真あるだろ事件直後ってタイトル。それよーく見てみろ。」
まだ嘘らしいと思っている独は呆れながら指示に従い画像を開いた。
そこには倒れている人影とその隣でうずくまっている人間、そして数人の野次馬の姿が撮られていた。
「制服からしてちゃんとうちの生徒なんだな。んでこの写真がどうかしたか?もしかして影でも…あり!?マジで影がねぇぞ!また加工か?!。」
「んあー見てほしいのはそこじゃねんだ。野次馬の方、一人だけ被害者に目もくれず立ち去ろうとしてる奴いるだろ?電話してる奴さ。」
「ああ見つけたぜ…そのすごい険しい表情してるな。それでこいつはなんn。」
「手ぇ見ろ。」
独は険しい顔に目を取られていたが新羽の一言でもう一つの奇妙な点に視線を奪われた。
「なんか手の色…おかしくね?というかよぉ、か、形が変っていうか歪んでるっていうか。」
彼の指摘した通り写真の男の手はあまりにも黒く歪んでいるかのように見えた。
しかし、独はまだこの写真は加工だと疑っていた。
「でもよ、俺は正直加工なんじゃねぇかって思うぜ、なんか現実味がないっつうか。それにしてもお前がここまでこの通り魔に執着するなんてな、周りの熱にでもやられたのか?」
新羽をからかいながら借りたスマホを彼に返すと、彼は真剣な表情で独の方を見た。
「俺は気になるだけだ。なんでこんな噂が立ったのか、関係者や目撃者の証言や写真がよく一致するのか。俺はな、この一連の事件には自分たちの知らない何かがあるんじゃないかと思ってる。」
「何かってなんだよ。」
「さあな、それこそ影とかなんじゃないか。ってわりもうこんな時間だ、俺そろそろ帰るわ。じゃあな。」
新羽は床に置いたかばんを拾い急いで帰っていった。
独は一人になった屋上でゆっくりと仰向けになり目を閉じた。
(影ねぇ…偶然にしちゃできすぎだと思うがおとぎ話じゃあるめぇし信じ難いな。でも今日はひどく疲れたぜ、今日はぐっすり眠…れ…そ…zzz)
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