第6話

今日も憂鬱な帰り道がやってきた。


俺は配信者だ、少し有名な事務所に

スカウトされ、配信をはじめた。

まだそこまで有名という

わけではないが、最近は俺の配信

を見てくれるリスナーさんが少し

ずつだが増え、配信をしている

時間が学校で遊ぶことと同じ

くら楽しいと感じられるように

なりやりがいを感じられる

くらいになってきた。


先輩と比べたら俺は全然まだまだ

だけど――


「……ッ」


背中に汚れた気配を感じゾクリとした。


どんなに早く、長く歩いても歩いても

この気配が消えることはなかった。


このストーカーが始まったのは一か月

くらい前からだ。


はじめは、とても遠くすぐにその気配が

なくなったためただの偶然としか思って

なかった。

だが、最近は違う――――

人が少なくなるとすぐにこの気配

を感じ、さらにとても近くに

いるような感覚にいつも襲われるのだ。


普通ならすぐに親か事務所の人に

助けを求めるだろう。


しかし、これだけしつこいのだから

俺の行動をすべて把握されている

のではないか、助けを求めたら

もっとひどいことをされるのでは

ないか、そういう考えに至って

しまうほどに、俺の心は

疲れてしまっていた。


だから、今日もこうして歯を食い

しばって耐えている。


「………ッ!?」


けど今日はいつもと違い

想定外なことが起きた。


気配が二つに増えたのだ


「…はぁ…もう無理かも」


俺がそう声を出してしまった

とき


「―――そこまでだ」


静かだけど良くとおる声がした。


背後から小さな悲鳴が聞こえた。


少しすると、後ろから感じた気配は

感じなくなった。


「あ…ありがとうございます!」


俺は、顔をあげた。


俺を助けてくれた人は俺と同じ

くらいの年齢だった。


「大丈夫?」


「うん、大丈夫。」


「良かった。」


その人はとても優しく

笑顔で話してくれた。


「てか、俺に敬語で話さなくて

いいよ、同じ高一でしょ?」


「え、なんで俺の年齢しってんの?」


「それは俺も見てるからね‘‘SEI‘‘」


SEIというのは俺が配信をする時の

名前だ


「今日は夜も遅いし明日、話そ

学校がおわったら東公園にきてよ。」


「わかった、今日はほんとに

ありがと」


「どういたしまして、また明日ね。」


「うん、また明日。」


今日の帰り道いろいろあったが

おれは今までで一番ぐっすり眠る

ことができた。









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