1-3、辺境の街カーマヤオ
* * *
この街カーマヤオは山々に囲まれた豊かな自然の土地に広がっている。
一帯は降雨量が少なく、晴れの日が多いことから農作物の栽培が盛んだ。特に果物は味が濃縮された一級品が出来上がるという。
オレがこの街を
周囲の目線が気になって仕方がない。一体オレはどんな風に見られているんだろうか。
「そういえば、シグルイさんはどんな武器を使うんですか?」
リースがくるっと振り返ってオレに尋ねてきた。
「あー、武器か。昔は
現役時代の装備はとっくの昔に売り払って酒代に消えちまった。戦闘になってもこのままでは囮くらいしか役割がない。
「じゃあ
リースが胸を張って、聞いてもないことを教えてきた。
確かにオレもあるクソみたいな
「オレの現役時代の
「えー、逆に気になるよ!」
リースの「教えて教えて!」連呼をあしらいながら歩き続けていくと、円形広場に出た。広場に面した通り沿いに建つ、一際立派な建物が目に入る。
さて、ここに来るのもいつぶりだろうか……オレは懐古心と嫌悪感を抱えながら、その建物を見上げた。
冒険者
魔物退治などの
緊張しながら木製の扉を開けると、懐かしい匂いが漂ってきた。
汗と熱気と、そして金属の匂い。
冒険者
ここの
まだ希望が先にあると、無邪気に信じられていた頃の姿だ。
「……くっだらねえ」
オレは首を横に振って、雑念を頭から追い出すのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます