作者を逆恨みする心理の分析と応用①概論

いわゆる「金返せ!」という過激な感想はどんな作品にもつきものです。

しかし作者に対する反感と言ってもさまざまで品質管理に対する正当な苦情から

サルマン・ラシュディの翻訳者に対するヘイトクライムやシャルリー・エブド事件

のような極端な憎悪まで幅があります。

この問題はAIが執筆支援する時代においてセキュリティリスク化する可能性があり議論と対策は避けて通れません。

どのように防御すればいいのか分析を進めています。


まず課題の整理と分離する作業です。

作品に対する反感が向かう対象はおおまかに

①商業作品

②無料作品

に分類されます。


①は前述した「金返せ!」の顧客心理です。これに関してはクレーム処理に該当し既に多くの書物などで言及されていますので割愛します。

厄介なのは②です。

無料で公開されている作品にも「読むだけ無駄だった。読書に費やした時間を返せ」というクレームが発生します。

執筆にも相応の時間がかかるのですが、苦情を申し立てる側の眼中には無いようです。

それに作品の提供は無料のボランティアによって行われており、読者も無料で自由に閲覧できるため両者の間に契約関係は存在しません。

ではなぜ読者側に一方的な損害感情が生まれるのでしょうか。

一つ考えられるのが機会ロスの錯覚です。

「読書時間を無駄にした」という怒りの裏には「お前の駄作を読む間に他の傑作を読めた」「こんなつまらない作品を読まされる時間をスコップ(良作を発掘する作業)に費やしたかった」という損得勘定があります。


しかし、本当にそうでしょうか。

「お前の駄作に時間を浪費する」間に良作の検索が空振りに終る可能性もあり

「駄作より良作を読んでいる」間にもっとよい作品にめぐりあえたかも知れないのです。

つまり「時間を返せ」と作者に機会ロスの補填を要求する行為はナンセンスということになります。


そんなに高品質な作品が読みたいのなら小説専門誌や文芸誌を定期購読すればよいのです。「つまらない!」「金返せ!」「読んで時間をロスした」

このような苦情に出版社は対応してくれるでしょう。





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