小樽未来創造高校神山分校スクールアイドル部
みやぐに まゆ
第1話 始まりはみんなの空
「みんな、おっはよ!今日から、新学期だよー。元気してる?」
同級生でギャルっぽい性格の柚子が、後ろから声を掛けて来た。
「柚子ちゃん、おはよう。今日も元気だね〜。」
「うん、今日はいつも以上に元気‼︎まぁ、美咲の元気さには負けるかな。」
おっとり系の金元美咲との掛け合いも、また可愛らしい。
「ピロリン」
柚子のスマホの着信音が鳴った。
そして、スマホを見た後の柚子と目が合った。
「ねえ、あんたも一緒にやんない?スクールアイドル‼︎なんか、今度新しいユニットのオーディションがあるみたい。」
柚子が、私にグイッと近寄って来る。
「恵美ちゃんも、一緒にやろ?絶対楽しいから。」
普段は大人しい美咲も、いつになく力強い目の見開きようで近寄って来た。
「いやいや、私そんな柄じゃないって。」
私は、全力で断った。
「恵美ちゃん、可愛いから大丈夫だよ〜。」
美咲は、相変わらず適当に私を煽てた。
「美咲、私が人前で歌うの苦手なの知ってるでしょ?。音楽は、もう辞めたし。」
私は、そう冷たくあしらってその場から離れようとした。
すると、
「私は、恵美と一緒にスクールアイドルがやりたい。」
そう言われて、私は気付いた。私には、音楽しかないんだと。
「分かった。やってみる。」
私は、生まれ付きか細い声で返事をした。
そして、ゴールデンウィーク。私は、ストリートバンドの大会に有名な音楽家である父のツテで参加していた。
「自分の価値に目を疑って どこまで堕ちていけるの・・・。」
私は、今まで人前で歌う事を避けて来た思いの丈と美咲への感謝を大好きな曲にぶつけた。
「恵美、お前いつのまにかまた歌えるようになったんだな。」
父さんは、驚いたように言った。
「美咲のおかげ。美咲ちゃんが、一緒にスクールアイドルしようって言ってくれなかったら多分今も歌えてない。」
私は、スマホをいじりながら取り合えず返事をした。
「お前がアイドルやんのかぁ。俺にはそう言うのあまり分かんないけど、美優子が生きてたら相当喜んだんだろな。」
私は、父のその言葉を聞いて今は亡きお母さんの事を思い出していた。
私の母は、私が三歳の時に原因不明の関節炎を患い亡くなった。
それ以来、父が私にとって一番の理解者であったため今まで大きな喧嘩をした事がない。
もちろん、ちょっとしたぶつかり合いはあるけど学校の事なんかで父に当たったことは全くなかった。
「美優子はなぁ、高校生の頃はそこいらでは有名なスクールアイドルだったんだよ。」
父はおもむろに母の学生の頃の話をし始めた。
「えぇ、お母さんが学生の頃にスクールアイドル?それって、本当なの?」
その後も話を聞いた。そして、心にモヤモヤを残したままゴールデンウィークが終わった。
小樽未来創造高校神山分校スクールアイドル部 みやぐに まゆ @syoujirou6734
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