第15話 ブックカフェ
門番に冒険者タグを見せてサントロ町に入り、まずは冒険者ギルドに行く。
町並みや冒険者ギルドの外観はニドゥ町とあまり変わらない。
冒険者ギルドの窓口で道中仕留めた魔物を納品してから、有料の伝言サービスでミラへの伝言を頼んだ。
とりあえず、明日から三日間は午前10時に冒険者ギルドに来ることにしている。スマホで連絡取れないって不便だ。
冒険者ギルドの後は、教会を訪れた。ここでも祭られているのは女性の像だった。チャラ男神どうした?
中は無人だ。ミラも教会に行くのは行事の時くらいと言っていたし、普段はこんなものなのかもしれない。
長椅子に座り、前回同様手を祈りの形に組む。
《ピコン》
《温泉宿の喫茶室を開放》
(来たー! ちょっと期待してました!)
しばらく待ったが、今回の追加は喫茶室だけのようだ。残念。前回は初回特典で大盤振る舞いだったのかも。
喫茶室はフロントや大浴場がある本館の中にあったはず。離れからは少し距離があったけど、どうなってるのかな。
温泉宿の離れに戻り、玄関から周囲を見渡すが、本館らしき建物も道もない。
(温泉宿メニューから選ぶのかな?)
ディスプレイを出しメニューを見ていくと、送迎の候補先に『離れ』『本館・喫茶室』と出てきた。
(これだ!)
わくわくしながら転移した先は、ブックカフェだった。
広さは学校の教室よりやや広いくらい。天井が高く、木のぬくもりを感じる落ち着いた空間だ。
南に窓。座り心地が良さそうなソファとアンティークっぽいテーブル。西側のカウンターにはスツール。
東と北の壁は本棚だ。本がびっしり。小説、エッセイ、料理や園芸、アウトドア等の実用書、図鑑。美術書や写真集も多い。洋書もある。
雰囲気重視なんだろう、残念ながらラノベや漫画は無い。水魔法使いが登場するファンタジーが読みたかったんだけど。
カウンターの奥はキッチンスペースだ。調理家電や器具も揃っている。
(嬉しい! これで洗面所とキッチンを分けられる!)
BGM用らしい古いレコードやCD、高そうなオーディオもある。
(素敵〜。早速優雅に音楽を聴きながらコーヒーをいただきますかね)
コーヒーはどうやって入れるんだ?とカウンターの中を見回していると、ディスプレイが立ち上がった。
カフェメニューみたいだ。飲み物とデザート、軽食。値段は普通のカフェ並み。ルームサービスと違ってこれなら気軽に利用できるな。
売店で買い物をする時のように画面で注文を確定すると、カウンターの上にコーヒーとガトーショコラが現れた。
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