お風呂があれば生きていける

第11話 狩り

　温泉宿の庭から草原に『転移』して、２時間ほど温泉魔法を試した後、『迎え』で温泉宿に戻った。

　攻撃魔法は次の４つ。魔法名は適当に付けた。

【温泉ボール】

　温泉水の球。攻撃力弱。

【温泉ガン】

　温泉水の水鉄砲。攻撃力中。

【温泉ジェット】

　温泉水のウォータージェット。攻撃力強。

【温泉水饅頭】

　対象を温泉水で包む。

　温泉魔法を発動できるのは、自分から半径30ｍの範囲内だった。

　温泉ガンは射程が20ｍ程なので、銃口を発動可能ギリギリの位置に出して最長で50ｍだ。

　今日の獲物は魔兎と魔蛇。

　攻撃魔法で一番使えたのは【温泉水饅頭】だった。

　いったん魔物を餡子のように温泉水で包んでしまえば、魔物は温泉水の皮から抜け出せない。動いても皮に包まれたままなので窒息するのを待つだけ。血が出ないのもいい。

　他の３つは、魔物が静止していれば問題なく使えるのだが、動くと当てるのが難しい。

　特に温泉ジェットは、魔物のすぐ近くで発動する必要があるので成功率が低い。

　動いている魔物に使うには、先に熱湯や強酸の温泉ボールかガンでダメージを与え動きを抑えて、温泉ジェットで止めを刺す、というやり方がいいかもしれない。

　魔兎と魔蛇は肉や皮の需要があるかもしれないので、今日は熱湯と強酸は使っていない。

　冒険者ギルドの依頼にゴブリンの討伐があったので、そっちで試そうと思う。

　倒した魔物（魔兎4、魔蛇2）は、そのままアイテムボックスに放り込んでいる。

　魔物とはいえ生き物を殺すことに抵抗があったが、やってみたら意外と平気だった。魔物をゼニーと思ってるからかも。

（ＭＰは残り34％か）

　転移は、草原への移動で－2％、見える範囲内への移動（マップの赤い点の近くに移動したり、魔兎から逃げたり）でその都度－1％。温泉魔法は１回当たり－0.5％～－2％。

　草原へ移動する前は83％だったから、２時間で約50％使ったわけだ。

　ニドゥ町の道具屋で買った魔力回復ポーションの瓶をアイテムボックスから出す。

　このポーションは、２本で中級魔法使いの魔力が全回復するって説明だった。

　原材料がわからないので抵抗があるが、一気に飲んだ。

「うえぇ！！」

　まずい。

　ＭＰは16％回復し、50％になった。

　異世界人アプリの家計簿に付いてる電卓機能で計算してみる。

（仮に中級魔法使いのＭＰを100とすると、ポーション１本の回復量は50。私のＭＰの16％が50ってことは…私のＭＰは約300か。チャラ男神様は結構サービスしてくれてたんだ）

　空になったポーションの瓶を持って内風呂へ行き、蛇口から温泉水を入れる。

（どうなるかな）

　飲むと、ＭＰとＨＰが全回復した。