お風呂があれば生きていける

第9話 アップデート

　西門の近くには冒険者向けの店が揃っている。

　冒険者ギルドの窓口で薬草を納品しゼニーを手に入れた後、早速冒険者向けの衣料品店にやって来た。

　一般女性用の外套より、冒険者用の方が丈夫で動きやすそうだ。

　とりあえず浮かないデザインであれば何でも構わないので、手頃な値段の薄茶色の外套を買った。内ポケットとフードが付いている。

　店内で半纏から着替え、フードを被る。

　冒険者ギルドに納品した薬草の中には希少な物もあってそれなりの収入だったのに、もう懐が寂しくなってしまった。靴はまた今度にしよう。

　衣料品店の次は、冒険者向けの道具屋を見てみる。

　回復、毒消し等の各種ポーションや、ランタン、毛布等の野営用品、麻袋、ビン、虫除け香、ロープ等が売られていた。アウトドア用品店みたいだ。

　陳列はされていないがアイテムバッグは存在するようで、小サイズ金貨30枚と書かれた紙が掲示してあった。

　ここでは各種ポーションを買った。

　その後、武器・防具屋、雑貨屋、屋台の品揃えと値段を確認しながら広場に戻った。

　ランチにはまだ早いし、暇潰しに教会に行ってみよう。

　ニドゥ町の教会はキリスト教の教会に似ていた。正面に女性の像があり、像の手前に祭壇、祭壇の前に左右に長椅子が並んでいる。

（女神？ 聖母？ あのチャラ男神じゃないんだな）

　神様仏様何でも拝む日本人なので、別にチャラ男神だろうが他の神様だろうが構わない。

　教会の中に神職らしき人はおらず、最前列の椅子に座ってお祈りしている女性が一人いるだけだった。

　後方の椅子に座り、その人を真似て手を組み目を閉じる。

《ピコン》

（ん？）

《異世界人アプリ、アップデート》

《メニューに『両替』を追加》

《スキルに『転移』『温泉魔法』を追加》

（へ⁉）

　AIの女性のような声が頭に響く。これまでにも機能が追加されたことはあったが、アナウンスは初めてだ。

　教会内を見回し、最前列の一人しかいないことを確認してからステータスを開く。

　名前　：モモ　（24歳　女性）

　職業　：冒険者（Ｅランク）

　レベル：高め

　ＨＰ　：高め

　ＭＰ　：高め

　攻撃力：高め

　防御力：高め

　賢さ　：普通

　器用さ：普通

　素早さ：普通

　運　　：普通

　スキル：鑑定、アイテムボックス

　　　　　異世界言語翻訳

　　　　　異世界の温泉宿

　　　　　転移←New、温泉魔法←New

　装備　：武器　ナイフ

　　　　　防具　冒険者の外套

　　　　　　　　ワンピース

　　　　　　　　異世界の靴

　所持金：2000ゼニー

スキル詳細

『転移』←New

　見えている範囲内又は行った事がある場所に瞬間移動する。　　　

『温泉魔法』←New

　温泉水を出す。泉質（温度、pH、成分）調整可能。