第8話 冒険者登録
南門から町に入った私は、西門近くにあるという冒険者ギルドを目指して歩く。
ニドゥ町はヨーロッパの小さな田舎町って感じだ。通りを歩く人々は昔の映画の中の人みたいな格好をしている。
食堂の看板を見ると、ランチが500ゼニーだった。
通貨は、金貨1枚=1万ゼニー、銀貨1枚=千ゼニー、大銅貨1枚=百ゼニー、小銅貨1枚=十ゼニー。
すれ違う人が珍しそうに私を見てくる。
やっぱり浮いてるよなぁ。フード付きの外套と靴が欲しい。
衣料品店があったので、入ってみた。
「こんにちは。外套を見てもいいですか?」
「いらっしゃい、あら、旅の人? 女性用の外套はこの辺ね」
結構高い。買い物は冒険者ギルドで薬草を売ってからにしよう。
メインストリートをしばらく進むと広場があり、広場に面して町庁舎と教会が建っていた。
広場から西へ。冒険者ギルドは看板のおかげですぐにわかった。二階建ての建物の中に入ると、右手の壁に掲示板、正面にカウンター、左手奥が飲食スペースになっている。
人は疎らだ。朝のピークを過ぎたのかもしれないし、この町は元々冒険者の数が多くないのかもしれない。
数組の男女がいて、それぞれ剣、槍、弓、杖などを持っている。
中には場違いな私をジロジロ見てくる人もいるが、スルーしてギルド内を見て回る。
掲示板にはランクごとに依頼票(魔物討伐、護衛、雑用等)が貼られ、その横の買取り素材一覧表には、魔物や植物、鉱物の名前と、標準買取り額、推奨ランク、取れる場所、注意事項等が載っている。
カウンターの裏には買取窓口兼解体場、倉庫、訓練場、2階には資料室、会議室、応接室、事務室があるようだ。
受付カウンターにいた女性職員に話しかける。
「冒険者登録をしたいのですが」
「冒険者ギルドへようこそ。こちらの用紙に記入をお願いします。名前と年齢以外は空欄でも結構です。代筆が必要な場合は承ります。登録料は銀貨5枚です」
紙はざらざらして厚みがあった。読み書きはスキルの異世界言語翻訳のおかげで問題なくできるので、『モモ 24歳』と記入し、登録料を支払う。
本名は『桃子』なんだけど、ステータスでそうなっていたし、これからは『モモ』でいくことにする。
「この石に血を一滴垂らしてください」
直径5mmほどの円形の平たい黒い石と針を渡された。指先を刺して石に血を垂らすと、石が血を吸い込んだ。
職員がその石と、ギルドのマークが入った革を銀色のタグにはめ込む。
「こちらが冒険者のタグになります。ランクはEランクです」
中級ランク以上は、石と金属板をはめ込むらしい。上級のAは金、Bは銀、中級のCとDは銅。下級のEと見習い(12~14歳)のFは革。なお、英雄級のSはタグ自体が金とのこと。
職員が冒険者ギルドの説明をしてくれる。
・冒険者ギルドは国に属さない国際組織
・受けられる依頼は自分のランクと一つ上のランクのもの
・依頼を達成できなかった場合は違約金が発生
・定期的に(中級以下は半年に1回、上級は1年に1回)依頼を受けなければ登録抹消
・殺人等、罪を犯した者は除名処分 等
「依頼票と規則は掲示板に貼り出していますので確認してください。依頼が出ていない素材も買取りはしております。冒険者ギルドの窓口でお金の預け入れも可能です。引き出しはどこの支部、出張所でもできます」
「わかりました。ありがとうございました」
掲示板に貼られた依頼票を見てみる。Eランクの依頼は、薬草の納品やスライムの捕獲など。
薬草の納品は常時依頼で、受注手続きをすることなく直接買取窓口へ行けばいいらしい。
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