第18話 駅前広場に響く声
***お知らせ***
いつも読んでいただき本当にありがとうございます!今まで週6本投稿しておりましたが、誠に勝手ながら都合により更新頻度を週4~5本に減らします。大変恐れ入りますが、引き続きお楽しみいただけますと大変幸いです。(コメント等お待ちしております笑)
**********
3人は車のおかげで、集合時間5分前に到着できた。車から降りると、ルカの母が運転席の窓を開け、声をかけた。
「3人とも、いってらっしゃい。中学生の修学旅行は人生に1度しかないんだから、しっかり楽しんできなさいね。みんなにとって良い思い出になりますように!」
マミは自分だけ2度目なんだけどなぁ、と思いながらも「ありがとうございます、行ってきます」と会釈した。
「ありがとうママ、行ってくるね! みんな、レッツゴー!」
ルカはニコニコしながら颯爽と生徒たちが集合している駅前の広場へ向かっていく。それを追うように、マミとユキも続いたが、マミはユキが青ざめた顔をしているのを察した。
(ユキ、結局車酔いしてるじゃん……)
広場には既に大勢の生徒と教師たちが待っており、クラス別に分かれて待機していた。
3人は合流しようとすると、カケルがごろごろとキャリーケースを転がしながら集合場所に向かっていくところをルカが見つけた。
カケルの友達の大野と小野寺も一緒にいた。野球部で日に焼けた肌と剃りこみの入った坊主頭が印象的なひょうきん者の大野と、卓球部でひょろっとしておりみんなのツッコミ役でもある小野寺は、マミたちと同じく班行動を共にする2人でもある。
「あー! カケルくんだー! カーケールくーん! おっはよー!」
ルカはカケルを見つけるや否や、大野や小野寺のことは眼中にも止めずに今日一番のとびきりの笑顔でカケルに向かって大きな声で挨拶し、走っていった。
(うわっ、ルカに先を越された! アタシも挨拶しに行かないと)
マミも負けじとルカの後ろをついて行く。ユキも青ざめた表情のままとぼとぼと後を追いかけた。
ルカの元気な声は広場中に轟いて、待機していた生徒達からルカとカケルに注目が集まる。
カケルは声のする方を見て3人の存在に気づくと、周りの目線を感じて恥ずかしそうに「よ、よぉ」と挨拶がてらに手をあげた。
そんなカケルを見て、大野はカケルに耳打ちした。
「おいおいカケルー。お前またルカちゃんから挨拶されてるじゃん。何でいつもお前ばっかりなんだよ。ルカちゃん、めっちゃニコニコしてんな、かわいいなー!」
それを見て、小野寺もカケルに耳打ちする
「おいカケル、良いなーお前だけ挨拶されて。羨ましいわー。俺と大野なんて眼中に無いって感じするわー。俺らにも挨拶するように仕向けてくんね?」
カケルは耳打ちする2人を照れながら「う、うっせぇな!」と払い除け、走ってきたルカに話しかけた。
「お、おはよう。仲良し3人組で来たんだな。ルカ、お前朝から元気だなー。なんか今日めっちゃ張り切ってるじゃん」
後ろからついてきたマミとユカも、カケルたち3人に向かって挨拶をする。だが、2人が挨拶しているのもお構いなしにルカは話し出す。
「だってだって、待ちに待った修学旅行だよ? 楽しみで仕方ないじゃん! ……でもワタシだけ別のクラスだし、マミとユキとカケルくんは同じ班でしょ? ワタシだけハブられてるみたいで悲しいなぁ~」
ルカはムスッとした表情を見せると、横から大野が割って入り、ヘヘッと笑いながらルカに話しかけた。
「ルカちゃん、そんな顔しないで! そしたら、カケルだけ班行動の時にルカちゃんの班に派遣してあげるよ!」
なんとかルカと話そうと割って入ってくる大野に「おいおい、お前にそんな権限ねーだろ! なんなら俺のこと派遣しろよ」と小野寺も一緒になってツッコんできた。
「ほんとっ!? でもカケルくんが派遣されて来てくれるなら、アタシが派遣されに行くほうが良いかなー。マミとユキも一緒に周れるし! ワタシと君たち二人がチェンジできれば良いんだけどなー」
ルカは大野と小野寺のことなど眼中になさそうだ。
「そしたら男子が俺一人だけになっちゃうじゃん、流石にそれは気まずいわ。……後で他の男子からボコられちゃいそう」
ルカの冗談をカケルは苦笑いしながらサラッとかわした。
「えー、残念。せっかくマミとユキとカケルくんと一緒に遊べると思ったのになー。じゃあまたあとで、向こうで会ったら声かけるね! マミ、ユキ、また後でねー!」
ルカはタタタッと自分のクラスの方へ小走りで走っていき、早速クラスの友達に颯爽と挨拶しに行った。
マミとユカはポツンと取り残された。
大野はそんなルカをぼうっと眺め、「ルカちゃんと喋っちゃった……。やっぱり可愛かったなぁ」と呟くと、小野寺はカケルに「なんでお前だけこんなにルカちゃんと喋れるんだよ、畜生」とやじを入れた。
カケルは「ルカは幼馴染みたいなもんだからなー」と苦笑いしていると、ユキが3人に向かって声を絞り出して話しかけた。
「ねえねえ、誰か酔い止めの薬持ってない……?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます