第7話 美少女とのお買い物
神風の歓迎会から数日後、その間特にも何もなく数日が経った。
その日も俺は何でもない日常を過ごし、午後を迎えていた。
今日は部活動が無く、午後からはある人物と約束をしていた。
その人物を待っていると、教室に残っていた遥から声をかけられる。
「海斗今日は部活動無いよね?」
「そうだけど」
「だったらこの後付き合ってよ。海斗最近は部活動ばっかで全然かまってくれないから、一緒に遊びに行きたいな~と思って」
「悪い、今日はこの後予定あるんだ」
丁度その時、待ち合わせの人物がやって来た。
「お待たせしました」
そこに現れたのは神風だった。
「海斗、この子誰?」
「かいと・・・・・」
神風が何かをポツリとつぶやく。
「神風なんか言ったか?」
「何でもないです」
彼女は首を横に振り何でもないというので、俺はそれ以上追及しなかった。
「そういえば、二人は初対面か」
神風は遥に向き直り、自己紹介する。
「初めまして、神風 雫と言います。油崎くんには一年の頃にお世話になっていて、今は同じ部活動に入っています」
「そうだったんだ。海斗にこんな可愛いお友達いたんだ~。ふーん」
「え?かわいい・・・・」
遥はジト目で俺を見つめる。
俺はそんな遥の瞳から目をそらし、神風の方へと振り向く。
すると彼女は可愛いという単語に少し困惑していた様で、手をもじもじさせながら顔をうつむけていた。
「え、なにこの子?すっごくかわいいんだけど!!」
もじもじしている神風を見て遥は目を輝かせる。
神風は可愛いと立て続けに言われ、耳まで赤らめさらにしゅんとしてしまった。
「ほら、遥も自己紹介して」
「そうだった」
神風が余りにもかしこまってしまっていたので、少し助け舟を出す。
「私、水森 遥。海斗とは昔からの幼馴染よ」
「幼馴染・・・油崎くんとは結構長い付き合いなんですね」
「まあそうね」
一瞬ピリッとした空気が流れた気がしたが、きのせいか?
「二人の挨拶も終わったことだし、そろそろ行くか」
「まって、今日は二人だけで遊ぶ感じ?」
「まあ、遊びに行くっていうか、一緒に買い物に行くって感じかな」
横に居た神風も同意するようにコクリと頷く。
「へ、へえー、そうなんだ・・・」
遥は歯切れの悪そうに呟く。
「それじゃあもう行くから、じゃあな遥」
俺は荷物を持ちその場を去ろうとしたが、
「まって」
そこで遥に呼びとめられる。
「私もついて行きたい」
遥は俺の目を真剣に見つめそう言う。
「俺は別にいいけど、神風は大丈夫か?」
「・・・私も大丈夫です」
神風はすんなりという感じではないが、嫌な顔をせずに受け入れてくれた。
俺は神風がいきなり初対面の人と行動を共にするのは、少々難易度が高いのではないかと思った。
しかし同時に、神風にとってはいい機会かもしれないとも思った。
「それじゃあ行くか」
俺らは学校を後にし、近くのショッピングモールへと向かった。
「ところで何を買いに来たの?」
ショッピングモールに着き、ふと遥に問いかけられた。
そういえば今日の目的を言ってなかったな。
「今日は由美さんの誕生日プレゼントを買いに来たんだよ」
「そっか、由美さんもうすぐ誕生日だもんね」
遥は俺とよく一緒に居たため由美さんの事は当然知っている。
遥自身あまり由美さんとは関わる事が無かったはずだが、誕生日は知っていたのか。
「海斗はまだプレゼント用意してないの?」
「俺はもう用意してるよ」
「じゃあなんで?」
「私が油崎くんに頼んで、一緒に来てもらったんです」
「今日は神風の付き添いって事だ」
「そういうことね」
状況が読めたのか、遥は納得する。
「私色々見てみたいのですが、いいですか?」
俺と遥はそれを了承し、彼女の後について回る形でショッピングモールを巡った。
アクセサリーショップや洋服屋、雑貨屋などその日だけでも数えきれない店舗に行った。
神風がプレゼントを選んでいる間、俺と遥も店内を見渡しながら彼女が選ぶのを見守っていた。
時々神風に意見を求められる時もあったが、男子の俺よりも女子の遥の方が選ぶセンスが良く、ほとんど遥に任せっきりになってしまった。
任せっきりだった結果、結局神風がプレゼントに何を選んだかはわからない。
「神風、結局何を買ったんだ?」
「箸置きです」
「箸置き?」
「まえ歓迎会で由美さんの家に行ったときに、かわいい箸置きがあったらいいかもと思って」
「よくみてるな」
「昔からよく周りを観察していたので」
「それが役立ったってわけだな」
「はい」
この日一日色々なお店をめぐり、日も既に落ちかけていた。
俺らは帰る前にカフェにより少し休んでいた。
「来週の由美さんの誕生日私も参加したい」
遥は前置きもなく唐突に言い放った。
「由美さんは喜ぶと思うからいいんじゃないのか」
「それじゃあ決まりね」
「明日由美さんに遥が参加すること伝えとくな」
そして翌週、その日を迎えた。
由実さんの誕生日。
この日ある事件が起きることを今の俺たちはまだ知らない。
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