ホントにくだらねえ話だよ

ま、そうは言っても、俺の想像も何の根拠もねえ<妄想>でしかないけどよ。ただ、あんまりにも世間の反応ってやつが異様でよ。


『そこまで過剰反応するか?』


ってのはすごく印象に残ってたんだ。で、それを今になって俺なりに整理してみたらそういうことだったんじゃないか? って思ったんだよ。


でも俺は、自分がゆかりから、


『親ガチャに外れた!!』


とか言われたって、


『まあそうだよなあ……』


としか思わねえ。何しろ俺は、<毒親>かつ<不倫親>だからな。言われて当然だろ。


それでいて、前世の俺がゆかりから面と向かって言われてたら、まあ間違いなくぶん殴ってたけどな。ただ、ゆかりがそういうのを言い出しそうになった頃には<親ガチャ>って言葉もすっかり死語になってて、要するに、


『古臭ぇダサい言葉www』


てな感じで使われちゃいなかったけどよ。でも、その頃だってなんだかんだ、親の所為、他人の所為、社会の所為ってぇことにしてる奴らはいくらでもいて、<親ガチャ>って言葉が使われなくなっても何にも変わらなかったってオチだ。


しかも、ただの愚痴ってことで軽々しく<親ガチャ>ってぇ言葉を使ってた奴らが今度は自分の子供から、


『自分が上手くいかないのはお前らの所為だ!!』


ってえことを言われるようになったってぇオチもついた。


ホントにくだらねえ話だよ。自分らが親に対してやったことを、今度は自分らが子供からされるようになったってな。


で、それは俺もそうだったってぇ、間抜けな話。


同時に、親が子供に対してやってことも、歳取ってから自分の子供にやり返されるってのもある。


俺が女房からもゆかりからも見向きもされなくなったのは、俺が女房とゆかりに対してやったことだ。これは、リサに対してもでもある。長く一緒にいるようになってくるとだんだんリサにも構わなくなってよ。で、見捨てられた。


はーはっはっは!! <身から出た錆>ってなあ、こういうことを言うんだろうなあ!!


……死ねよ、俺……死んでるけど……


だからこそ、同じ失敗をしたくないんだよ。




リーネに体を撫でられてホッとした俺はまた眠ってて、今度は嫌な夢も見なかった。寝覚めは必ずしも良くなかったものの、ま、文句言っても始まらねえ。


が、


「雨だな……」


「雨ですね……」


昨日と大差ない感じで降り続いてる雨を眺めてるところにリーネも起きてきて、そんなやり取りをした。


ああもう、しょうがねえ。お天道様には勝てねえよ。


こうなるともう、俺はただ鉄を打つしかねえし、リーネ達には服の繕いとか麓の村から回収してきたものの整理をしてもらうしかねえな。


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