第6話 『理彩子 ②』


 高校生なら、男も女も性に目覚める年頃。

理彩子は、大きな胸を持て余している感じだった。

俺に触れて欲しい。

抱かれたいって気持ちが、ビンビンに伝わってくる。 

あのデカい胸を見たら、とりあえずやっちまうか!って気になる。

だけど、俺は理彩子に手を出さなかった。

付き合ってるのに、手を出してくれない。

付き合ってるなんて、冗談で、本気にしてんのかよ?って、からかわれてるだけなのかも……

理彩子は、俺に対して、不安と不信感でいっぱいになっていた。

俺が理彩子に手を出さなかったのは、理由がある。

理彩子が、処女だったから。

この外見で、処女なのは意外だった。

バンバンやってそうなのに。

だから、誤解されちゃうんだろうけど。

処女は、貴重な存在だ。

汚したくない。

セックスをすると、汚れるのか?

それは、わからないけど、処女のまま18歳までいてほしい。

俺は、理彩子が生娘でいてくれるのと引き換えに、俺の秘密を理彩子に打ち明けることにした。


家のこと。

力のこと。

消されてしまうかもしれないこと。

だから、黙っていてほしいと頼んだ。

みえてしまうから、理彩子が処女だということもわかってる。

高校を卒業するまでは、セックスはしない。

処女のままでいて欲しいとお願いした。


理彩子は、目を大きく見開いて

「オッパイも透けて見えてるの?」

と胸を押さえた。

「あはははは!みるって力は、透視能力じゃないから、オッパイは見えないよ!」

おかしくて、つられてオッパイとか言っちゃった。

「じゃ、約束して!別れないって!

で、卒業したら、絶対に抱いてよね!

それまで我慢するから!」

と、言った。

「あぁ。大切にするよ」

そう言って、キスをした。

「キスはいいの?」

「いいだろ?キスしたって、処女じゃなくなんね~じゃん!」

「じゃ~!いっぱいキスしたい!」

「ああ!しようぜ!」


 

 夏休み明け、軽音部の練習を見たいという理彩子を連れて、部室に行った。

みんなに、紹介するつもりだった。

ガチャッ

「おつかれ」

「お!龍聖、おつかれ!」

俺のうしろから顔を覗かせ、理彩子が

「おじゃましまーす」

と言った。

「理彩子!」

「理彩子じゃん!」

「悠弥と桂吾!!」

ほぼ同時に3人が声をあげた。

「えっと、なに?」

と、瞬に聞かれて、

「彼女」

と、答えた。


えっ?

えーーーーっっ????


一瞬だけど、桂吾にえっ?ってのが、みえた気がした。

それよりも、悠弥の動揺がすごい。

話を聞くと、理彩子と悠弥は、小学校、中学と同級生。

桂吾も、中学は一緒だったそうだ。

俺に引き寄せられたんじゃなくて、桂吾が引き寄せたのか?

理彩子は、大輝と瞬に挨拶をした。

「俺ら、5人じゃ手が足りないことあるから、たまに顔だしてくれよ」

と大輝は言ってくれた。

「うん。ありがとう!」


それにしても、悠弥の動揺は尋常じゃない。

嫉妬心。

俺に対して、敵意も感じられた。

悠弥の気持ちは、わかった。

知らなかったとは言え、悪いことをした……

でも、理彩子と約束したし、別れないけど。

それを、悠弥に伝えることもできないけど……

桂吾も、うっすらと動揺してるのを感じとれた。

悠弥の気持ちを知っていて、心配してるんだな。


ってゆうか、なんで理彩子なんだよ?

なんで、俺に引き寄せてんだよ?

桂吾!おまえが、引き寄せたんだろ?

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