第10話 とある冒険者達の○○
『は?』
終わりのダンジョンの12階層で菓子を集めている最中の事。
『ぎゃあぁぁあああぁ』
とある5人組冒険者パーティーは、轟音と共に行き過ぎていった何かに吹き飛ばされた。
「あぐっ」
「ぐげっ」
「おぐっ」
「ぶえっ」
「うごっ」
ごろごろと派手に転がり、それぞれ何かにぶつかって止まる。
『・・・・・』
5人揃ってしばし呆然と動きを止める。
轟音はあっという間に遠ざかり、消えた。
「なん、だったんだ?いったい?」
「さあ」
「だよなあ」
「取り敢えず、行くぞ」
『おう』
彼等も危険に近付きたくは無い。
無いのだが数日前、ダンジョンが変わった。
彼等のパーティーは、ダンジョンの異変はどんな些細な事でも調べて報告するようギルドから依頼を受けていたので、調べないという選択肢は無かった。
「なんっだこれ」
5人の前にあったのは、一直線に走る破壊の跡。
なぎ倒され一部の焦げたか木々と、点々と落ちる宝箱。
何があったのか正確には分からないが、これだけは分かる。
「稼ぎ時!?」
「違うだろっ」
「ある意味正解じゃね?」
「此処を通ったモノが何か、調べるんだよっ」
『へぇーい』
何がが既に居ない事もあり、何かが向かった方向へ向かって歩きながら痕跡を探す。
「なあ」
「ああ」
ドロップ品や宝箱の中身を拾いながら、5人はいつの間にかぷるぷるしていた。
「人だ・・・・」
「人だな」
「人だよ」
「「・・・・」」
何者かの靴跡が数人分、一直線に続いている。
「どこかのSランクでも来たか?」
「Sランクはつるまねぇだろ」
「だよなぁ」
「取り敢えず、次の階層まで行って戻るぞ」
『おう』
7階層でも真っ直ぐに続く破壊の跡を確認した5人は、ドロップ品と宝箱の中身を集めれるだけ集めて帰還石を使ってダンジョンの外へ。
町まで戻ってダンジョンでの事をギルドへ報告したのだが、そこで恐ろしい事が発覚した。
今回の終わりのダンジョンの異変、原因は龍。
「それは、事実なのか?」
「はい。他国ですが、ダンジョンから複数の龍が放り出された所を見た冒険者達がいます」
「マジかよ」
「マジでございます」
普通、秘匿するような情報を受付カウンターでほいほい話すと言うことは、隠しようもない事実だから。
パーティーのリーダーだという事でも一人報告をしていたのだが、他のメンバーも一緒に来れば良かったと後悔した。
「ギルドとして、これからどうするつもりなんだ?」
「どうもいたしません。いえ、どうしようもありません」
「だよな」
相手は龍とダンジョンマスター。
両者共に、此方からの接触は不可能。
「注意しつつ、これまで通りでお願い致します」
「分かっている」
彼等が挑んでいるのはただのダンジョンではなく、世界を飲み込もうとしている終わりのダンジョンなのだから。
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