第127話 王都への襲撃者2
相談したように、ハイオーク達が王都に到着するより前に攻撃を開始することにしたレオ達。
「数が多いから、バトルホースで遠巻きにしながら攻撃しよう!」
ハイオークが数十は居そうなのにこちらは6人だけなので全面対決は回避する。
基本的にはレオが天使グエン、悪魔アクティムと一緒に、≪飛翔≫にて反撃を受けないはずの上空から≪爆炎≫≪豪炎≫などの攻撃力の強い火魔法を用いることになった。ベラとフィロも同じ火魔法の≪豪炎≫、シュテア、エルベルト、カントリオは≪火炎≫を準備しながら、漏れ出てきた少数のハイオークに対してのみに対応する予定である。
ハイオーク達がもう少しで王都に到着してしまう懸念があるため、≪飛翔≫でいったん群れの上空を通り越したレオは王都に近い方向のハイオーク達に火魔法を発動して開戦する。
「何を騒いでいるのか分からないね。ほら、豚さん、こっちだよ」
挑発が通じているかも分からないが、王都の反対側、北側に誘導するようにレオは進む。見渡してみても、やはりハイオークのみであり、キングどころかファイター達すらも見当たらない。その油断していたレオに対して、群れの陰から≪氷刃≫が飛んでくる。
「おっと危ない」
グエンが≪結界≫魔法で防いでくれたのと並行して、アクティムが≪氷結≫を魔法の使い手に発動する。
「助かった。ありがとうございます」
レオがお礼を言いつつ≪氷結≫の先を見ると、ハイオークの群れに紛れて馬に乗った黒ローブが1人、馬の上でかたまり倒れていた。
「≪氷刃≫だったということは、教師役ではないラーニナとかいう女性の方か。できれば殺したくないな」
そのうちにまた動き出して攻撃して来るかもしれないが、とりあえずはその馬の周りへの攻撃は控えることにして、離れたハイオーク達を狙うことにした。特に、北の方で待ち構えていたベラ達の方に向かっているハイオーク達の塊に対して範囲攻撃の≪爆炎≫を使用し続ける。
しばらく時間はかかったものの、Cランク魔物でしかないハイオークの群れが相手であり、魔力回復ポーションも多用しながら天使や悪魔も含めた戦力によって終わりが見えてくる。ラーニナが乗る馬とその周りを守るように指示されたのであろう3体のハイオークだけが残っている。
「ラーニナだったか?降参しないか?」
「そうよ、ラーニナ、降参してよ!」
「裏切り者の言葉なんて聞かないわよ」
シュテアの言葉も耳に入らないようで、やはり洗脳がされているのだと思われる。仕方ないのでラーニナとその乗馬、そしてその周りのハイオーク達もまとめて≪氷結≫で凍らせて動けないようにしてしまう。その上でラーニナとハイオーク達に≪睡眠≫を発動させる。
「シュテア、大丈夫だよ。殺していないから今のうちにラーニナを縛ってしまって魔道具などを取り上げて」
「レオ様、ラーニナは縛りましたが、ハイオーク達はどうしましょうか」
「せっかくだし≪従魔契約≫をやろうか。みんなは可能な限りハイオークの従魔の証と魔石を回収して、魔法の袋に入る分だけの死体も収納してまわっておいて」
レオは無傷で捉えたハイオーク3体の従魔の証を使った≪簡易従魔契約≫に対して、上位の≪従魔契約≫で上書きすることを試してみると、既に拘束して大人しくさせて力の差を見せつけたこともあってか自分自身を主人にする従魔契約を発動させることに成功したようである。
「よし、うまく行ったようだな。誰かに何か言われるのも面倒だから、従魔の証も残しておいて、従魔であることを分かりやすくしておこうか」
「レオ様、この後はどうされます?」
「そうだね。まずハイオーク討伐の連絡を王城にしないと。それにラーニナに奴隷契約を行なって洗脳を解こうか。ついでに王都でハイオークの死体も納品してしまおう」
「では従魔にしたハイオークも王都に連れて行かれますか?」
「それはやめておこうか。ハイオークの足は遅いし、誰か砦に連れて行って貰えないかな。エルベルトが蜻蛉返りの蜻蛉返りだったから、ゆっくり移動できる砦行きをお願いできるかな。王都に行くメンバもすぐに砦に向かうだろうし」
「レオ、ありがとう。のんびりハイオークと一緒に移動するよ」
「じゃあカントリオも先に砦に行くのをお願いできるかな。それにベラとフィロも。まだ黒ローブの教官役やリブレント王国という敵が残っている中で、ハイオークは目立つから」
「レオ様もお気をつけてくださいね」
ハイオーク3体とラーニナが乗っていた馬を含めて砦に向かうのはベラ、フィロ、エルベルト、カントリオの4人。一方、目前である王都に向かうのは眠らせたラーニナを同じバトルホースに乗せたシュテアとレオの2人。
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