第126話 王都への襲撃者
エルベルトたち3人は王都での用事を終えたので、砦に向かい戦馬バトルホースを走らせていると遠目にハイオークたちの群れを発見する。日頃から弓矢を使い目が良いメルキーノが見ても何匹いるのか分からない集団であった。
「やばいぞ。砦を迂回して戦力が減っている王都を狙っているのだろうか」
「いや、砦もどうなっているか分からないぞ」
「俺たちだけではどうにも出来ない。手分けして対処するぞ」
メルキーノは王都に急ぎ引き返して、ハイオークたちの接近を知らせて迎撃の準備をさせる伝言役に。エルベルトは砦に急ぎ戻り、王都の戦力が少ないことを伝えてレオ達を増援に派遣させる。カントリオは念の為に隠れながらハイオーク達の群れを追跡することにした。もし砦も攻撃を受けていた場合にはエルベルトが、そうで無い場合はカントリオが危険であるが、片手剣と盾という近接武器を使用できる2人の方が万が一の際の生存確率が高そうなための合意事項である。
「お前はコグリモ子爵の。今度は1人か?一体どうしたというのだ!?」
王都から北、砦の方向からハイオークの群れが王都を目指して南下していることを宰相ホレイモンに伝えるメルキーノ。
「よく伝えてくれた!戦力が減った隙を狙ったか。しかし王都ならではでの頑丈さを活かし、砦からコグリモ子爵達が駆けつけてくれるのを待つしかないか。テソットに向けて出発した軍勢を戻すわけにも行かない」
休憩した後は城門や城壁からの弓矢攻撃に参加するよう言われており、ピエモンテ商会に矢の調達を依頼してから持ち場に向かう。
一方、ハイオークの群れを避けて見つからないように林の中を駈けながら砦に戻ったエルベルト。幸いというべきか、砦からは喧騒は聞こえず、王都に向けて出発した時と変わらず平和であった。
「何と!この砦を無視して王都にハイオーク達を!?しかも王都はテソットに向けて派遣した後で手薄だと」
「コグリモ子爵、家臣の方々と一緒に王都への救援に向かってください。お願いします!」
「我々だけで良いのでしょうか?モデスカル隊長を含めた王国魔術師や王国騎士の皆様は?」
「悩ましいところだが、その隙に砦を狙われる可能性もある。何とかコグリモ子爵家の皆さんのみで対処して欲しい」
「かしこまりました」
エルベルトには蜻蛉返りの蜻蛉返りで申し訳ないと労いつつ、レオ、ベラ、フィロ、シュテア、エルベルトの5人だけがバトルホースで王都方面に急ぎ出発する。元々魔法の収納があるため特に大掛かりな準備も不要で、魔力節約のための水筒や弁当を貰うぐらいであった。
「エルベルト、遅れても良いからね。王都が心配だから全力で行くよ」
「バトルホースのおかげもあり、まだ大丈夫だぞ。でも足手まといにはなりたくないから、その場合は置いていってくれ。追いかけるから」
そしてハイオークの群れを追跡するカントリオ。
「あれ?ハイオークだけか?キングどころかファイターやアーチャーも見ないな。何度も使って品切れなのかな……」
たとえハイオークだけであってもCランク魔物の群れ、とても1人では対応しきれないため、遠目遠目で引き続き追跡する。ハイオークたちは徒歩であるため少し見失っても大体の方向は王都側であるのでそちらに向かえば集団を発見できるので、思ったよりは気楽な追跡であった。
「カントリオ!」
レオ達が合流したときもカントリオは馬の上でのんびりと干し肉をかじっているところであった。
「気が緩みすぎじゃないの!?」
フィロに指摘されるが、この状況では気を張り過ぎて疲れるよりも妥当な行動である。
「でも、もう少しで王都だよね。このまま進ませて王都の城壁で守って貰っている後ろから攻撃するか、早めに攻撃するか、どうしようか」
最後まで何とか一緒に行動してくることができたエルベルトが聞いてくる。
「迷うところだけれど、王都と砦、どちらも防御が薄くなったところなのが心配だし、少しでも早めに倒しておいた方が安心じゃないかな」
「わかった。主であるレオ様の意向に従うとするか。って、冗談だよ、そんな顔をするなよ。俺たちが頑張れば、王都も砦も安心というのはわかるから」
「ここには、先日の砦のような城壁は無いのですから油断されないようにお願いしますね」
ベラからも念押しされてしまう。
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