第122話 砦での攻防
王都から隊長モデスカルを含めた魔術師隊、その他の騎士団たちも次々と砦に到着して来たので、予定通り発掘作業を行っていた者たちを王都に向かわせる。
「コグリモ子爵、ニアミッラに魔法の指導を頂いたとのこと。ぜひとも我々にも!」
モデスカルからニアミッラ以外の魔術師隊にも魔法指導を要望される。
「分かりました。今日は到着したところですので、明日から頑張りましょう。今日のところはこちらを」
と、空の魔石への魔力操作だけ教えるが、それだけでも色がついて分かりやすい訓練方法であると喜ばれる。
到着した将兵たちも、野営ではなく屋根のある砦の中で寝られることを喜び、軽めの宴の後は見張り番を残して就寝となる。
その様子を砦の北面、崖の上から見下ろす者たち。
「ふ、やはりコリピザ王国の将兵は少数しか居ないようだな」
「内戦の後で経済的にも兵士を雇用・維持する力が無いのだろう。さっさと蹴散らして王都まで行ってしまおう」
「まぁ焦るな。王都については本隊を待たないと後で面倒なことになるぞ」
「ち、つまらない。まぁ良い、砦だけはサッサと頂こう。お前たち、期待して良いのだろうな?」
「報酬分はきちんと仕事をさせて貰う」
「では、まず俺たちを森の部隊のところまで降ろして貰おうか」
鎧姿2人が黒ローブ2人に話した後に、黒ローブを1人残して砦の東の森の方に消えていく。しばらくして黒ローブの1人だけが戻ってくる。
「待たせたな。では取り掛かるぞ」
「はい」
「敵襲だ!」
コリピザ王国としても想定していた、砦の東、森方面からの夜襲であった。少数ながらにも見張り番が居たので、火矢による城門への攻撃などに対しても、順次対応者が増えて行き、篝火による灯りで城門の外に押し寄せる敵軍の姿を確認する。
「またハイオークだと!?こりもせず。魔術師隊を呼んでこい!」
モデスカル以下の魔術師隊と一緒にレオ達も東門に集まってくる。
「ハイオークファイターとハイオークアーチャーか?キングは?」
「いえ、ご覧の通りです。奥の方に人間の兵士らしき者達も見えますが」
「一般兵は消火活動に専念しろ。魔術師と弓兵だけ攻撃に参加せよ。それにしても宣戦布告もしてこないとは……」
事前に用意していた≪石壁≫≪土壁≫のお陰で城壁ではなく城門にのみ敵が集まっているようであったので、レオは木製の城門扉の前に追加で≪石壁≫を発動させる。
「よし、これでハイオークファイターも手が出せない。まずは火矢のアーチャーを狙え!」
守勢の隊長らしき者の発言に対して、レオは
「いや、≪石壁≫もそこまで丈夫じゃ無いのに……」
と呟きながら、≪石壁≫を追加発動してしばらくは耐えられるぐらいに城門前を頑丈にしておく。その合間にベラやフィロ達も城門からできるだけ離れた場所のハイオーク達に≪炎壁≫≪豪炎≫を、その他の魔術師隊やエルベルト達も可能な範囲での魔法攻撃を行う。
魔法回復薬、ポーションは温存するために上級魔法の使い手のみに使わせているため、一般兵による弓矢攻撃と合わせても敵を殲滅する程にはなっていない。
「うーむ、敵もこのままで押し切れると思っているのだろうか」
魔力を使い切ったエルベルト達は疑問を口にする。
「しかし、レオ達の存在が無ければこの砦も落ちていただろうし、今頃は焦っているのかも」
「下手に一般将兵が他の門から出て行って敵の横から攻めるというのもリスクがあるから、このまま安全策が良いのかもな」
魔術師隊も中級以下の使い手が魔力切れになり、上級である魔術師隊長モデスカルとレオ、ベラ、フィロの合計4人のみで引き続き魔法発動している状態になっている。ちなみにレオ達と縁が薄かった王国魔術師隊のもう1人の上級魔法使い達は王都に残り、テソットへの軍勢に配属されている。
魔法が使えない者たちは弓矢を、そして矢が不足するかそもそも弓が割り当てられていない者たちは投石で対応しているが、ほとんどは城門の上に登れないためにその手前の広場において待機、もしくは投石用の瓦礫の運搬に従事している。
その広間において悲鳴があがる。
「ゴーストだ!」
10体以上のゴーストが襲撃して来ていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます