第116話 二重登録抹消

自宅に戻り、ベラ、フィロ、シュテアに経緯を共有する。

「じゃあ、泊りがけでの冒険も行けるのね。私、ダンジョンってのに行ってみたかったの」

「うーん、まぁそうなるか。よし、準備をしっかりして行こうか」

「それもですが、家臣団の話も検討してくださいね。私たちスラム街出身や犯罪奴隷だけではレオ様のお立場が……最悪刷新されることも覚悟しておりますので」

「いや、もちろん3人にはこれからも一緒に居て欲しい。嫌になったのなら残念だけど話は聞くけど……」

「そんなわけないじゃない、ねぇ、シュテア」

「私はレオ様の奴隷ですので、ご指示に従います」

「うーん、そういうのでなくて良いのだけどね……」


暗くなってしまったので話題を変えて、これからは必要がなければローブや仮面も無くすことを宣言する。そして、まずピエモンテ商会に3人と共に向かい、納品もこの仲間の誰かが来ることになるかもしれないこと等を伝えつつ、ローブ・仮面の有無の両方で顔見世をしておく。続いて、冒険者ギルドにも同様に顔見世をしつつ、レオナルドとしての登録とレオ・ダン・コグリモとしての登録の統合を相談すると、貢献度が合算されない不都合だけは言われたが、レオナルドの身分証を返却することで、同一人物として情報統合されることになった。

レオナルドの身分証を返すときには冒険者を始めたときのルネやガスのことも思い出し、時間が出来たのと仮面解消なら実家、入り江の港町シラクイラにも戻って、貴族のことも説明しないと、と思い出す。


それと家臣を増やすにも屋敷を大きくする必要があるので、そのことも考える。子爵なのはあくまでもコリピサ王国の話であり、ルングーザ公国では準男爵であり準貴族の範疇のため、貴族街に屋敷を構えなくても良いかと割り切り、今の敷地に隣接する北側もしくは東側の土地の買い取りを考える。

相手にも今の生活があるので直ぐにとはならないでしょうけど、打診して検討し始めて貰いましょう、というベラの言葉に従う。また、未成年のレオではなく大人のベラが、成人しているのと体格も良いシュテアを連れて、それぞれの持ち主に話をして来てくれた。共にけんもほろろではなく、それなりに手応えがあったとのこと。まずは家臣を増やす方の段取りも並行しないと、とベラに念押しされる。



夕方になり、エルベルトたち3人が冒険から帰って来て晩御飯を一緒に食堂で食べる。その折に今日は何をしていたかという話になり、長い話になると前置きしながら今までのことを説明する。シュテアにも全てを話したことが無かったからと、公女の私設使用人から冒険者としての貴族になったこと等も共有する。

「それで。未成年なのに仮面なんて事情がようやく理解できたよ」

「家臣を増やしたら、俺たちもこの家を出て行くのか……」

「いや、家主が外国から帰って来たんだからもう出ないと」

「それより、このまま家臣、従士にして貰えないか?」

「いやいや貴族様だぞ。今はこんな口調で話させて貰っているが。家臣には貴族の三男以下などを迎えるものだろう。なぁレオ」

「うーん。既に3人いるベラ、フィロ、シュテアがそもそもそうでないから」

「え?じゃあ良いのか?そんな大出世、親たちも喜ぶが」


まず雇用条件を相談する。ベラとフィロの雇用条件、当初にベラとフィロは衣食住を除いて2人で年間金貨2枚であったのを変えていなかった。これは、元々レオの貴族年金が金貨10枚で、ここの家賃が3枚だったので住処以外の生活費を除いて折半の感じであった。当時まだ2人は木級であったので。これを機に、銀級になった2人には金貨5枚ずつ、銅級のエルベルトたちは金貨3枚ずつになった。エルベルトたちは衣食住を除くのにかなり優遇されていると言われ、ベラにはなおさら言われてしまうが、少ないとの不満でないのでそのままにする。シュテアからは奴隷なのでと断られるが、行き届かない必需品購入のためにと金貨1枚にする。


そしてあらためてエルベルトたちの能力や装備等を棚卸して貰ったところ、革鎧(レザーアーマー)が共通でエルベルト、カントリオが片手剣(ショートソード)と小盾(スモールシールド)に短剣(ダガー)を副武器として、メルキーノが弓矢(ショートボウ)と短剣、以前一緒にダンジョンで発見した≪鋭利≫の魔剣の装備であった。武技も、エルベルトとカントリオが片手剣の≪斬撃≫中級≪連撃≫≪剛撃≫、短剣の≪刺突≫中級≪連突≫、盾の≪挑発≫≪受流≫中級≪盾叩≫、体術の≪回避≫≪肉体強化≫中級≪俊足≫上級≪縮地≫。メルキーノは片手剣や盾の武技のかわりに弓矢の≪穿孔≫中級≪連射≫上級≪遠射≫である。

3人ともまだ銅級冒険者とのことだが、エルベルトが17歳、後の2人が16歳にしてはベテラン、一人前である銅級は十分に誇れるレベルである。

また装備として、レオが魔法回復薬を配布するために3人ともに腰袋(ポーチ)を、そして魔法習得のためにも3人ともに魔法発動体の指輪を提供し、馬もバトルホースに買い換えることにした。

ちなみに、文字や計算については、エルベルトのみが人並だが後の2人は少し弱いということで、ベラの目が光り、フィロと一緒に教えられることになる。



そして改めて部屋割りを考えるが、エルベルトたち男性陣は離れに、レオと女性陣は母屋とすることになった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る