第96話 黒ローブ集団
レオたちは翌朝、ホレイモンに呼び出される。
「ハイオークたちの夜襲対応、終日の治療行為、ご苦労であった。またしばらくは休息をしておいてくれ。前回、ギルドで昇格を認められなかったとのことであるが、今回は現場を見ていた騎士たちに証言させたので確認しに行ってくれ」
「ご配慮、ありがとうございます」
「後、報奨は王都解放後に清算と伝えていたが、取り急ぎとしてこれらの魔石を渡しておく。2つはハイオークキングで、それ以外はハイオークファイターやハイオークである。また、黒ローブ達の装備品も先に所有権を渡すと共に、犯罪奴隷にしたシュテアとやらも主人はレオ殿のままで良い」
「???はい、ありがとうございます……」
いったん自室に戻って相談をする。
「つまるところ、黒ローブ達の所属集団との衝突を避けるため、面倒ごとを押し付けられたのかと」
「うーん、ベラの言う通りかも。でも拒否もできないだろうし、所持品も含めて後で確認しようか。それよりもギルドに行ったり、たくさん使った魔法回復薬のために薬草も補充したりしておこう。いつ何があるか分からないし」
「そうだね、早く買い物に行こう!」
冒険者ギルドに行き前回の受付に話しかける。
「あ、お話は聞いております。今度こそハイオークファイター達を倒す力を証明されたと伺いました。また、昨日には上級回復魔法≪上回復≫をたくさん行使された話も伺っていますので、それらを含めて文句なしに銀級に昇格させて頂きます」
「レオ様の金級昇格はいかがなのでしょうか」
「残念ですが。キングは他の方も手伝われたということでしたので……」
「分かりました。大丈夫です。2人分だけ手続きをお願いします」
ベラたちは実力差があるレオが同級ということに納得していないようであったが、レオとしても特に異論はない。
2人の昇格手続きの後は薬草や薬瓶の仕入れや屋台でおやつの買い食いをした後、前に濃紺ローブなどを購入した店舗を見かけたレオが思いついて店に入る。
「これぐらいの身長体格の女性用に、我々と同じローブと仮面をお願いします」
「レオ様、どういうことですか?」
「シュテアが黒ローブ・黒仮面のままだと、恨みを買っている相手から仕返しをされたり、俺たちまで黒ローブ集団と変な誤解を受けたりするかもしれない。だからいっそ俺たちと同じ格好が良いかなと」
「レオ様がご主人である奴隷ですし、これからは3人ではなく4人で行動するということですか……」
「うーん、今後ずっとかは分からないけど、とりあえずは、かな」
夜間に捕縛、犯罪奴隷にして軽く尋問した後はずっと独房に入ったままであったらしいシュテアを貰い受け、代官館のレオの部屋に連れてくる。
「さて、改めて自己紹介をさせて貰おう。俺はレオ・ダン・コグリモ。こちらはベラとフィロ。名前はシュテアで良かったかな?」
「はい、シュテアです」
「犯罪奴隷の主人は俺のままとなった」
「はい、よろしくお願いします」
「この前も聞いたところもあるが、色々と教えて欲しい。そもそもこの黒ローブや、銀の六芒星の模様のある黒仮面は何なのか、なぜシュテアはそこに属していたのか。先日死亡したもう1人との関係性など」
シュテアはぽつぽつと語りだす。
黒ローブの集団は悪魔を崇拝する教団であり、もう1人の死亡した方などは悪魔とも契約して悪魔魔法を使用していた。その悪魔魔法の力も利用して、一部の国に傭兵として入り込んでいる。自分たち自身の戦力と言うより、悪魔魔法≪魅了≫などを利用して先日のハイオークのように魔物を提供するのが主なやり方である。
黒ローブ集団は田舎の村などから子供をさらって自分たちの後継者として育てたりする。≪魅了≫を繰り返され洗脳させられる。自分も物心がつく前にさらわれた1人で、本当の名前も年齢も分からない。さらわれて10年ほどなので歳はだいたい15歳ぐらいだろう。もう1人の方に、魔法等を色々と仕込まれるがなかなか覚えが悪く、どちらかと言うと身体も成長して体力ばかりがついたのだが、教えるものが居ないので武器は皆に合わせて短剣だけであった。
≪魅了≫による洗脳もその教官役が死亡したからか、奴隷契約でリセットされたのか、モヤがかかっていたような感覚が無く今はスッキリしている。
レオは悪魔との契約、悪魔魔法などの言葉に引っかかるが、特にベラはさらわれて育てられた方に涙し、座っていたシュテアの顔を自身の胸に抱きしめる。
この辺りで昼になったので、レオの悪魔魔法への興味はいったん置いておいて4人で昼食に出かけることにする。もちろん4人とも濃紺ローブ姿である。
暗い話になったのをいったん昼食でリセットしようとするも、シュテアは積極的に話をしない。もう1人の教官役であった男が何かとすぐに殴ってくる男であり、大人しくしておく癖がついてしまっているらしい。
ますますベラに気を使われて何かと世話を焼こうとするのでシュテアは委縮するし、フィロは自分の母親を取られたような感じで不機嫌になるのを見て、レオは皆に早々に代官館に戻るように促した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます