闇堕ち女神の置き土産……
『まだよ!?まだ負けていない!!!』
うおぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!!
気合いを入れて力を溜めている!
『これで終わりにします!』
セレスも静かに槍を低く構えて、力を溜め始めた。
『喰らえ!【
黒い漆黒の半月の刃がセレスを襲う!
『行きます!【
カッ!??
目映い光りが立ち込め、次の瞬間にはセレスティーナの十文字の槍がセレネティーアの心臓を貫いていた。
『セレネ………どうしてこんな事に……』
セレスは涙を流してうつ向いていた。
『……私は最後ま…でお姉様に……勝てなかっ………た……』
セレネも涙を流して最後、呟いた。
そしてセレネの身体の力が抜け、そのまま事切れると思ったセレネだったが、急に頭が起き上がり狂ったように笑い出した。
『くひっ!くひっぁあぁははははははははははははははははははあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!』
狂ったように笑い出し、血の涙を流し出したセレネを驚いたように見据えるセレス。
『この愚者では慈愛の上級神セレスティーナにかすり傷も付けられぬか……』
セレネの口から【別の人物】の声が聞こえてきた。
セレネは槍を抜くと、即座に距離を取った。
『おまえは誰!?』
『我は虚無の神アビスメイデン。貴様が我の世界に干渉しようとしていたのでな?先手を取らせてもらった……』
『まさか異世界スフィアの!?』
『クハハハハ!そうだ!すでにスフィアの管理者の神は我の手に堕ちた!これからスフィアを私のおもちゃとして面白く壊していく所に、別の神の介入があっては面白くないからな!』
『どうして妹のセレネに……』
『クックックッ、姉の劣等感の感情を増幅させたら簡単に堕ちたぞ?随分と心に闇を抱えていたようだった』
とても愉快そうな声で話す虚無の神にセレスは─
ギリッ!?
『貴様が全ての元凶かーーーーーーー!!!!!!』
冷静沈着なセレスが激昂し、セレネの身体に斬りかかった!
『妹の身体をこれ以上傷付けるのか?』
その言葉にセレスの動きが止まってしまった。それが致命的なスキとなった。
『我が血を浴びし罪人に贖罪の楔を打ち込まん!』
地面から漆黒の鎖が飛び出した!
『これは!?』
セレスは飛び上がり、鎖を避けたが鎖は数を増やしてセレスを追いかけ襲い掛かる。
『我が血を浴びし者に自由を奪わん!』
空中で素早い動きで鎖を避け、槍で薙って防いでいたセレスの身体が急に動かなくなり地面へ落ちてしまた。
ドサッ
『か、身体が重い……!?』
『一時的な呪いよ!我が血を浴びた者に対するな!上級神の貴様ならすぐに動けるようになるだろう。しかしその僅かな時間でも動きを封じる事が出来れば─』
地面に落ちたセレスに漆黒の鎖が四方八方から襲い掛かった!
『我が力を込めた【呪縛の鎖】ぞ!1度捕まれば逃れる事のできん束縛の鎖。如何に貴様とて解除するには膨大な時間が掛かるだろう。その間にスフィアの世界を我の手で楽しんだ後、破壊してやるわ。スフィアに干渉できる権限は我の手中にある神と、貴様だけだからな。貴様さえ封じれば、他の神の干渉は受けん!』
私は一部始終をただ見ているだけしか出来なかった。今の私はただの一般人でしかない。部活で剣道をやっていたけど、こんな戦いに参加できる訳もなく………一般人?私が?本当に─
思い出せ!?
私はただの高校生だった。セレスは私が何かしたと誉めていたけれど、私だってそんなにできた人間じゃない。実家が剣術道場で剣術はやっていたけど、それ以外は普通の女子高生だ。こんなとんでもバトルに援護できる能力なんて………
『動けぬ身体でようここまで防いだのぅ?じゃがここまでじゃな!』
『くっ!?』
今まさに7本の鎖がセレスに襲い掛かり、止める事は出来ないと思われた瞬間に、予期せぬ事が起こった。
『な、なんじゃと!?』
ぐ、ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
詩音はセレスを突き飛ばし、代わりに呪縛の鎖を受けたのだ!
痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!痛い!
『詩音!!!なんて事を!?』
『こんなゴミの能力を封じた所で何の意味もないのじゃ!よくも我の少なくない魔力を注ぎ込んだ呪縛の鎖を無駄にしよって!許さんぞ!!!!』
いいえ、許さないのはこっちの方です!
!?
『なっ!?』
いつの間にか後ろに移動していたセレスは槍を捨て、両手をセレネの身体に当てると魔法を放った!
『妹の身体を返して貰います!【シャイニング・ロウ】!!!!』
闇属性の対象に極大のダメージを与える最強クラスの極限魔法だった。
『があああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!』
『電撃のように貴女の本体にダメージが行っているでしょう!セレネと詩音の苦しみと痛みを思い知りなさい!!!!』
『ぐぐぐぅぅぅぅ、こんな魔法が一瞬で放てる訳が………』
『貴女の鎖を避けているときから魔力を溜めていたのよ。鎖を避けている時、槍でいなして避けていて、魔法を使っていなかったのを気付かなかったのかしら?』
『クソがあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!!!!!!!』
目映い光がしばらく続き、光りが消えた後は静寂が支配した。
『詩音!大丈夫!?』
激しい痛みが続いていたが、全身の感覚が無くなり何も感じなくなった事である意味、救われていた。
『わ、私のせいで…………あ゛あ゛あ゛、あああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』
セレスティーナの慟哭だけが辺りを支配した。
側にはもの云わぬ人の形をした二人が横たわっていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「これってプロローグだよね?エピローグ的な最終バトル後じゃないよね???」
作者にもわからなくなりました。
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