第3話 頭上で回るはとんび

「おい、またあのデカイの飛んでるぜ!」


「そうだな、今日も行くか!」



 黒ずくめの二人は、細身の剣を持ちながら近づく。静かに、ではなくおもいきり文句を口にしながら切りかかる。


「お前、誰に許可得てんだよっ!!」


「っ!またお前たちか」


 茶色いコートを羽織った男はうっとおしそうにその攻撃をはらう。大きいからだはあるが争いは好まない。彼は逃げるを選択する。彼らはしつこい。



「大きいからってなあ俺らに勝てると思うなよ!」


「思ってない」


 二人に切り込まれ、くるくるとかわしながら逃げる。追いかける黒もある程度離れるとやめた。食糧や縄張りをめぐって時々起こる争いも、ほとんど黒い方からふっかける。彼らは大きいものと戦わずにはいられない。戦闘種族だ。勝手に声をあててたのがバレたら襲われるかな。


 彼らがいるのは空。地面の上もとことこ歩くけど。彼らは自由に空と地を行き来できる。僕らは空にいけたはずの飛行機が作れなくなった。作ろうと考えたり材料を見れば、それだけで刑務所行きだ。


 カラスもとんびも

 どちらも歌になるほど有名

 とんびがくるくる回っている

 風に乗って流されていたり

 空にいると小さく見える

 ほんとは大きいんだ

 鳥になりたいなんて

 よくいうけど

 鳥社会も大変そう

 カラスの喧嘩をみるたびに思うけど

 僕も飛びたい

 紙ひこうきをつくる

 空の人は僕らの攻撃なんて撃ち落とせるのに

 ただの移動手段の飛行機すら許さない

 僕らが乗れる程の鳥がどこかにいないかな

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る