きれいな城 だじゃれ 鏡
低いけれど大きい山に面した私のアパートの窓から、ちょうど山沿いにある白い城が見える。だじゃれとかではなく本当に、白い城。家から駅に向かう道でも時々見えるけれど、電車に乗ってしまうともう見えなくて、会社からはどう頑張っても見えない。そのせいか同僚や親しい後輩に城の話をしても、「また杉山さん城の話してる」「そんなおとぎ話じゃあるまいし」などと一笑に付される。 でもやっぱり家にいると見えるのだ。
写真を撮って見せてしまおうか。そうすればわざわざ家に呼んだり実物を見てもらわなくても、確たる証拠になる。窓ガラスにスマホをぴったりつけて、なるべく大きく、かつ画質が悪くならない最大限のズームをする。最近のスマホはとにかく性能がいい。
翌日、やっと誤解が解ける、とワクワクしながら同僚に写真を見せた。「秦野くん!これが例の城だよ。本当にあるんだよ」
「ここに写ってる人って……そう、このカメラ持ってる人。これってもしかして杉山さんですか?」
三題噺 野端紙折 @rosnbn
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