風紀チェック忘れてた


ケータイのアラームが鳴り響いて薄目を開ける。

昨日、もしかして、あのまま寝ちゃった?

アラームを消して、トークを確認する。

兄貴から風呂は入ってから寝るように、とあった。うわ、やっぱりそうじゃん。その上に三春のトークが来ていた。

【おはよう、よく寝れた?】

朝から好きな子からの連絡!

バカみたいだと思っても家だから恥ずかしくない。素直に嬉しかった。

「おはよう、寝れた。三春は?っと。送信!…いけね、学校!」

栄養ゼリーを片手に家を出る。

校門前で兄貴が挨拶に立っていた。

「お、ちゃんと来たな。風呂は入って寝ろよ」

「言わなくていい!」

苗字が同じだし隠してはないけど、なんかやっぱ嫌だ!恥ずかしいだろ。

兄の横を抜けたところで、顔をしかめる。

風紀委員が立っていた。

今日ってチェック入るんだっけ…?

身だしなみを整え直す。

「岬ちゃん、お願い、見逃して?俺と先輩の仲じゃん!」

「そんな呼び方をするな、ちゃんと先輩と言え。周りが真似して呼び出したらどうしてくれる」

「それは嫌だなぁ。先輩ってちゃんと呼ぶから見逃して?お願い!…先輩に使いたくて持ってきたやつだから…ね?」

「…っ…今回だけだからな!そんなもんは学校には必要ないものなんだから。それと、敬語も勉強しろ!行け」

一部始終を眺めてしまったのは無理もない。

大注目の中、行われたからだけではない。

風紀委員長ともう一人は俺の親友、真中雅道だったからだ。

あいつ、風紀委員と知り合いだったんだ?

「真中!」

「ん?お、志々雄!おはよ、今日、身だしなみチェックあるの知ってた?」

「知らなかった」

「だよなぁー。俺もさっき、見つかっちゃって痛い目見たわ」

「それより、お前、風紀委員の人と仲良いの?」

「あれ、仲良さそうに見えた?勘違いだよ、嫌われてる。彼女とやってるとこ見られたんだよ。それでちょっと縁あってさ」

まじか。それ俺聞いててよかったやつ?

自分で言ってるからいいのか。

あんまり聞いてもいいことなさそう。

親友の性事情も知りたくないことの1つだよな。

「あっそ」

風紀委員のチェックを終えて2人で教室へ向かう。

「ちなみに彼女どうなったん?」

「んー、まだ彼女だよ(笑)俺は気にしてないけど、向こうが気まずいみたいで俺と会ってくれない。連絡はしてるんだけどね。…早く別れろよ」

「え?いま…」

「何でもないよー。俺のことはいいじゃん。志々雄、弟どうするか決めた?」

逸らされた。

まぁ、親友の恋愛興味ないからいいけど。

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