認める


「自分より結構年下の男に告白されたんだけど…俺なんかより歳近い奴と付き合ったら苦労しないのにって思うし…俺のどこを見てくれてるのかも分かんねぇ…可愛いって思ったけど、やっぱ釣り合わねぇよ」

「お前も俺に似たんだな。俺の相手も年下だから。いまだけだ、そういうこと思うの。歳は放っておいたら取るもんだろ?年の差は大きな問題じゃなくなるよ。年の差があるから感じる劣等感とかの方が面倒だぞ」

経験者が語るってことか。

たしかに、歳は取るもんな。

重要なのはそこじゃないのかも。

「ありがとう、兄貴。なんか分かったかも」

「おう。そのうち、紹介しろよ」

付き合う前提かよ。

そうだよな、俺が返事したらいいだけだもんな…。

返事な…むしろ付き合いたい。

だってすげぇ可愛いんだもん。

やられたの俺だけど。

それでもいいって思えるほどに好みだった。

気づけば兄が温め直したおかずをテーブルに運んでくれていた。

食卓に並んだ兄の手料理を無心で完食させた。

「ごちそうさま。兄貴、風呂は?」

「先いい?明日も朝練見ないと行けねぇんだ」

「どうぞー」

俺は部屋に戻ってベッドに横になる。

返事…いいのか。

俺、付き合ってもいいのか。

気持ち的には大歓迎なんだけどなぁ。

「ブーブーブー」

ケータイがバイブで震えた。

横目に見た画面に目を見開く。

「は!?三春!?」

トークの画面に三春の名前が。

登録されていませんの表示。

【お兄ちゃんに教えてもらった。真琴さん、もう寝た?】

心臓が思いっきり跳ねた。

本当に三春だ。

【寝てない。兄貴が先に風呂入ってる】

返すとすぐに返信が来た。

【良かった。真琴さん、僕のこと考えてた?】

【なんで?】

【僕は真琴さんのこと考えてたよ】

動悸が激しい。

三春の文字に一喜一憂されてる。

俺も考えてたよ、三春のこと。

【俺も】

返事を返してすぐ後悔した。

まだ告白の返事もしてないのに、余計なことを言ったかも。

【本当?嬉しい!…大好きだよ、真琴さん】

うわっ、すげぇ…直球。

恥ずかしくて俺には無理だな…。

【夜にごめんなさい。おやすみなさい】

続けて送られてきた。

俺、なんか、変じゃなかった?

女の子になったみたいな感覚?

フワフワするようなドキドキ感?

俺、もうアウトだろ、好きだろ、認めろよ。

だって、もう。

「会いたい…」

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