未来に進む者たちの物語

021:PLANETES

 ────永い、長い夢を見ていたような気がする。


 大切なひとたちと一緒に過ごす、あたたかな夢。彼らは夢の中で、ボクの名前を呼んでいた。今でも、その顔と声は鮮明に思い出すことができる。


 夢と現の狭間で、なんども星々を眺めてきた。


 静かに輝く星、激しくきらめく星、巨大な円環を持ったものもあれば、ぽっかりと穴が開いたように暗い星もあった。


 そうして、狭間にいる時に思い知る。あぁ、ここにはボク以外は誰もいないのだと。


 幾星霜、星々の輝きと共に進み、“惑いし者”は進み続けた。すべてのものに忘れられた、忘却の船旅だとしても。ただ一つ、胸に抱いた“約束”を果たすために。


 ボクはゆっくりと目を覚ます。


 誰もいない、孤独な闇の淵で。そのはるか先に、蒼き星の輝きを夢見て。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る