第11話奇面導師の子☆

公判日の夜

魔王の元に呼ばれた俺は娘を抱いた魔王に謁見し…

「魔王今日はどうした?戦線は順調だぜ?」

「先程の子供達は明日にもお主の部屋に引っ越して来るぞ」

「はぁ…部屋が荒れるな…そんだけ?」

「いや、今日はお主に頼みがある…」

魔王が抱いている娘は奇面導師の娘とは思えないほど可愛い顔立ちをしていて俺を見て笑ってくれる。

「その子を俺に渡すなよ?お漏らししたら俺が嫁にしなきゃいけなくなるぞ?」

「ふ…戯言はよいわ。我が娘は目が見えずとも魔力感知で周りが見え、声が出せずとも念話で話せるようになった。あとは飛ぶだけじゃ」

「おぉ?すげぇじゃねぇか!さすが魔王の娘だな!」

「しかし飛び回るには魔力が足りぬ…良い手はないか?」

俺は何回か作り直している義手義足がまた小さくなっている事に気付いて新しく作成してさらに魔力ブーストの効果を付けようと思った。創造錬金でサクッと作成する。

「これつけてやってくれ。魔力ブーストの効果を付与してみた」

「さすが勇者!」

魔王は娘に義手義足を取り付けると

「娘よ魔力を込めて浮かび上がってみよ」

魔王の娘はふわふわ浮き上がった。

「成功だな」

「おじちゃんありがとう」

「すげぇ!ほんとに念話で話した!成功してよかった」

魔王の娘は喜んで飛び回る…

ガン

義手をぶつけて外してしまった。

墜落する娘を魔王が魔法で受け止め落下を防いだ。

「うーむ…ぶつけて外れると墜落では危険じゃのぉ…どうにかならぬか?」

「魔王…怒るかもしれんがぶつけないよう手縛っといたらどうだ?」

「…お主よほど子供を縛るのが好きなんじゃの…」

「茶化すなよ…試していいか?」

「仕方ない…」

俺はまだ2歳の小さな娘の義手を後ろに回しコの字に組ませて手首をキツく縛る。さらに胸の上下に縄を回し腕を胴体と同化させる。うっかり解けてしまわないように閂も忘れずに施した。

「おじちゃんちょっとキツいよ?」

腕は義手で感覚無いから胸に回した縄がキツいのだろう…

「我慢して?これで飛んでみてくれ」

「さっきより飛びやすいよ」

ポロ

今度は足が外れて墜落していく

魔王が魔法でキャッチしてだき抱える。

「足も外れぬように縛っておくしかないのか?」

「縛って足を固定するのは難しいだろう…俺に任せろ」

俺は創造錬金でアームバインダー他色々皮で作成する。

「これは?」

「元の世界にある拘束具さ!皮で出来ているから義手義足を保護する事も出来る。縄で縛るより身体に優しいからな?付けても?」

「仕方なかろう…」

俺は娘の義手を後ろへ回しアームバインダーに入れてベルトを肩に食い込ませる。手首から順番にベルトをぎゅっと締め上げ肘がくっつくほど締め上げた後胸の上下にベルトを回してアームバインダーを固定する。これだけ拘束すれば義手でなくとも一切動かす事はできないだろう。これで腕が身体から離れる事はない。

義足も同様にまとめてレッグバインダーで締め上げる。足首から順番に脹脛膝の上下太腿2箇所と締め上げその後膝を折りたたんで足首と太腿をベルトで繋げ締め上げて固定。これで義足じゃなかったとしても足は絶対伸ばせなくなった。腰に回したベルトにハーネスで固定して足が外れないようにする。この子は義足なので元々動かせないがハーネスのおかげで足が動かせなくなった。これなら外れる事も無いだろう。

「痛い所はあるか?」

「全然痛くない!」

アイマスクも取り付けてベルトを全部施錠する。

「おじちゃんいつもより綺麗に見える!」

「勇者?」

「魔力感知じゃ白黒でしか見えないからな。可哀想だからカラー補正かける術式を付与した。補正してるだけだから実物ほど鮮やかじゃないが…」

「勇者よ余はどう感謝を示せばよいか…」

「いいってことよ!」

ビットギャグも噛ませて完成だ。

「これは?」

「俺の趣味だ」

「趣味を入れるな!」

そう言いながら魔王は娘のビットギャグを外せと言わない。食事の時以外は付けていても問題無く意思疎通出来るから俺への謝意で付けといてくれるのかな?

こっそりと手足をモジモジさせる術式を付与しておいたので拘束を解こうとモジモジしているような姿が見られてとても嬉しい。

永久に眺めていたいが娘は拘束し終わったので飛び回って遊ぶ。

「魔王…呑もうぜ!」

「そうじゃな…宴会の準備をせよ!」

俺は魔物達と飲み明かした。

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